グールの毒はどうやら媚薬の効果があるようだ。その6
更新遅くなりました。どうもすみません。
アリアさんは長剣を脇構えにし、此方に近づいて来るグールに向かって駆け出して行った。
「でえぇぇいぃぃやあぁぁっ!!!」
アリアさんの長剣の刃がグールの左脇腹入り右の右肩口にかけてグールを切り裂いた。
切り裂かれたグールはそのまま崩れ落ちる。
アリアさんは間髪入れずに次に来るグールに向かって切り上げた長剣をそのまま勢い良く振り下ろした瞬間。
ガキンッ!!!
「あっ!」
アリアさんが振り下ろした長剣は坑道の天井へとぶつかりその勢いを失った。
グールの2体は勢いを失い体勢を立て直そうとするアリアさんに襲い掛かった。
「あんの馬鹿女っ!」
「アリアさんっ!」
僕とルドルフさんは走ってグールに襲われそうになっているアリアさんの方へと向かった。
「ガァあぁァァ。ヴァあぁァァ。」
グールはアリアさんの腕に掴み掛かろうと手を伸ばす。
「クッ!」
アリアさんは掴み掛かろうとするグールの手から身を捩りながら避けようと後ろへと下がろうとしたが、もう1体のグールがそれを許さず、口を開けアリアさんの首もとを噛み付こうと首を伸ばした。
(まずったなぁ。流石の私も此処までかなぁ。格好付けて行った割にこれかぁ。案外冒険者なんて最期はこんな物かもね。ふふっ。)
アリアは心の中で呟く。グールに襲われながらも考える余裕がある所が彼女の凄い所だった。
アリアは目を瞑り己の運命を受け入れようとした矢先。
「アリアさんっ!!」
僕は大声で叫びながらアリアさんの左腕を掴み、そのまま力任せに後方へと僕の身体と入れ替える様にして引っ張った。
僕はアリアさんと身体の位置を入れ替えたと同時にグールに左腕と右肩を噛まれた。
噛まれた傷口から血液を通してグールの毒が僕の全身に回り始めた。
【ラーニング】を開始します。
――――――――解析完了。【毒攻撃(小)】【毒耐性(小)】修得準備中。
まただ。また僕の頭の中に謎の声が響く。
僕はグールに噛まれた痛みに我慢しながら涙目になりつつひきつった顔でアリアさんに笑いかけた。
「だ、大丈夫ですか?アリアさん。け、怪我は何処も無いですか?」
アリアさんは僕に引っ張られ尻餅を突いたお尻を擦っていた。
「痛つつ・・・。え、えぇ。私は大丈夫・・・。ってミシェルっ!?」
アリアさんは僕の方を見て驚愕した。その後ろで一際大きな声を出しながらルドルフさんがグールに向かってモーニングスターを振り上げていた。
「この野郎っ!どりゃあぁぁっ!!!」
ルドルフさんは僕の左腕に噛み付いているグールの脳天目掛けてモーニングスターを思い切り振り下ろした。
「ヴッ!アァ―――ッ!」
脳天をめり込まれたグールはその場で崩し落ち左腕を噛んでいた力はふっと抜け自由に動かせる様になった。
僕は左腕に持っていた短剣を右肩に噛み付いているグールの右目に短剣を突き刺した。
突き刺した感触が刃を伝って残る。僕は構わず2度3度とグールの顔に短剣を突き立てた。
「ヴァ・・・あぁ・・・。」
右肩に噛み付いていたグールは漸く噛んでいた口を離し力無く倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
グール(喰人鬼)討伐。
【ラーニング】完了。
【毒攻撃(小)】【毒耐性(小)】修得完了。
謎の声が頭の中に響いた。
僕は怪我をした左腕で右肩を押さえその場に座り込んだ。
「ごめんねっ!ミシェルっ!本当にごめんね。私のせいで。」
アリアさんが若干涙目になりながら座り込んでいる僕に駆け寄る。
「馬鹿野郎っ!あれほど気を付けろって言っただろうがっ!ミハイルっ!お前もあんな無茶しやがってっ!お前ら二人して死にてぇのかっ!」
ルドルフさんが物凄い形相で僕とアリアさんに向かって怒鳴っている。
「すみません・・・。」
「ごめんなさい・・・。」
ルドルフさんに怒鳴られシュンっとしている僕達にルドルフさんは近づいて僕達の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「まぁ・・・兎に角無事で良かったよ。今後は連携が課題だな。取りあえずミシェルの傷を見ないとなっ!グールに噛まれて毒が回っているだろうから解毒しないとな。」
「ははっ。ありがとうございま・・・グゥッ・・・うぅ・・・。」
僕の身体の中に回り始めたグールの毒がここにきて症状となって現れたみたいだ。
身体の中が熱い。自分の鼓動がドクドクと脈を打っているのが分かる。自分の息遣いも徐々に荒くなっていくのが分かる。そして一番は自分の下腹部の下の辺りが・・・。
僕は地面に手を付き下腹部の下を手で押さえながらうずくまった体勢で苦しさと何とも表現出来ない高揚感に耐えていた。
は、早く解毒しないと僕の身体が今にもどうにかなっちゃいそうだよ・・・。
また尻餅ネタになってしまいました。もう少し表現のボキャブラリーを増やさないダメですね。一応次の話でグールの話は終わりにしたいなぁと思っております。




