グールの毒はどうやら媚薬の効果があるようだ。その1
更新が遅くなりまして、申し訳ありません。暫くはこの様なペースになると思いますがお許し下さい。
僕はギルド長室から出て急いで仕度をしようと宿屋へと向かうと僕の後ろからアリアさんとルドルフさんの二人が駆け寄って来た。
「はぁ・・・はぁ・・・ミシェルちょっとぉ先に行かないでよね。」
「お・・・おい!いきなり仲間を置いて行くなよ。」
「あっ!ご、ごめんなさい・・・。」
「全くミシェルは急いで仕度するのも良いけど、どうせ行く場所も良く分かって無いんでしょ?」
「はは・・・そうでした。炭鉱の街デュークまでどの位掛かるんです?」
「そうね・・・ここからだと馬車で行って2日の距離って所かしらね。因みに徒歩だと5日は掛かるわよ?」
「えっ!?そうなんですか?」
「えっ!?じゃないわよ。何ミシェルまさか徒歩で行こうと思ってた訳じゃないわよね?」
「そのつもりでしたけど・・・。」
「はぁ・・・呆れた。ミシェルはもう少し社会の勉強が必要かもね。」
「えっ!?それってどういう意味ですか?」
「まだまだお子様って事だよ。」
「失礼ですね。僕はもう15ですよ!成人した大人ですよ!」
「そう言ってる時点で既にお子様なんだよ。」
「それは言えてるかも。」
「もう!二人して僕の事、子供扱いして!先に行きますからね!」
僕は二人に子供扱いされた事に少し腹を立て、二人を置いて行くように足早に宿屋へと向かった。
「ちょっちょっとぉ。」
「だから先に行くなって!」
ふんだ!知りませんよぉ~っだ!
◇◇◆◇◇◆◇◇
僕達は各々準備を済ませ目的地である炭鉱の街デュークに向かう為、乗り合い馬車に乗って街へと向かった。勿論馬車の中で僕は無言のままだ。まだ子供扱いした事許していませんから。
「ねぇねぇ何時までそうして拗ねてるの?子供扱いした事ごめんって謝ってるからそろそろ機嫌直してよ~。」
「そうだぜ。3人パーティーになって最初がこれだと後々に響くから機嫌直してくれよ。お菓子やるから。」
「むむむ!もうっ!何なんですか!二人共!さっきから全然反省してないじゃないですか!それにルドルフさん!お菓子って何ですか!そんな物で僕が釣られると思ったら大間違いなんですからね!後で少し分けて下さい!」
「食べるんかい!」
「はぁ・・・もう二人に腹を立てても疲れるだけなんでもう良いです。」
「本当?もう怒ってない?」
「はい。もう良いですよ。アリアさん。」
「わーん。ありがとうミシェル。もう次から余り子供扱いしない様に気をつけるから。」
「俺も気をつけるぜ。ほらっ。お菓子。」
「本当もう良いですから!あっ!お菓子ありがとうございます。」
「お前さん方元気で良いなぁ!その格好冒険者さんかい?」
馬車の中で僕達3人のやり取り見ていた乗り合いのおじさんが僕達に話しかけてきた。
「そうです。まだまだかけ出しなんですけど、冒険者をやらせてもらっています。」
「そうかい。そうかい。まだ若いのに立派な事だな。」
「あ、ありがとうございます。所でおじさんも炭鉱の街デュークに行くんですか?」
「そうだよ。娘に会いにわざわざ休暇を取ってなぁ。その帰りなんだよ。俺は彼処で何年も鉱夫をしててなぁ。彼処の炭鉱は良質な石炭が採掘出来るって有名なんだがお前さん方知らないのかい?」
「へぇ。そうなんですね。僕初めて知りました。」
「私は知ってたわよ。」
「俺も。」
「でもおじさん今彼処は・・・ムグッ・・・グッ・・・」
僕は現在あの街の炭鉱は封鎖されている事を話そうとした瞬間アリアさんに両手で口を塞がれた。
「?どうかしたのかい?」
「あはははっ。何でもないです。」
アリアさんは僕の口を両手で塞ぎながら小声で話しかけた。
「馬鹿っ!何話そうとしてるのよ!此処でグールの話なんかしたら混乱するに決まってるでしょ!それに!もしかしたら箝口令が敷かれているかも知れないでしょ!安易にそういう大事な事は話たら不味いでしょ!分かった?」
僕はコクコクと頷いた。それを見て漸くアリアさんは両手を放してくれた。
「お前さん方も街に行くのかい?彼処は石炭位しか採れないし、余り冒険者が来る所でもないがなぁ。」
「俺達は街に頼まれて坑道に発生した瘴気の浄化に行く所なんだぜ。」
「ちょっちょっと!」
「ありゃ!?そうなのかい?そりゃあ大変だぁいやいや、それは助かるよ。確かに坑道で石炭を掘ってるとたまに瘴気の穴に当たって吹き出る事があるからなぁ。定期的に神官さんを呼ばないといけないから。また障気が吹き出たんかい?」
「そうみたいなんだよ。だからこうして俺達が派遣された訳。」
「お兄さんは神官さんなのかい?冒険者さんなのかい?」
「俺は冒険者だよ。但し元神官だから勿論浄化も出来るから問題ないぜ?」
「そりゃあ安心だ。宜しく頼むよ。」
「おぉ!任せてくれ!あっはっはっ!っておい!何だよ!?」
景気良く笑っているルドルフさんの袖をアリアさんはグイッと引っ張りまたも小声で話しかける。
「ちょっと!そんな事勝手に言って良いわけ?今さっきミシェルにも言ったばかりなんだけど」
「大丈夫だって、その証拠にグールの話は一切してないだろ?それにあのおっさんも瘴気の話は知ってただろ?瘴気自体は坑道で働いてたら日常茶飯事の事だから体して気にして無かったろ?」
「それはそうだけど・・・。」
「どのみち街に着いたら知る事にはなるんだから、そんなに目くじら立てるなよ。反ってそっちの方が余計怪しいぞ。普通にしてろ普通に。」
「う・・・うん。それもそうね。」
アリアさんが言いくるめられている。流石ルドルフさん僕達より年上なだけありますね。
僕達3人の内二人は街に着くまでの間、馬車に揺られながらおじさんを交え会話を楽しんだ。僕はというと・・・街に着くまでの間沈黙していた。理由は馬車に乗る経験が少ない僕は馬車に酔い終始魂が体から抜けかけていた。漸く魂が体に戻る頃、街が見えてきた。因みにそんな僕を見て二人は笑っていたことは言うまでもない。




