part1
ノープランで書いています←
気分はリレー小説です。私にも先が読めません。
一緒に続きがどうなるか、皆さんと楽しんで行こうかなとか思っています。
ご継読して頂けると嬉しいです。
それでは第一章、はじまりはじまり。
母が死んだ。
唯他人事の様に事実を述べて居る様で、実際は私の中は、母――最後の唯一の肉親――を喪った哀しみと、母が死ななくてはならないと言う世界の不条理に対する遣り場の無い怒りが渦巻いて居た。
母の死は唐突に訪れた。
尤も、唐突でない死の方が私は少ないと思うが。事故死や他殺は勿論の事、自殺にしろ寿命にしろ、そして病死にしろ死は唐突だと言えよう。だって、誰にも人が何年何月何日何時何分何秒に死ぬかなんて正確に分からないんだから。
病に臥して、目に見えて弱って行って居たとしても、五分後に死ぬか、明日死ぬか、将又一週間後、一ヶ月後に死ぬかなんて本人にすら分からない。
母はそう、病に臥して、苦しみ、何時死ぬかなんて分からず、そして……或る日唐突に死んだ。
私が未だ幼い頃、父は死んだ。物心が付いて居ない頃だったから、顔も何も覚えて居ない。死因も良く知らない。
只、一家の大黒柱にして稼ぎ頭だった父が死んだ御陰で、我が家は貧しい生活を余儀無くされた。
母は元々病弱だった。身体が弱かった。然し、未だ未だ幼い私を養う為、無理をして外へ働きに出た。
其の所為も有ってか、母は体調を崩し一日中寝込む事が度々あった。
そんな時は私の出番だ。
先ず、村唯一の御医者様を呼びに行く。御医者様は立派な方で、貧しい私達に診療代も御薬代も安くして呉れた。
続いて、母を御医者様に任せ、私は母の仕事場へ向かう。母が体調を崩した旨を伝え、そして其の日は母の代わりに私が其処で働く。勿論、私が母と同じ仕事を熟すのは無理だから、私でも出来る簡単な仕事をさせて貰う。当然御給料は少なく為るけれど、全く無くなるより増しだ。
そして私は母の代わりに一日働き、其の日の御給料を貰ってから母と御医者様の待つ家に帰る。
御医者様が私を優しい笑顔で迎える。
家の備蓄で母に御粥を、御医者様と私自身の為に簡単な料理を作り、三人で食事を済ます。御医者様に母の病状を訊ね、心配する必要も無いと聞き安心する。そして其の日に稼いだ御金から御医者様に診療代と御薬代を払う。
母の不調が数日続いたら、数日こんな日を繰り返す。
此れが常だった。
彼の日は常とは違った。……否、途中迄は常だった。
母が体調を崩し寝込む。私が御医者様を呼んで来る。母を御医者様に任せ、母の職場へと向かう。一日働いて、家に帰る。此処までは常。
――そう、此処からが、常ではなかった。
帰宅した私を待って居た御医者様は、然し暫く私の帰宅に気付かなかった。何時もの柔らかい笑顔を浮かべて居らず、渋い顔をして居た。そして、私に気付いた瞬間、其の渋い顔を消し、無理矢理作った様な笑みを浮かべた。