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魔法使いの”風邪”

魔法使いミハクが送る現代ファンタジー風小説です。ご感想お待ちしてます。

俺は今、せっかくの日曜日に人の看病をしている。

普段は車にはねられても生きていそうなヤツに限って風邪をひく。でも俺が今看病してるのは人間じゃない。

いや、正確に言うと人間なんだけどほとんど人間じゃないやつだ。


訳が分からないだろう?俺もわけわかめだ。


今、目の前で俺に世話をかけている少女――視鏡 ミハクは先程からベットに横になり熱さまシートをおでこに貼り付けて苦しそうに鼻をかんではティッシュを捨て、噛んでは捨ての繰り返しを行っている。

ティッシュも工場で造られた後まさかこんなに無駄遣いされるとは思ってなかったろうに。

俺はもう3箱は空にされたケースを眺めて、深く同情した。


ミハクは鼻づまり声で俺に話しかけてくる。


「第一にね、”魔法使い”だって風邪は引くんだ。怪我をしたら手当する。目の前で人が倒れたら救急車を呼ぶくしゅん。人が風邪を引けば看病するはっくしょん!!それが人情ってもんじゃないのかい?ちーん」

喋るかくしゃみするかどっちかにしろこの病人。

”魔法使い”

それが何を意味し、何をするものなのか、俺は正確には分かっていない。けれどこの話を書くにあたって「お前は自分が理解してないものを人様に読ませる気か!?」と電車で酔ったおじさんみたいに絡まれても困るので一応辞書を使って調べて見た。


魔法使い――魔法を行う人。


魔法―人間の力ではなしえない不思議なことを行う術を行う人。{国語辞書 goo辞書より}


・・・・・・・・・。

つまり今俺の目の前で鼻を噛み、尊大な物言いで肩まである海のように蒼い髪を汗ばませ、どう見たって14歳ぐらいにしか見えないコイツが、その魔法使いなワケだ。急な展開だと俺も思う。ただこう書くしか表現できないんだ読者諸君。あきらめて最後まで読んでくれ。


「あのねセツキ。空にされたティッシュに同情する前にお粥の一つでも作ったら如何なんだい?君が同情すべきはこの魔法使い視鏡ミハクだろう?病人をもっと敬い給えよ」

風邪を引いたとは思えないこの物言い。こいつ本当に可愛げがない。


「ミハク、テッシュだ」


「おお、くしゅん。ありがとうルイ。やっぱり頼りになるのはルイしかいないね。セツキはもっとわたしに優しくし給えよ。ルイの方がよっぽどわたしを心配してくれてるじゃないか」


ミハクの隣で心配そうにミハクのティッシュを甲斐甲斐しくゴミ箱に入れている青年――”ルイ”は俺とは異なってベットに半分座り、不安そうにミハクを見つめている。

身長はゆうに180センチはあり、足もスラリと長い。髪の色は深い黒色で夜の闇をそのまま写し取ったかのようだ。

男の俺から見ても分かる整った顔立ちと赤い瞳が印象的な美青年だ。

こいつもこいつで人間じゃない。いや本当に人間じゃない。

言葉のあやとかじゃなくてマジだ。ミハクによって異界とかいう場所から召喚された”悪魔”らしい。嘘かほんとかの前に俺はコイツが常人では考えられないことをたくさんやってのけたのを見て実感として理解している。

こいつは悪魔だ。ついでに性格も。

「貴様・・・さっきからつたってないで急いで粥でもなんでも作れこの屑。ミハクがこれ以上風邪をこじらせたらただじゃおかないからな・・・?」

恐いよルイさん。襟首掴みながら人に話しかけるなよ。てゆーかミハクの時とは別人ですね。

「なにか言ったか?」

ナンデモアリマセン。

「ふん、分かればいい。ミハク大丈夫か?苦しかったらすぐに言え」

「うん、すこし落ち着いたよ。ありがとうルイ」

こいつ本当に悪魔だよ。俺とミハクに対する態度の違いったらまあひどい。

「はあ・・・・。と言っても家に粥の材料も米も何にもないし、買いに行くしかねえから時間かかるぞ?」

「何言ってるんだいセツキ。材料ならもうそこにあるじゃないか」

ミハクが呆れかえった表情で俺の後ろを指さす。

「はあ?」

俺は振り返る。その瞬間、部屋が眩い光に包まれた。俺はあまりの光に目をつぶりやがてゆっくりと目を開けた。すると部屋はいつもどおりで、俺の足元には沢山の食材が入っているスーパーの袋がどすんと置いてあった。

「え」

さっきまで、何もなかったのに・・・・。

「なんてことはない。空間移動なんて”魔術師”にだって出来るさ。わたしは単にスーパーのモノを代金と引き換えにもらってきただけさ。そんなにおどろくことはないだろう」

中には白菜や米や梅干しやらが入っている。俺がいつも見てるのと変わらない青空スーパーのレジ袋だ。

「・・・・・ミハク一つ聞いていいか?」

レジ袋に入ってあったレシートを見ながらわなわなと震える手を抑え、なるべく落ち着いた声でミハクに尋ねる。

「ん?なんだい?」

欠伸をつきながらまた鼻を噛む”魔法使い”に俺は言った。

「この精算は俺の財布から出てないよな!!??」

「何言ってるんだい。そんなの、セツキの財布から五千円抜き取ったに決まっているじゃないか」

当たり前のことのようにしれっというミハク。このやろう。俺の大切な生活費を!!


「さあ、すぐにご飯を作り給え。わたしはお腹がすいたんだ」

「・・・・・お前ホントに何様だよ」

あまりの横暴な態度に俺が呆れながら言うと、

ミハクは蒼い瞳と髪をなびかせながら当たり前のように言い放った。


「何って魔法使いだよ。見て分からないのかい?」




俺の名前は久遠時セツキ。

16歳。血液型A型。身長169センチ。体重52キロ。第二神無高校に通う一年生。

山奥にある広い屋敷でたった一人で暮らしている。



今日も俺は、”魔法使い”と”悪魔”の迷惑に巻き込まれる。



何故一話目から風邪の話かというと今現在風邪を引いてるからですみませんはくしょん。


貴重な時間を使って頂き、こちらの小説を読んで下さりありがとうございます。

もしよろしければ感想や批評等お書き下さると本当にありがたいです。

どうぞ宜しくお願い致します。

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