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回復支援て前衛でしたっけ?その4

「ふぅ~喰った喰ったぁ~。」


男の人は満足したかの様にお腹を擦っている。


「じゃっ!俺、もう行くわ!朝飯ご馳走さん。もしまた見かける事があったら気兼ねなく声でも掛けてくれ。」


男の人はそう言うと席を立ち宿を後にした。


アリアさんは男の人が出て行くのを確認した後、僕に不満をぶつける。


「本当何なのあいつ!勝手にやりたい放題!本当ムカつく!ねぇ!ミシェルもそう思うでしょ!」


「あはッあはは・・・。」


僕はひたすら苦笑いするしかない。っというか。アリアさんも似たような感じですよ。とは口が裂けても言えない。言ったらどうなるか目に見えているから。


僕は一頻りアリアさんの愚痴を聞いた後、時間までゆっくりと過ごし、それから昨日マギーさんが言っていた通り午後子刻頃ギルドへとアリアさんと一緒に向かった。流石にその頃になるとアリアさんの怒りも収まりいつも通りだった。


はあぁぁぁ。またこのドアをノックしないといけないのか。緊張で胃が痛くなりそうだ。

僕はまたギルド長のドアの前で緊張した面持ちで立っていた。


「アリアさん!」


「うん?なあに?」


「今度は僕がノックするのでアリアさん昨日みたいな事止めて下さいね。」


「昨日の事?あぁ~アレ。別に普通に入れば良いだけじゃない?」


「それもそうなんですけど、ギルド長室なんですから緊張するじゃないですか。僕は僕のタイミングで入るのでアリアさんは余計な事しないで下さいね!」


「何よッ!それ!余計な事って!ミシェルが下手に意識し過ぎなだけだから!」


「うぅぅ・・・そんな事頭では分かってますよぅ。

でもここへ来ると体がいうこと効かないんですよぅ。こう体が重くなるというか金縛りにあってるかの様な感覚になるんですよ。それ位ギルド長の凄さが部屋に入る前から伝わってくるって事なんですよ。きっと。」


僕は最もらしい事をアリアさんに言い誤魔化した。本当はただ単に偉い人と話すのが苦手なだけなんだけど。


二人でギルド長室前でああだこうだと言っていたら中からドアがガチャリと開きロイズさんが微笑みながら


「二人とも外から丸聞こえだから早く中に入ったらどうだい?」


「あっ!はい。失礼します!」


恥ずかしい・・・。


僕達はちょっと気恥ずかしそうに中へ入るといつも通り目の前にギルド長であるマギーさんが座っており、それとは別に知らない男の人が背を向けた状態でマギーさんの前に立っていた。


男の人は白と青を基調とした神官服を着ており、聖ハルモニア公国の神官服それだった。ってあれ?あの背格好何処かで見たような・・・。


「時刻通り来たわね二人とも。まぁ入るまでにちょっとしたイチャつきはあったみたいだけどね。

ふふふっ。」


「い、いやそれは!ミシェルがドアの前でいつまでもウジウジしてただけで、べ、別にイチャついてなんか・・・モゴモゴ・・・。」


何故かアリアさんがまた頬を赤く染めながら狼狽している。


「おふざけはこの位にしてと。ミハイル。昨日言った事は覚えているわね?」


「はい。メンバーを増やして欲しいのですが。」


「そうね。丁度あなた達二人に紹介したい子がいるのよ。今あなた達の目の前にいる子が新しいパーティーメンバーの子よ。ルドルフ、二人に自己紹介して。」


マギーさんがそう言うと男の人は僕達二人に振り向くとニッと笑って


「よぉ!お二人さん!また会ったな!」


「えっ!?えぇっ!?」

「って!あんたは―――――!!!」


僕達はお互い思い思いの驚きの反応をした。


「何?二人とも知り合いだったの?なら話は早いわね。この子、ルドルフがあなた達二人の新しいパーティーメンバーよ。」


「なっ!?知り合いだなんてとんでもない!ただのたかりやですよ!こんな奴!それに!私、こんな奴とパーティー組むの嫌ですから!」


アリアさんの怒りの炎が再燃してしまった。


「こんな奴とは酷い言われようだな。仮にも年上だぞ俺は。それにお前らよりランクも1つ上のDランクだから先輩だぞ一応。」


「そんな事知ったこっちゃないわよ!年上だろうが先輩だろうがたかりやには変わりはないわ!ねぇ!ミシェルもそう思うでしょ?」


「失礼な女だな。俺は昨日のお礼に朝飯をご馳走になっただけじゃねぇか。それに朝飯を奢ってくれたのはお前じゃなくてそこにいる小僧じゃねぇか。なぁ?」


二人してキッと睨みつけるかの様に僕の方に向かって視線を運ぶ。二人ともやめてぇぇぇ。僕を巻き込まないでぇぇぇ。


「えぇっと、あの、その・・・。」


「二人ともいい加減にしなさい!」


マギーさんの声が部屋の中に響き渡る。すると一瞬の内に部屋は静寂に包まれた。


「アリア、これはもうギルド長の私が決めた事よ。拒否権は無いわ。それにルドルフ、貴方も貴方よ。年上で先輩と言うのならもう少し大人になりなさい。」


「そ、それは・・・はい・・・。」

「・・・。分かりましたよ。」


流石ギルド長の会心の一撃。二人を一瞬で黙らせた。


「ミハイル、貴方も良いわね?今日から此処にいるルドルフが貴方達の新しいパーティーメンバーよ。貴方達も自己紹介してあげなさい。」


「はい。ミハイル=ロックフェラです。15才。ランクはEランクです。あの昨日は本当にありがとうございました。これから宜しくお願いします。」


「アリア=フェアウェイ。17才。ランクはE。剣士で前衛。以上。」


アリアさんは納得がいかない様子でブスッとしておりルドルフさんに目を合わそうともしない。


「ははっ。嫌われたもんだなぁ。俺の方もキチンと自己紹介しないとな!これからお前らに世話になるんだしよっ!

えぇ・・・っと名前はルドルフ=パーソロン。29才。ランクはさっきも言ったが1つ上のDランクだ。格好は見れば分かると思うが聖ハルモニア公国の元神官で魔法は主に回復支援だ。後は・・・そうそう!ポジションは前衛だ!これから宜しくなっ!」


「はい。宜しくお願いします。って・・・うん!?神官で回復支援なのに今、前衛って言いました?後衛の聞き間違いでしょうか?それに元神官って言いましたか?」


「あぁ~それはな・・・」


マギーさんが気まずそうな顔をしている。


「それは俺が神官を破門になったからさ!それと俺の武器は杖では無くこのモーニングスターだからさ!ちまちま後衛何かにいられるかっての。」


ルドルフさんは自慢気に言って手に取ったモーニングスターに頬刷りしている。


えっ!?破門?てか回復支援て前衛でしたっけ?

何かまた嫌な予感しかないんですけど。


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