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32. 中沢 充

「まだ全員集まっていませんが…時間を過ぎたので説明を始めたいと思います。まず、制服審査と私服審査ですが、男女ペアでステージを歩いてもらいます。ステージに上がる順番ですが男女別に公平にくじ引きで決めたいと思っていますが…。」

「はーい、話し合いで決めたいでーす。」

「テイスト合わせた方が良いもんね?」

「そんなん無理だろ?人数多いし…。」

「もう同じクラスの男女ペアで良いんじゃねぇ?順番も1-Aからでさぁ…」

「それじゃあつまらないじゃん?」

「じゃあ間をとって、話し合いで男女ペアになって、順番はくじ引きで決めたら良いんじゃないでしょうか?」

「余ったら切ねぇ…。」

「男女の人数同じで余らないから大丈夫だって。」

「異議が無ければ男女ペアになった上でのくじ引きにしたいと思いますが…。」

「まだ来ていない人は?」

「電話かけたら良いんじゃない?」

「来ない方が悪いでーす!」

「異議なーし!」

「賛成!」

「どーでも良いから早く決めようぜ?」


「では、男女ペアになってください。決まった人から実行委員に申告してー!」




 青高祭を1週間後に控えた日、ミスター&ミスコン出場者への説明会が開かれた。葵は先生に呼ばれたとかで遅れるらしい。


「はーい、2-D中沢 充と1-C早瀬 葵ペアです!」

「…1-C早瀬さんいないんだけど?」

「良いんじゃねぇ?この2人なら。」

「まぁいっか。2-D中沢くんと1-C早瀬さんがペア、と。」

 即、実行委員に申告する。葵不在だがOKが出る。


「ミツ汚ねぇ…。」

「みっくん変態!」

 春樹と友晴がブーブー言っている。


「はーい、2-E和田 友晴、1-B高梨 春子とペアです!!」

「和田くん、それは却下します。」

 やっぱダメだよねー、ゲラゲラ笑う友晴。


「春樹…ペアになってくれない?」

「無理。」

「大森さん、春樹誘うなんてチャレンジャーだね!」


 友晴、お前の方がチャレンジャーだよ…春樹に声かけたのは大森 絵里奈。葵に嫌がらせをしていた主犯格の1人。よくもまぁあんなことしておいて春樹に声をかけられるものだ…。それをはっきり言う友晴も友晴だ。


 ふと、顔を上げると、慈朗に対しても小林 リナが声をかけて断られているようだった。こいつら頭の中どうなっているのか見てみたい。どういう神経しているんだか…。


 だいたい、ペア決めを話し合いで決めたいと言い出したのは、この2人。春樹や慈朗とペアを組む勝算でもあったのだろうか?その自信は一体どこから来るのだろうか?




 2人の他にも、葵に嫌がらせをしていた奴らが何人か出席している。よくもまぁ平然とした顔をしていられるものだ。

 葵の嘘の悪評は2年生と、1年生、主に運動部を中心に広まっていったらしい。3年生にもそれなりにはメールが回ったらしいが、そこまでは騒がれなかったらしい。受験生はそんな事に構っていられないのだろう。

 友晴が言うには、全校生徒の半数には広まっていたのではないかという話だ。


 ただ、葵と颯太と春樹が兄妹という話も同じくらい広まっているらしいので、葵の嘘の悪評はほぼ払拭されたものと思われる。


 しかし、葵が酷い嫌がらせをされたという話は、そこまで広まっていない。

 とはいえ、颯太も春樹も慈朗も彼女達と別れたって話はそれなりに広まっているらしいので、わかる人にはわかるはず。


 おそらくこの説明会に出席している人達には結構知られてるみたいだ…。結構冷ややかな視線で彼女達は見られているからな…。




 春樹も慈朗も同じクラスの女子と組むことを早々と決めた。

 蓋を開ければ、半数以上が同じクラスの男女でペアを組んでいた。

 早坂は、3年生に声をかけられたらしい。

 友晴はチャレンジャー大森と組んでいた。結局同じクラスだから…と。明らかにお情けだ。


「本当は葵ちゃん狙ってたんだけどなぁ…。」

 なんてはっきり言っちゃうあたりが腹立たしいがな…。


「ではペアのどちらかがくじを引いて下さい。引いたら開く前に実行委員に渡してー!開いちゃダメだよ?」

 葵がいないので俺が引く。

「えっと…2-D中沢ペアは21番…トリだね。ってことは、大トリは早瀬さんかぁ…。」


 制服審査→私服審査→男子アピール→女子アピール→投票→発表なので、21組中21番を引くと、ペアの女子は自動的に大トリとなる。

 ちなみに1学年7クラスが3学年なので、全21クラス。今年は、署名を集めてクラス代表以外に立候補するやつはいなかったらしい。

 全ての順番が決まった頃、葵がやって来た。


「1-C早瀬です。遅くなってすみません。」

「早瀬さん、今までで決まった事は終わってから2-Dの中沢くんに聞いて。」

「え?中沢くんですか?」

 実行委員が俺を指差すと、葵が不思議そうな顔をした。

 葵に笑顔で手招きする。葵は不思議そうな顔をしたままやって来て、俺の隣に座った。

 周りから感じる生温かい視線。別に気にしない。


「今から配る紙に必要事項を記入して明後日までに提出してください。アピールタイムについて、どんな衣装を着用するのか、控え室や更衣室に入室する人の名前を記入してもらいます。また、一緒にステージに上がることが出来るのは5人までです。その人達の名前も記入して下さい。

 司会進行に説明してもらいたいことについてはざっくりで構いません。後日、担当者が直接話を伺いますので直接言ってください。

 演出についても、許可出来るものと出来ないものがありますので、ちゃんと記入して下さい。

 BGMについては、こちらに音源があるものであれば曲名を書いていただければ結構です。編集が必要な場合や、こちらで用意の無い曲の場合、データを明後日までに委員へ提出するようお願いします。」


 説明によれば、結構事細かに書かされるらしい。面倒だ…。去年はもっと適当だったのに…。


「葵ちゃん何するの?」

「まだ内緒…当時のお楽しみ。ヘアメイクはみっくんにお願いしても良い?」


 葵はニコニコしながら答えてくれた。機嫌が良さそうだ。ヘアメイクお願いされるとかマジで嬉しい。もちろん快諾する。


「みっくん何するの?」

「葵ちゃんが教えてくれないなら内緒。」

 実はまだ決めていない。何しようか?




 そのまま解散となったので、葵と一緒に帰る。2人で帰るつもりが、なぜか春樹と慈朗も一緒だ…。

「え?私大トリ…?はぁ…気が重い…。」

 大トリと聞いて凹む葵。しかし諦めたのかすぐに気を取り直し質問する。

「そう言えば颯ちゃんは出ないの?」

「颯太は面倒臭いからって友晴に押し付けたって。颯太と友晴同じクラスだからさ。」


「ふーん。そうなんだ。じゃあ颯ちゃんにお願いしようっと。慈朗ちゃんって何するの?」


 何をお願いするんだろう?それより、俺が何をするかだ…。


「パントマイム。準備が簡単だから。」

「慈朗ちゃん上手だもんね。」

「ハルは何するの?」

「春子になるらしい。」

「らしいって何よ?」

「充がしたいんだってさ。葵は?」

「え?内緒。当日のお楽しみ。」


 葵は何をするんだろう?

 今から楽しみだ。

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