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ゴブリンの集団に襲われたら逃げましょう。その4

アリアさんに大丈夫ですとは言ったものの、中々恐怖から体が抜けきれておらず、若干手足がプルプルと震えている。

それに気づいたアリアさんがパンッと僕の両手を叩いて一言だけ


「大丈夫!」


と言って笑顔を見せてくれた。その真っ直ぐに僕の瞳を見て言ってくれたアリアさんを見て、震えていた手足はいつの間にか止まっていた。


「もう大丈夫です!」


僕は立ち上がりそうアリアさんに告げた。


路地の陰からそぉっと大通りを見るとさっきの短弓を持ったゴブリンとは別に他にも何体かいるのが確認出来た。きっと呼ばれて集まって来たのだろう。


「どうしよう・・・増えてる。」


「1度退却してまた機会を見て再挑戦する?それともこのままヤる?」


「いえ、このまま続行します。幸い、短弓を持ってるゴブリンは1体だけの様なので、そいつを先に倒せば後は何とかなるかも。」


「分かった。で?どうする?」


「アリアさんには先に短弓を持っているあのゴブリンを倒して欲しいんですけど、大丈夫ですか?アリアさんの速さが胆なんですが。


「アレを先にヤれば良いのね?OK!分かったわ!任せて。」


「本当大丈夫ですか?結構大変ですよ?そんな簡単に返事して大丈夫ですか?」


「あら?ミシェル~あんた出来ない事を私に頼んだりしない筈でしょ?だから大丈夫よ。まぁ私流でアイツを倒しに行くけどね。私を怒らせた罪は重いわよ。ふふふ。」


そう言うとアリアさんはニンマリと悪い笑顔を作っている。


「はは・・・ではそちらはお願いします。」


怖い・・・こういう時のアリアさんは一番怖い。

ご愁傷様・・・短弓ゴブリン。


「さぁて行くわよ!」


アリアさんはそう言って颯爽と大通りへと飛び出しそのまま向かいの廃墟の屋根までトントントンッと登っていった。


「速ッ!アリアさん速ッ!」


アリアさんは屋根まで登るとそのまま屋根づたいに短弓持ちゴブリン目掛けて一直線に駆けて行った。


余りの速さに焦った短弓持ちゴブリンは急いで狙いをアリアさんへ向けて矢を放つが、そんな狙いもキチンと定まっていない矢がアリアさんに当たる訳も無く、矢はあさっての方向へと飛んでいった。


その頃、僕は短弓持ちゴブリンの意識がアリアさんの方へと向いているのを確認した後、大通りにいるゴブリン達を倒しに行動を開始していた。


「1・・・2・・・3・・・4体か、ちょっと多いな。

大通りにいるゴブリンは各々、木の棒や錆びた剣、手製の槍を持っていた。


ゴブリン達は先頭に錆びた剣持ちゴブリンが1体、左右1体ずつ木の棒持ちゴブリンがおり、一番奥に手製の槍持ちゴブリンがいる陣形だ。


僕は短剣を左逆手に持ってゴブリン達に向かって走っていき、先ずは錆びた剣持ちゴブリンを相手に足を止めず向かった。


錆びた剣持ちゴブリンは剣を振りかぶり、そのまま僕の頭目掛けて剣を降り下ろす。

僕は降り下ろされた剣を走りながら右に避けると同時に左逆手に持った短剣を首を狙って切り裂いた。


「ガッ・・・ギッ・・・。」


首を切り裂かれた錆びた剣持ちゴブリンは勢い良く血が吹き出る首に手をあてたまま膝を着いた。


短剣を振り切った勢いのまま今度は右側にいる木の棒持ちゴブリンに対し右足で廻し蹴りをして後方へと吹き飛ばす。


「グギャッ!」


胸に思い切り蹴り飛ばされた木の棒持ちゴブリンは廃墟の壁に叩きつけられた。


後残りは左側にいる木の棒持ちゴブリンと手製の槍持ちゴブリンだけだが、流石に2体倒された後とあっては僕との距離を空け警戒している。


直ぐに2体同時に襲って来ないなら僕としては交えって都合が良い。今の内に左逆手に持った短剣を右手に持ち替えて今度は左手に青魔法【酸攻撃(小)】を準備し、手製の槍持ちゴブリンの顔を狙って【酸攻撃(小)】を浴びせた。


「グギャャャャャアァァァァ!!!」


顔に酸を思い切り浴びた手製の槍持ちゴブリンは

槍を落とし、焼け爛れた顔を両手で覆い喚き散らしている。僕はその隙に喚き散らしているゴブリンの心臓を短剣で突き刺した。


「ガッ・・・ハッ・・・。」


心臓を突き刺された手製の槍持ちゴブリンはそのまま沈黙し、僕に寄り掛かる様に倒れた。


最後は・・・っと左側の木の棒持ちゴブリンか・・・っと思い左側の方を見ると木の棒を構えたまま動けずにいるゴブリンと目が合った。その表情は先程まで僕自身がしていた表情とまるで一緒だった。

自分の死を連想して凍りついた表情そのままだった。僕はその表情を見るなり思わず声が漏れた。


「あっ・・・。」


ほんの一瞬だった。我に還った木の棒持ちゴブリンは後ろを振り返り逃げた。

僕は逃げた木の棒持ちゴブリンを追おうと思ったが、僕に寄り掛かって死んでいる手製の槍持ちゴブリンが邪魔で追えなかった。心臓を刺した短剣を引き抜き寄り掛かって死んでいる手製の槍持ちゴブリンを退かした頃には逃げた木の棒持ちゴブリンの姿は無かった。


やってしまったぁぁぁ~!!!

逃げられた!これ完全に他の仲間呼びに行くよね!?絶対!どうしよう・・・。今から単身で追うのは危険が大き過ぎるし。取り合えずアリアさんに相談して決めよう。

うん!そうしよう!ってそういえばアリアさんは!?どうだったんだろう?多分あの人の事だから大丈夫だとは思うんだけど・・・。そんな事を思っていると短弓ゴブリンのいた廃墟の方からアリアさんの声がする。


「ミシェル~!こっちこっち~!ゴブリン仕留めたわよ~!」


嬉々とした顔で、短弓ゴブリンの首を持っているアリアさんがそこにはいた。


はい・・・。ですよね~。本当アリアさんを怒らせるのは止めよう・・・と心に誓った。

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