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グールの毒はどうやら媚薬の効果があるようだ。その8

やっと更新しました。本当遅くて申し訳ありません。

僕はズボンの股が濡れての不快感に苛まれながら、それとなく気付かれない様に歩いていた。

坑道の中は暗いから二人には気付かれていないと思うけど、それでもやっぱり気持ち悪い。


「本当ミハイルのあれは何だったんだろうなぁ~。流石の俺も男には興味ないがあんな艶っぽい声上げられると神官のエロ親父共の気持ちが今は何となく分かってお兄さんハアハアしちゃうぜっ!なっ?お前もそう思うだろっ?アリア。」


「ちょっ!何で私に振るのよっ!?」


ルドルフさんから急に話を振られ何故か焦るアリアさん。


「アリアさん、僕そんなに変でしたか?」


「そ、そんな事無いわよっ!ただ・・・ちょっと何時ものミシェルと違って少し戸惑ったっていうか・・・何というか・・・もうこの話はこれでお仕舞いっ!」


「ええ!?」


何だか中途半端で消化不良になっちゃったな。

そんな他愛も無いやり取りをしながら、僕達は坑道の奥へと歩を進めた。


奥へと進むにつれ徐々にではあるが瘴気も濃くなってきており、視界も靄の様な物が掛かり只でさえ暗い坑道の中、夜目だけを頼りに進んでいるのに余計に視界を悪くしていた。これ以上進むなと言わんばかりに。


「うっ。流石に匂いもそうだけど、少しキツいわね。視界も悪くなってきたし。」


「そうですね。本当この匂い何とかならないですかね?鼻が曲がりそうです。」


「もう少し我慢してくれ。後少しで瘴気の漏れ出ている場所に着くからよ。」


「これ絶対髪の毛とか服にも匂いが染み付いてるわよね。あぁっ!もう嫌っ!最悪。」


緊張感無いなぁ。本当。


「おっと、そんな事言ってたら残りの3体が現れたぞって・・・おいおい何か1体違う瞳の色してる個体がいるぞっ!まさかっ!?進化かっ!?」


「何よそれっ!進化ってあんたが言ってたあれ?

そうそう見る事無いって言ってたじゃない!」


「そうなんだが、俺も実際進化してる個体は初めてだから余り俺に聞くなよ。だが、あれは恐らくグールの進化系のゾンビだと思う。」


「ゾンビってどんなモンスター何ですか?見た目余りグールと変わり無さそうですけど?」


「見た目はな。ゾンビ(腐死人)はグールよりもタチが悪いぞ。動き自体はグール以下、何せ体が腐敗しているからだがグールは噛む事によって毒を体内に侵食させるが、ゾンビの場合奴の血液自体が毒でな血液に触れるだけで、皮膚からでも毒が吸収されるから厄介なんだ。」


「じゃあどうやって討伐するんですか!?首を跳ねても血飛沫を浴びたらお仕舞いじゃないですか!?」


「あぁ。だから方法は2つだけだ。1つは燃やす事だ。燃やせば血は掛からないからな。だがこの方法はこの場では使えない。使えば俺達まで炎の巻き添えをくらうからな。」


「じゃあどうするんですか!?」


「まぁ待てよ。方法は2つあるって言ったろ?今回はもう1つの方法を使う。」


「もう1つの方法って何よ?」


「浄化だ。俺の神聖魔法はアンデッド系モンスターには効果絶大だからな。」


「でもそれは瘴気の為にとっておいたんじゃないんですか?」


「あぁ。だが、この際四の五の言ってる場合じゃないだろ。燃やせない以上奴を討伐するにはこの方法しか無いんだからな。」


「それは・・・そうかも知れませんけど・・・。」


「分かっているさ。俺の精神枯渇を心配してくれてるんだろう?なぁに心配要らないさ。この程度で削られる程俺の精神はヤワじゃないさ。」


「分かりました。ルドルフさんっ!お願いしますっ!」


「はいよっ!任せろっ!お前さん方は残りの2体を頼む。」


「任せてっ!今度はあんなミスはしないわっ!」

「はいっ!」


「良しっ!じゃあ戦闘開始と行きますかっ!」


ルドルフさんの号令と共に僕達は行動を開始した。アリアさんは真っ先に突き進む。僕は一呼吸置いてその後に続いた。ルドルフさんは魔法詠唱の準備に取り掛かる。


「ミシェルっ!一気に片付けるわよっ!」

「はいっ!」


アリアさんは足場の悪さも物ともせず、グールの傍へと一気に向かった。


「今度はミスなんかしないわよっ!

喰らいなさいっ!疾風突きっ!散華っ!!!

1つ2つ3つ!」


長剣による鋭い突きがグールの両目、喉を的確に貫いた。両目を貫かれたグールは堪らず両手で両目を押さえ膝を着いた。


「これで仕舞いよっ!」


アリアさんはそのまま間髪入れずにグールの首を両手こど跳ねた。グールは為す統べなく糸が切れた操り人形の様にその場に倒れた。


アリアさんはやっぱり凄い。僕もアリアさんに負けじと後に続かなくちゃ。


「ミシェルっ!もう1体私が貰うわよっ!良いわねっ!」


「えぇ~!?アリアさん酷いですよ~。僕の分は~!?」


「あんたは怪我人なんだからそこでジッとしていなさい。後は私が片付けるから。」


「うぅぅ~。」


僕、男なのに・・・情けないなぁ・・・。


アリアさんはそう言ってもう1体のグールの方へと向かい、あっ!という間にグールの首を跳ねた。


本当アリアさん強いなぁ。せめて自分の身は自分で守れる位強くなりたい・・・。

僕はアリアさんの姿を見ながら拳をギゅッと強く握りしめていた。


「良しっ!お前ら準備出来たぞっ!」


ルドルフさんはそう言ってゾンビの傍へと走って行きモーニングスターをゾンビの顔面に狙いをすまし振った。モーニングスターの鋲がゾンビの左の頬へと突き刺さる。


「あぁぁ・・・ヴあぁぁ・・・。」


ゾンビに痛覚は存在せず殴られようが斬られようが構わず此方に向かってくる。


「逝けっ!ピュフィリケーションっ!!!」


ルドルフさんが唱えるとゾンビの周りから光の粒子がゾンビを包み込む様に現れた。


「わぁー綺麗ですねー。」


「本当綺麗ね・・・」


「あぁぁぁ・・・ヴあぁぁ・・・。」


光の粒子に包まれながらゾンビの体が徐々に朽ちていき最期には灰となっていった。


「ふぅ。これでグールの討伐は完了だな。後は瘴気の浄化だな。」


「はい。」

「そうね。さっさと終わらせましょ。」


僕達はグールの討伐を終え坑道の奥へと進んだ。しかし奥へと進むにつれ行く手を阻むかの如く瘴気の濃さを増していく。


「うっ!流石にキツいわね。ちょっと私この先は無理かも・・・。」


アリアさんは険しい顔をしている。


「無理はするなよ。戻って休んでろ。後は俺がやるから。ミハイルお前も無理しなくて良いからな。」


「分かったわ。ごめん。私、後は任せるわね。入口で待ってるわね。」

「僕は大丈夫です。ありがとうございます。」


アリアさんは振り返り入口へと戻っていった。


「おいミハイル本当に大丈夫か?頑張らなくて良いんだぞ?」


ルドルフさんは心配そうに言ってくれているが、不思議と僕は全然平気だった。只この匂いはキツいものがあった。


僕は布で匂いに耐えながら、ルドルフさんは瘴気に耐えながら奥へと進んだ。


「どうやらここみたいだな。」

「やっと着いたんですね。」


僕達は坑道の行き止まりへと着いた。壁の亀裂から瘴気が漏れ出ている。近くまで行くとその禍々しい異様な空気感が肌に伝わり鳥肌が立った。


「ここの空間だけやたら寒いですね。それに気持ち悪い空気ですし。」


「あぁ。こんな所少しでも長居したく無いな。

良しっ!始めるぜっ!」


ルドルフさんは精神を集中させる。


「ピュフィリケーションっ!!!」


浄化の魔法を唱えると先程ゾンビに使った様に光の粒子が現れ周りの空気を正に浄化していく。亀裂から漏れ出ていた瘴気も浄化されていった。禍々しい異様な空気感も無くなり僕の寒気も治まっていった。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・流石に・・・瘴気の中にいながらの魔法はキツいな・・・。」


ルドルフさんは浄化をし終えると両手で両膝を押さえながら肩で息をしていた。


「ルドルフさんっ!大丈夫ですか!?顔色真っ青ですよ!?それに凄い汗ですよ!?」


「ははっ・・・ちょっと無理し過ぎたかな・・・。

スマン。ミハイル後頼むわ・・・。」


「えっ?」


ルドルフさんは僕に言い終えるとそのまま崩れ落ちた。


「ルドルフさん――――――っ!?」


「すぅすぅ・・・」


ん?寝息?寝てるの?

どうやら精神的疲労でそのまま寝てしまったらしい。良く寝れるなこの人。って僕が入口までこの人運ぶの!?

僕も怪我人なのに・・・。僕はスヤスヤと寝ているルドルフさんを肩から担ぎ入口へと向かった。


うぅぅ・・・痛い・・・ルドルフさん重い・・・。

僕は痛みに半べそをかきながらルドルフさんを引き摺り入口まで向かった。

後で気づいた事だがアリアさんを呼びに行けば良かったと後悔した事は言うまでもない。






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