スライムの酸攻撃は痛気持ちいい。その1
え・・っと今日の依頼はっと・・何か僕にもこなせる依頼あるかな?
掲示板に何枚も貼り出されている依頼書を1枚ずつ吟味していると後ろから急に後頭部を叩かれた。
パァーン!!!良い音が辺りに響く。
「痛った!!」
僕は後頭部を手で擦りながら後ろを振り返ると
赤い髪のショートカットの女性が仁王立ちで、ニッと笑って僕に話かけてきた。
「ミシェル~あんたそんなに依頼書凝視して紙に穴でも開けるつもり?」
「アリアさん!イキナリ僕の頭叩く事無いじゃないですか!」
「朝から辛気くさい顔してたら頭も叩きたくなるじゃない。」
彼女の名前は【アリア=フェアウェイ」17才。
僕より2才年上でパーティーメンバーの一人だ。
ポジションは前衛で職業は剣士だ。
今はまだ僕ら二人しかいないパーティーだけどね。
「そんな事よりミシェル。何か良さそうな依頼あった?」
「そんな事って・・・僕はまだ叩かれた事許してないんですけど?」
「あれ?そうだった?まぁ良いじゃない。
それよりあった訳?依頼。」
誤魔化したな。
「そうですね~僕ら二人だけでも出来そうな依頼は・・・ゴブリン1体の討伐か、スライム2体討伐ですかね。」
「そうね~。じゃあ今回はスライム2体にしましょ。成功報酬は銀貨1枚か~まぁ私達二人しかいないし、こんなもんかな。」
「決まりですね。じゃあ僕は依頼書の受注しに受付に行って来ますね。」
「はいはーい。行ってらっしゃーい。私は入口で待ってるわね。」
アリアさんはそう僕に告げるとギルドの入口へと向かって行った。
僕はスライム2体討伐の依頼書を掲示板から外し討伐クエストを受注しに受付カウンターへと移動した。
クエストには大きく分けて2つあり、1つは採集クエスト。これは、文字通り採集が主で依頼された個数をギルドへと納品すれば任務完了となる。
もう1つが僕ら二人がこれから受注する討伐クエストだ。これも文字通り討伐が主で、近隣住民やその地を治める領主様等から依頼が出ており、指定されたモンスターを討伐するのが目的である。
後は護衛クエスト、捜索クエスト等もあるが、
今の僕らには到底出来ないので。
理由は至極簡単、冒険者ランクが低いからだ。
僕らの今のランクは最低のEランク。
護衛クエストはCランクからでないと受注出来ないので今の僕らには全く関係ないのだ。
関係ない訳ではないね。冒険者足るものいつも上を目指さないと。
ランクアップ出来る様に頑張らないとね。
「この依頼を受注したいので、お願いします。
ソフィーリアさん。」
「ミシェル君おはようございます。スライム2体の討伐ですね。了承しました。では頑張って来て下さいね。戦女神の加護があらんことを。」
「はい!行って来ますね」
討伐クエスト受付カウンターの受付嬢【ソフィーリア=ダンテ】18才。金髪碧眼でサラサラのロングストレートが印象的な女性だ。ギルド【星屑】での人気ランキングでも常に上位にランクインしている素敵な方だ。
朝から僕はソフィーリアさんの笑顔に癒されニヤニヤしながらギルド入口へと向かうと、アリアさんが怪訝そうな顔で僕の方を見ていた。
「何、いつまでもニヤニヤしているのよ。気持ち悪い!」
「なっ!?そんな言い方幾らなんでも酷いじゃないですかー!」
「ほら!さっさとスライム討伐行くわよ!場所は何処?」
僕はムスッとした顔をしながら依頼内容の確認をした。するとアリアさんが僕の横から依頼内容を覗きこんできた。
◇◇◆◇◇◆◇◇
【討伐クエスト】
【目標】スライム2体討伐。
【場所】シルフの森。
【報酬】銀貨1枚。
【期限】卯月5日夕、巳刻まで。
【失敗条件】戦闘不能及び期限切れ。
「ふーん。シルフの森か。ここから直ぐの森ね。じゃあ、さっさと依頼を済ませましょうか。」
ちょっとアリアさん近い!顔近いから!と心の中で僕は叫んでいた。
「何今度は赤くなってんのよ。忙しいわね。あんたは。」
もういいです。
こうして僕らはスライム討伐へシルフの森へと向かった。