悔悛告白 2
イカした名前のおかげで勢いづいたってわけでもないが、俺らは前にも増して派手に暴れまわり、行く先々でどでかい花火を打ち上げた。その甲斐あって、島中に悪名が広まったよ。もしかしたら、本土にも届いてるかもな。
三下のカッコーのままで一生を終えるおまえらには永遠に理解できないだろうが、有名になるっていうのは良いもんだぜぇ。与太者たちからは一目置かれるし、テイパーズ・デンの娼館では賓客扱いだ。お忍び気分で町に潜り込み、酒場なんかで自分の噂を聞くのもおもしろかった。
だけど、良いことばかりじゃねえ。名前が売れすぎると、やってもいない悪事をでっちあげられたり、取るに足りない悪事について大袈裟に騒がれたりするんだよ。
特にグレイノーモアの件はひでえな。
世間の皆々様方は〈グレイノーモアの虐殺〉なんて呼んでるが、あの晩に俺らが殺した数はたかが知れてるぜ。せいぜい三十から四十の間くらいだ。
それにあれは一方的な虐殺じゃねえぞ。グレイノーモアの連中は生意気に抵抗しやがって、俺の仲間を十二人も殺しやがったんだ。信じられるか、十二人だぞ? まさに鬼畜の所業だわな。それなのに俺だけが悪者扱いされるなんて……なんか納得いかねえよ。
――アレックス・ザ・ミディアムの悔悛告白