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吸血鬼の慟哭  作者: 不田 颯奈夜
第二章
10/24

part4

 ――もう終わりみたいだね。追手《現実》からは、逃れられないんだよ。

 未だ分からない。偶々其処で立ち止まった丈かも知れない。

 ――呆れるね。私《君》は現実に立ち向かう覚悟は無い癖に、諦めは悪いんだな。

 私は逃げ切れる私は逃げ切れる私は逃げ切れる私は逃げ切れる私は逃げ切れる……。

 ――自分《私》に言い聞かせても無駄だよ。其の声が効果を成すのは自分《私》の中の世界に丈。私《君》が逃げて居るのは追手《現実》からでしょ。其れは、外の世界の存在だよ。自分《私》に言い聞かせても影響は無いよ。

 そんなの判らない。思ったら、念じたら、祈ったら、神様にでも通じて、外の世界も変えられるかも知れない。

 ――何を言って居るんだか。そもそも私《君》は神様なんてそんな物を信じて居ないだろう?

「思ったり、念じたり、祈ったりして、神様に通じるかは知らない。只、此れ丈は言える。其れ丈で外の世界が変わる事は無いよ」

 ……声がした。私の口から発せられた声ではなく、私の深層意識の声でもない。他人の声。こうなると認めるしか無い。私の存在を認識したから、追手《現実》は私の直ぐ近くに立ち止まったと言う事実を。

「良いかい? 思ったり、念じたり、祈ったり。此れ等は全て、自分に言い聞かせる行為だ。自分に言い聞かせて、自分で自分を変える。そして、変わった自分が外の世界を変えるんだ。

 いや、何も実際に世界を変える必要は無い。世界が今迄と同じ儘で、何も変わって居なかったとしても、自分が変わって居れば世界の見え方が変わる。世界が変わって見える。此れが、世界を変える、と言う事だよ。

 そんな事は扨置き、そんな所に隠れて居る君は何者だい?」

 誰?

 ――誰?

 悠長に持論を語り、且つ私を捕まえようとしない所か私は何者かと問い掛ける其の人は、追手ではない様子だ。

 ――でも、妄想でもなさそうだ。現実じゃない訳じゃないみたいだね。

 私と私の深層意識は頭を悩ませた。

 ……私の深層意識は何でも現実を知覚出来て把握出来て予測出来る訳じゃないんだ。

 ――当たり前じゃないか。私は私《君》なんだから。私《君》が知覚出来て把握出来て予測出来る事しか分からないよ。

 それもそうか。

「ぶ時は……僕の自己紹介を聞いてなかったね、君?」

「えっ?」

「矢っ張り。心此処に在らずな様子だったし。いやね、先、君が私に“誰?”って訊いただろう? だから其れに僕が答えて居たんだよ。如何やら自己紹介は遣り直しみたいだね。其れとも要らない? だったら、僕としては迚も楽なんだけど」

 “誰?”なんて私は声に出しただろうか。いや、思った丈で口には出して居ない筈だ。……待った、此の人が私に話し掛けて来た時を思い出せ。“思ったり、念じたり、祈ったりして、神様に通じるかは知らない”此の人は、こう切り出して居た。最初の言葉、“思ったり、念じたり、祈ったり”。此の言葉は、私が思って居た言葉だ。口に出した積もりの無かった言葉。

 導き出される結論は単純。私は、深層意識との会話を口に出して居たらしい。端から見れば、独り言を呟く変な人だっただろうな。

「ねぇ、其れで如何なの? 僕は自己紹介をもう一度するべきなの?」

 私は再度問われた。此の人が何者なのか、私としても迚も気になる。

「済みません。自己紹介、御願いします」「分かったよ。面倒だけどいいよ。ああ、僕は此処で、“人に名乗って貰う時は、先ずは自分から名乗る物だよ”って言うべきなのかな。まぁいいや。其れも面倒だし」

 そう前置きされて、自己紹介が始まった。


 すみません皆さんを怖がらせられるようなホラーにはなりそうにないです。謝罪から入る颯奈夜です。

 でも、ジャンルで一番近いのはやはりファンタジーよりはホラーかなあ……。

 ジャンルが変わっていたら、「ああ、変えたんだ」くらいの気持ちで見てやって下さい。では次回も宜しく御願いします。

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