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5. 早瀬 葵

「葵は夏休み何して過ごすの?」

「うーん、宿題?」

「お母さんとこ行くの?」

「行っても1泊かな。行かないかも。その土地自体に良い思い出無いし…。行くなら父のとこと父方のおばあちゃんとこかな?ハナちゃんは部活?ノリちゃんは?」

「テニス部は夏休みに試合多いからね…多分部活で終わると思う。」

「吹奏楽部もそうだよ…。7月に地区大会あって、それ通れば8月にブロック大会。」

「俺もバスケ部の練習ばっか。」

「誰も早坂には聞いてないし。」

「みんな忙しいんだね。」

「その前に期末でしょ?それが終わらないと練習もまともに出来ないわ。」


 期末テストまであと1週間。

 現実逃避してつい夏休みの話になる。

 ハナちゃんこと横山 花恵ちゃんと、ノリちゃんこと桜井 紀子ちゃん、私となぜかここに早坂 太一くんが入った4人のグループで行動する事が多かった。

 この3人には、中学時代イジメにあっていたことや、親が離婚して再婚していること、兄が2人いること、一人暮らしをしていることを話していた。




「なぁ、夏休み早瀬んちでお泊まり会しようぜ!」

「あんたが言う?」

「だって、高校生で一人暮らしってどんなんか見たいじゃん?」

「ごめんね、うちの兄たちって自他共に認めるシスコンだから早坂くんとはいえ、男子は怖くて家に上げられないわ…五月蝿い番犬もいるし。」


 兄たち=颯ちゃんとハルと慈朗ちゃん、番犬=ミツ。ミツは動物に例えたら絶対犬。しかもはキャンキャン五月蝿い小型犬。図体デカイけどね!


「だいたい、女の子の家に泊まりたいとかおかしいでしょ?」

 ん?なんか殺気を感じる…と思ったら、番犬(ミツ)がこっち見て超睨んでる。我が家は自分の縄張りだから、友達連れて来るなってアピールだわ、きっと。


「ごめん。掃除苦手だからうちは勘弁してー!まだ段ボールのままの荷物もあるし…。そうだ、スイーツのバイキング行きたいの、駅前のホテルのさ、みんなで行こうよ!」

「良いね!私も気になってたの!」

「部活の予定わかったら相談しよ!」

「そういうところ男同士だと入りづらいからすげー行きたい!」

 どうにか我が家訪問って話からバイキングの話にすり替えることが出来てホッとする。



 いつの間にかミツはいなくなっていた。

 例の一件以来、教室にはミツは入ってこない。きっとわんこ(ミツ)のしつけが上手くいったに違いない。廊下からこちらをすごい形相で見ている事も時々あるけど、こちらが睨み返せば尻尾を巻いて逃げて行く。早坂くんはミツに会うたびに絡まれてるらしいけど…ハルとも仲が良いらしいし、以前は部活が一緒だったらしいから不思議では無い。


「なぁ、夏と言えば花火だろ?花火もしようぜ?」

 早坂くんが放った『花火』という言葉に、近くにいたクラスメイトも食いつく。

「いいねぇ!俺もしたい!」

「青春だね!あたしもしたい!」

「なになに?花火?」

「いつ?」

「打ち上げ〜!」


 花火がしたいという空気は、あっという間にクラス中に広がる。いつの間にか、1-C全員を誘っての一大イベントになっていた。

「せっかくだからさ、この勢いで日程も決めちゃおうよ!」

 早坂くんもハナちゃんも、運動部で活発なタイプ。クラスの中心となって話を進めるのも結構うまい。みんながああだこうだと言うのを、うまく取りまとめ、あっという間に日程も場所も時間も決めてしまった。


「じゃあ準備は俺と田中でやるわ。1人いくらまでならOK?」

「飲み物とかお菓子も欲しい!」

「ついでにビールとか?」

「いやいや、それはマズイから。勘弁してくれよ…。」

「冗談だって、冗談。」

「委員長が言うと本気に聞こえるんだって!」

「高橋よりも早坂の方がクラス委員長っぽいよな〜、真面目だし。まとめるの上手いし。」


  クラス委員長の高橋くんはお笑い系。それはそれでリーダーシップとるのも上手だけど、クラス委員長なら確かに早坂くんの方が適任っぽいかも。

  なんだろう、この感じ。初めて味わうクラスの一体感。すごく楽しい。去年まではこういうの無かったし…私が誘われなかっただけっていうのも否定出来ないけど。


  俄然夏休みが楽しみになってきた。


  地元の花火大会にみんなで行く約束もしている。朝から中沢家に遊びに行って、花火大会に行って…。パパがいるなら実家にも泊まろうかな…でもきっと忙しいんだろうな。まぁ会おうと思えばいつでも会えるしいっか。


  父の職場は今私が住んでいる家からそんなに遠くない。その気になれば…父のスケジュールが空いていれば…空いていなくても私にやたら甘い父のことだ。会いたいとゴネれば今日会うことも可能だろう。




 楽しい夏休みのためには期末の結果が大事。と言うわけで、テスト勉強を頑張った。

  慈朗ちゃんはうちで勉強することが多かった。図々しくも、近くで勉強させてもらう。すると私の様子を見て分からないところを教えてくれるし、慈朗ちゃんの教え方はとてもわかり易い。

  慈朗ちゃんから要らなくなった参考書までもらった。参考書にさらに書き込みがあるので最強のアイテムだ。そのお陰もあって、余裕を持ってテストに望めた。


 ありがとう慈朗ちゃん!

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