グールの毒はどうやら媚薬の効果があるようだ。その5
更新遅くて申し訳ありません。
読んで頂いている皆様に申し訳なく思っております。
坑道の中は少し肌寒い感じで、1寸先は闇と言わんばかりに坑道は暗闇に包まれている。
比較的夜目が利くアリアさんを先頭に僕、ルドルフさんの順に坑道の中を進んで行った。
ルドルフさんは元神官の回復役で今回のクエストにおいては重要な役なので、何かあっては僕らでは対処しきれないからだ。
ルドルフさん本人はというと、前衛が良いと多少駄々を捏ねていたがアリアさんに一喝されて渋々今回は後衛にいてもらった。
ここ第3坑道は一番新しい坑道らしく他の坑道とは違い一本道である為、先ず迷う事は無いのが救いだ。それに採掘途中の為、距離も短いらしい。
「それにしてもこの中、凄い匂いね。空気もなんだか悪い感じだし。後、狭いし。」
アリアさんは布で口元を押さえながら渋い顔をしている。
「確かにこれは凄い匂いですね。何か色々な物が混ざっている様な何とも言えない匂いですね。」
「あぁ。これは瘴気の匂いだな。まだ入口だからそこまで充満してないが、奥に行くと濃い瘴気が充満してると思うぞ。
お前ら余り吸うなよ?瘴気に当てられるぞ。瘴気は身体に良いものじゃ決してないからな。」
「もうっ!そういう大事な事は入る前に言ってよねっ!」
「ガミガミ煩い奴だな。俺だって忘れる事あるんだよっ!」
「何よっ!煩いって!」
僕を間に挟みながら喧嘩するの止めて欲しい。
「ルドルフさん瘴気に当てられるとどうなるんですか?」
「ん?あぁ。瘴気を長時間吸いすぎたりすると頭痛・吐き気に襲われるんだ。で、更には意識が混濁して最終的にはぶっ倒れるぞ。倒れた所をモンスターに襲われたらお陀仏って訳だ。なっ?危ないだろ?」
「そうなんですねっ!気を付けますっ!」
「ダァ~カァ~ラァ~そういう大事な事はここに入る前に言ってよねっ!つて言ったでしょ!」
「本当煩い奴だな。それと付け加えておくなら今の話は俺達人間に限った話でな、モンスターの場合はまた別なんだわ。」
「それってどういう事なんです?」
「モンスターの場合、瘴気を長時間浴びたり、吸い続けたりしていると、先ず凶暴化する。更に濃い瘴気の中にいると稀に進化する個体も出て来るって話だ。
他のギルドの冒険者に聞いた話なんだが、どうやら進化したっていう目撃例があるらしい。
今の所俺達の所属するギルドでは進化したっていう目撃例はまだないんだがな。
こういう稼業だから1度位は拝んでみたいがな。」
ルドルフさんはそう言ってモーニングスターの柄で肩をトントンと叩いている。
「ん?でもルドルフさん、そうなると今回の討伐目標であるグールの場合はどうなんです?
犠牲になってしまったとはいえ元は僕達と同じ人間ですよ?
人も瘴気を浴び続けるとモンスターになるんですか?」
「いや、人間はモンスターにはならないぞ。
さっきも言ったが最終的には意識を失うんだが、瘴気の中で死んでしまうと魂は抜けているんだが、その器である肉体はその場にあるままだから瘴気に汚染されてモンスター化するって訳だ。」
「あれ?でもロベルトさんのお屋敷で魂の浄化をって言われてましたよね?」
「あぁ~そんな事も言ったっけか。
あれは・・・なんつうか・・・話の流れに乗ったっていうか・・・まぁ・・・その・・・なんだあんな厳粛な空気の中、瘴気に魂を縛る効力は無いですよ~。グールはモンスターの1種ですよ~。
何てあんな空気の中言える訳無いだろっ!」
「うわぁ・・・最低。」
アリアさんがドン引きしている。
「そう言うけどお前は言えるのかよ?」
「私っ!?そりゃあ・・・その・・・ごにょごにょ・・・。もうっ!う、煩いわねっ!」
「ほら見ろっ!お前だって言えねーじゃねーか!」
二人のそんな子供の痴話喧嘩を見ながら坑道を進んで行くと先頭を歩いていたアリアさんが歩みを止めた。
「どうしたんですか?」
「シッ!静かに。どうやらおいでなさったわよ。」
暗がりの中目を凝らして奥の方を見ると妖しく紅く光るのが6つこちらに向かってゆらゆらと揺れていた。
「さぁ!始めるわよっ!」
僕達はアリアさんの掛け声と供に武器を構える
「アリアっ!グールには痛みなんてもんは感じ無いから一撃でやれっ!斬られても構わず襲って来るぞっ!それと!噛まれるなよっ!」
「煩いわねっ!言われなくても分かってるわよっ!」
アリアさんはそう言ってグールに向かって駆け出して行った。
さぁっ!グール(喰屍鬼)討伐の開始だ。
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