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回復薬の味は青汁です。その1

「あぁ~重いぃぃ~痛いぃぃ~。」


僕は精神枯渇というなのスヤスヤと寝息を立てて寝ているルドルフさんを引き摺りながら、アリアさんが待っている坑道入口まで運んだ。


光を射している入口でアリアさんが手を振って出迎えてくれた。


「おーい。ミシェル~。ってあれ!?どうしたの!?ルドルフは。大丈夫なの?」


「え、えぇ。ちょっと精神力を使ったみたいで疲れて寝ちゃいました。でも、瘴気はルドルフさんのお陰で浄化されたので大丈夫です!」


「そっか。取り合えずこれで依頼は完了ね。所でミシェル、魔石は回収した?」


「魔石?・・・アァ――――――――ッ!忘れた・・・。今から引き返して取ってきますぅぅ。」


「ミシェルったら本当その辺りはおっちょこちょいね。良いわ!ミシェルは怪我人なんだし、ルドルフもあぁだし私が代わりに魔石を回収してきてあげるわよ。」


「アリアさんありがとうございます。」


「良いわよ。別に。直ぐに行って取ってくるからちょっと休んで待ってて。じゃっ!行ってくるわね。」


アリアさんはそう言うと魔石を取りに坑道の中へとまた入っていった。


僕は入口付近で腰を下ろせそうな所を探し、ルドルフさんをゆっくりと寝かせた後、僕もその横に腰を下ろした。


「ふぅ。やっと終わったぁ。」


僕は漸く一息ついた。


「それにしても今回もまた怪我しちゃったな。痛ちちっ。」


僕は怪我した所を優しく撫でた。ふと僕は横で気持ち良さそうに寝ているルドルフさんを見た。


「精神枯渇とはいえ、良くこんな所で寝られるなぁ。ってふぁ~あぁ~あ。何だか僕まで眠たくなって来ちゃったな・・・。」


・・・・・・・・・・・・。


「・・・きて。お・・・きて。ねぇ。ミ・・・シェル。」


「うぅ・・・ん。あと少し・・・。」


「起きて。ねぇ。ミシェルってばっ!」


「えっ!?」


僕は声にハッと目が覚めた。


「あれ?ここは・・・?」


「何寝惚けてるのよ。よっぽど疲れてたのね。

私が魔石を取りに坑道から戻って来てみれば二人して寝ているんだもの。ほらっ!さっさとロベルトさんへの依頼完了の報告に行くわよ。」


「あっはい。ふぁ~あ。」


僕はまだ眠い目をこすり起き上がる。あれ?ルドルフさんいないけど?


「アリアさん。僕、どの位寝てました?後ルドルフさんは?」


「そうねぇ1刻程かしら?戻って来たらもう寝てたし、起こすのも気が引けたから少し寝かせてあげたのよ。流石に此処で野宿は嫌だから起こしたけどね。ルドルフは・・・。」


「俺なら此処にいるぜ。」


アリアさんがルドルフさんの事を言いかけた時、ルドルフさんは坑道の中から出てきた。


「ルドルフさん!もう大丈夫なんですか?」


「あぁ。心配かけてすまなかったな。お陰さまでこの通りもう大丈夫だ!ありがとな。」


ルドルフさんは力こぶを作り笑いながら体調の良さをアピールしていた。


「いえ。僕は何もしてませんよ。それより元気そうで良かったです。」


「そんな事無いぞ。気絶した俺を此処まで運んで来てくれたんだろ?アリアから聞いたぞ。」


「それは彼処にルドルフさんを置いておくわけにはいかないじゃないですか。ただ後で後悔しましたけど。ルドルフさんが意外に重くて。アリアさんを先に呼びに行けば良かったなと思いましたが。あはは。」


「この野郎言ってくれるな~。ニシシッ!」


「はいはい。二人で仲良くするのは良いけど、もう少しで日が落ちるから暗くなる前に此処を下りましょっ!」


アリアさんはパンパンと手を叩き行動開始を促す。


もうそんな頃なんだ。僕は夕焼けがかった空を見上げた。思ったより坑道の中にいたんだな。って違う!寝てたからか。


僕達3人はロベルトさんへの依頼完了の報告をしに第3坑道を後にした。


◇◇◆◇◇◆◇◇


ロベルトさんの屋敷にて。

僕達は応接間へと案内された。暫くの間待っているとロベルトさんがドアを開け少し興奮した様子で入ってきた。


「お待たせして申し訳ありません。皆さんお疲れ様でした。それでどうでしたか?」


「ええ。グールの討伐及び瘴気浄化の件は無事に依頼を達成しました。」


「おぉっ!やはりギルド【星屑】に依頼して良かった。それで我らの仲間は安らかに逝けましたか?」


「ええ。浄化の魔法で瘴気によって囚われた魂も浄化された事でしょう。」


「白々しい・・・。」


アリアさんは聞こえない様にボソッと呟く。

アリアさん僕聞こえてますけど。

僕はふとロベルトさんと目が合いロベルトさんの微笑みに対しひきつった笑顔で返した。

何だか騙してる様で辛いです。


「では、約束の報酬ですが・・・。」


「ちょっとお待ち下さい。それは今は頂く訳にはいきません。」


ロベルトさんが報酬を渡そうとメイドに持って来る様指示しようとした矢先ルドルフさんが待ったをかけた。


「何故です?依頼を達成した頂いたのに。報酬は受け取らないとは。」


「いえ。報酬はギルドの規定により依頼主から直接頂く訳にはいかないのですよ。一応我々もギルドからの依頼と言う事で今回来ていますので。依頼主と冒険者とでの直接交渉は御法度なので、その辺りご理解して頂きたい。」


「分かりました。そういう事情でしたら。では今回の依頼報酬はギルドの方で話を通しておきますね。」


「ありがとうございます。それともう1つお願いがあるのですが。」


「はい。何でしょう?」


「今回我々が依頼に向かった第3坑道ですが、後日ギルドの職員が確認に来ると思いますのでそれまで坑道は立ち入り禁止のままにして欲しいのです。」


「もし差し支えなければ理由をお聞かせして貰えませんか?」


「瘴気を浄化したとはいえ、また瘴気が吹き出るとも限りませんから。なので採掘作業が出来るかの安全確認も含め瘴気の再発生の確認をしてもらうのです。」


「成る程。そういう事でしたら致し方ありませんね。坑道の仕事に関わる仲間の安全が最優先ですから。分かりました。安全の確認がとれるまで第3坑道は立ち入り禁止のままにしておきます。」


「ご理解ご協力感謝します。」


「いえ、此方こそ本当にありがとうございました。」


そう言うとルドルフさんとロベルトさんはお互いに立ち上がり握手を交わした。


「では、我々はここらで失礼しますね。」


「はい。また何かありましたらギルド【星屑】の方にまた依頼させて頂きますね。」


「その時は宜しくお願いします。」


僕達はロベルトさんの屋敷を後にした。

屋敷から出た途端ルドルフさんは背伸びをした。


「う~ん。やっぱり馴れない敬語と態度をすると肩が凝って仕方ねぇな。」


「本当あんた良くあそこまでいけしゃあしゃあと言葉が出るわね。グールなんて坑道の中に首が何個も転がってるでしょっ!それに浄化で灰になって消えたのゾンビだけだし。軽く詐欺よ。」


「だから言ったろ?ギルド職員が確認するまで坑道に入るなって。ギルド職員には話を通して坑道内のグールの死体は見付からない様に処理して貰うからよ。」


ルドルフさんは悪い笑みを浮かべている。


「あんた本当元聖職者?今のあんたの言動と顔、悪党にしか見えないわよ?」


「まぁ無事に終わったんだし、良いじゃねぇか!それよりも腹も減ったし折角デュークの街に来たんだし、旨い物食べて帰ろうぜ!」


「僕もその話賛成です!もうお腹さっきからペコペコだったんです!」


「それには私も賛成だけど・・・。ぐぅ~。」


「何だ?アリア腹の虫が鳴ってるじゃねーか。ニシシッ!」


「う、煩いわねっ!さっさと行くわよっ!」


アリアさんはそう言うと耳を真っ赤にしながら急ぎ足で飲食店街の方へ歩いて行った。


「ちょっと僕を置いて行かないで下さいよ。」

「俺も置いて行くなよっ!」


その後僕達3人は飲食店街で飲み食いした後、ルドルフさんだけ一人イヤらしい笑みを浮かべ夜の歓楽街へと消えて行った。


僕達はデュークの街で1泊し、翌日二日酔いで青い顔したルドルフさんと合流し、乗り合い馬車を使いオデッセイの街へと帰って行った。


勿論僕は行きと同じく帰りの馬車でも酔いました。

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