7.ミスリルを求めて
キサラギ達が“マオルベルグ”へ買い物に行ってから一日挟んだ翌日。
その日は朝から雨が降っていた。これまでずっと晴れの日が続いていたので、今日はキサラギがセルディオに来てから始めての雨となる。
「好都合だな。視界が悪ければ【シュナイト】の接近を気取られづらい」
『…………』
屋敷の裏地ではキサラギが【シュナイト】の操縦席で、機体状態の最終チェックを行なっていた。
「リート。作戦内容の確認をするぞ」
『…………』
「おい、いつまで拗ねてる気だ。気持ちを切り替えろ」
シェラと買い物に行った日からずっとリートは臍を曲げていた。当然それは留守番を任されたからではない。
「はぁーお前も頑固な奴だな。手っ取り早くミスリルを手に入れるにはグラナ砦から奪うのが一番楽だろ?」
『それは……まぁ、そうですが……』
キサラギの作戦はとても単純だった。リートのお蔭で装備無しだが動ける状態になった【シュナイト】で、グラナ砦を襲撃して砦に運び込まれているミスリルの装備を強奪する。
機工戦騎の性能で正面からゴリ押しするだけの単純な作戦であった。
『しかし“グラナ砦”を襲撃すれば“ロキア王国”を――総じて“人間”を敵に回すことになります』
「それが何か問題でもあるのか?」
『大有りです! 技術レベルが低くても国家は国家なんですよ。機工戦騎があっても正面から喧嘩を売るのは危険過ぎます!』
「ならリートは他にミスリルの当てがあるのか?」
『そ、それは無いです。けど、だからって砦に攻め込むのは――』
「時間が無いんだ。のんびりしていたら、こっちが逆に攻め込まれる。俺達の拠点は“人間”と“魔族”に挟まれてるんだからな」
どちらにしてもミスリルの確保が出来なければ、【シュナイト】はそう遠くない内に動かせなくなる。
『…………』
キサラギの言い分もわかるのか、リートは沈黙する。しかしその雰囲気から彼女がまだ納得していないことは明らかだった。
「ならリートはどうするのが最善だと思う?」
『そうですね。どこかに身を隠すのが一番だと思います。“人間”や“魔族”のどちらかに関わっても面倒になるだけです』
「それは難しいな。何せ一番身を隠せそうな場所を誰かさんが吹き飛ばしたからな」
『うっ……そ、それを言うのは卑怯です。マスター』
「だから身を隠すのは却下だ。そして俺が小難しい腹芸が出来ない以上は宮仕えも無理そうだ」
単純な戦力としてなら最強である機工戦騎も、それを扱うのは生身の人間だ。国家という巨大な集団に属するには【シュナイト】は色々な意味で大き過ぎる。
ただの傭兵に過ぎないキサラギでは、権謀術数で各国を束ねる王族を相手に上手く立ち回れる自信もなかった。
「リートの言う通り俺は“人間”と“魔族”のどちらの味方に付く気もない」
『しかしマスターの提案する作戦では“人間”と明らかに敵対してしまいますよ?』
「それで良いんだよ。俺はどちらか一方に味方する気が無いだけだ。適度に【シュナイト】の力を示せれば、後は向こうが勝手にこっちを恐れてくれるさ」
それに今回の作戦はあくまで砦にあるミスリルの奪取が目的だ。【シュナイト】の力を“人間”に示しつつ力を維持する為には打って付けの作戦だった。
『確かにそうかもしれませんが……』
「それに“人間”と“魔族”の両方に肩入れしないんだ。なら美味い飯や寝床を報酬に、シェラの味方をするのも悪くないだろ?」
『はぁ~……わかりました。マスターの意志を尊重しましょう』
「ありがとうな。相棒」
『やれやれです。最近のマスターは本当に食い意地が張って困ります。昔はもう少し良い子だったのに』
「なッ……ったく、お前は俺の母親かよ」
『私からすれば似たようなものです』
軽口を叩くリートにキサラギも表情を緩める。先ほどまであった微妙な雰囲気もすっかり霧散していた。
そろそろ正午――予定していた作戦時刻が迫って来る。
「よし、システムを起動させろ。リート」
『了解。メインシステム起動。生体反応をチェック――』
「起動行程を3番までカットしろ。どうせ俺以外に乗る奴も居ないし、武装も無いのだからやるだけ無駄だろう」
『了解。それでは作戦内容の最終確認を行ないます』
手元の画面に簡単な地図が表示される。シェラに見せて貰った地図をデータにしたものだ。森の入り口を囲うように城壁と砦が塞いでいる。
『目的地は“グラナ砦”――石造りの建築物です。“魔術”で補強されているようですが、【シュナイト】なら単純なパワーだけで破壊可能でしょう』
「まぁ、石造りだからな」
『そして守備の兵ですが、彼らは特に我々の障害にはならないでしょう』
「槍や弓じゃ【シュナイト】の装甲を傷付けられないから当然だな」
『はい、それに不確定要素だった“魔術”による攻撃も現在のシールド強度で十分に防ぎ切れることが分かっています。これも大した脅威とはならないでしょう』
「そうだな。昨日一日で試せるだけ試したからな」
昨日は一日使ってブライとシェラに協力を仰ぎ【シュナイト】のシールドが持つ魔術への耐久力をテストさせて貰った。
『敵戦力の詳細は未確認です。くれぐれも油断は禁物ですよ。マスター』
「まぁ、大丈夫だろ。シェラの話じゃ宮廷魔術士なんて滅多に前線に来ないらしいぞ」
テストの結果では【シュナイト】のシールドは大陸でも五指に入るような宮廷魔術士クラスの使い手でもない限り突破は不可能らしい。
「よし、行くぞ。リート」
『了解。システムを戦闘モードに移行します』
『生体反応――良好』
『機体状況――良好』
『機体接続――良好』
『【シュナイト】――起動』
頭部にある単眼型のメインカメラが赤く灯る。システムの起動と共に物言わぬ人形に命が吹き込まれた。
「よし、機体を起こすぞ」
『了解』
キサラギは両手でスティックを握り直すと足元のペダルを浅く踏み込む。【シュナイト】は全身から低い駆動を響かせてゆっくりと立ち上がる。
「わぁー凄いじゃない! ちょっと私も乗せないよ! キサラギ!」
「お、お嬢様! 身を乗り出しては危のうございます!」
その様子を屋敷の中から眺めていたシェラは、雄雄しく立ち上がる【シュナイト】の姿に歓声を上げて身を乗り出するが、側に控えていたブライが必死になって止められる。
「まったく……シェラの好奇心も凄いな」
『…………』
「どうした? 機体に不備でも見付かったのか?」
『いえ、違います。私が心配なのはシェラさん達に無断で作戦を実行することです』
今回の作戦をキサラギはリートにしか喋っていない。二人には単に動作テストを兼ねて近場まで散歩に行くとしか伝えていない。
正直に話せば二人には間違いなく反対されるので、キサラギは二人に黙って作戦を決行するつもりだった。
「こっちはもう報酬を貰ってるんだ。なら結果を示さないとな」
『そういうものですか?』
「ああ、そういうもんだよ。【シュナイト】――出るぞ!」
不安そうなリートを無視して、キサラギは【シュナイト】を進ませる。
その背を見守るシェラとブライはその行き先を知らなかった。
降り頻る小雨の中を【シュナイト】はグラナに向って歩いて行く。
関節部に負荷を掛けるのは極力避ける為に、目的地付近までは機動を制限していた。
「地面の上を歩くのは何だか新鮮だな」
『機工戦騎の主な戦場は宇宙空間でしたからね。慣れられそうもありませんか?』
「いや、直ぐに慣れるさ。それにブースターが壊れている以上は、嫌でも地上戦になる。慣れなきゃ今後もやっていけない」
それに相手は歩兵なので遠距離用の武装が無い現状は、地上戦で対応するしかない。
機動を制限しているとはいえ、巨大な機工戦騎が歩けば歩幅の都合でそれなりのスピードとなる。
数分もすれば“グラナ砦”をセンサーで感知出来る距離までやって来た。
「あれがグラナ砦か……意外に大きいな」
『魔術の恩恵ですね。使われている建築技術と実際の規模に齟齬があります』
幸い雨のお蔭でこの距離まで近付いても察知されていない。レーダーも持たないセルディオの人間では、今日のような目視が困難な雨天ではしょうがないだろう。
「そういえばアレの用意は出来てるか? リート」
『あの合成音ですか? それならちゃんと出来てますが……』
「よし、それなら仕込みは十分だな」
キサラギはニヤリと笑みを浮かべる。リートにとってはすっかり見慣れたキサラギが何か企んでいる時の顔だった。
「それじゃあ、一発ド派手にブチかますぞ!」
機動の制限を解除。景気良く声を張り上げて足元のペダルを全力で踏み込む。
ドッドッドッドッドッ!
隠す気の全くしない豪快な足音を響かせて【シュナイト】が大地を駆ける。
「「なッ――」」
足音に反応したのか、城壁の扉から騎士らしき男が二人だけ出て来るが、砦へと突っ込んで来る【シュナイト】の姿に彼らは唖然としていた。
「そ、そそ、総員退避ィィィィーーー!!」
髭を生やした不真面目そうな騎士が咄嗟に命令を叫ぶ。
【シュナイト】はそのまま減速することなく城門へ突撃した。
「シールドだ!」
『了解』
その瞬間に【シュナイト】はシールドを展開。突撃の衝撃からボディを護る。
バゴォォォーーーーン!!!
轟音と共に城門が粉砕される。
『城門の破壊を確認』
「よし、例の音声を流す。タイミングを合わせろ」
キサラギは機体の姿勢を制御し、【シュナイト】はゆっくりと曇天の空を仰ぎ見る。
『GuuUuoOoooOooAaaAaaa!!!』
そして【シュナイト】の外部スピーカーから背筋の凍るような咆哮が流された。
さっきキサラギが確認していた合成音の中身である。キサラギはリートに頼んで守備隊を威圧する為の【シュナイト】の“声”を求めていたのだ。
これはシェラやブライとの出会った時の言葉をヒントにキサラギが考えた作戦だ。ロボットという概念を持たないセルディオ人には【シュナイト】は未知の生物であり、それが恐ろしい気な咆哮を上げれば、簡単に恐怖心を植え付けることが出来る。
「それにしても凄い声だな。素材は何を使ったんだ?」
『古い映画作品から怪獣の音声を加工して作りました。それにしたって元は楽器の音らしいですよ』
「お前の趣味が役に立つとはな……」
『ふふふ、これを機にマスターも見るべきです。データはありますから』
「暇があれば、な。今は作戦を遂行する」
『了解』
キサラギの作戦は大成功だった。本来なら死力を尽くして砦を守る筈の兵士達は、まるで魂を抜かれたかのように呆然としている。
「何だ。案外と呆気ないな」
『いえ、どうやら気骨のある者も居るようです』
思考を停止させていた兵士達を鼓舞する者が居た。それは先程も声を上げて【シュナイト】の突撃を報せていた髭の騎士だった。
「なるほどな。あいつが守備隊の頭だな」
『踏み潰しますか?』
「必要ない。階級はそこまで高くなさそうだし、現場を仕切る隊長ってところだろう。あいつ一人を叩き潰すよりミスリルを探すぞ」
次々と群がって来る兵士の攻撃を無視して【シュナイト】は砦へと近付いて行く。
「うおおぉー!」
「こっちだ。バケモノが!」
剣で斬られようと槍で突かれようが、矢の雨が降り注ごうとも【シュナイト】には効かない。キサラギはゆっくりと絶望感を煽るように【シュナイト】を歩かせた。
「大人しくミスリルを寄こしてくれれば楽なんだがな。機体の消耗も抑えられるし」
『大した台詞です。見事な強盗の理屈です』
さっさと諦めてくれれば、その分だけキサラギの目的も達し易くなる。
しかし兵士達は諦めていなかった。先程の騎士と中心に何人かが一箇所に集っていた。
“魔術”に関しては素人のキサラギでもわかる。狙いは人数を利用した“魔術”による同時攻撃だろう。
「面白い。受けて立ってやる。変声機を使うぞ」
『了解。変声機――ON』
【シュナイト】の動きを止める為に弓兵が一斉に矢を射掛ける。キサラギは被弾のタイミングに合わせて一瞬だけ【シュナイト】の動きを止めた。
「よし、総員、放てぇぇーー!!」
それを好機と見たのか兵士達が準備していた攻撃魔術が放たれる。炎や氷に雷撃や風と様々な属性の“魔術”が、直立する【シュナイト】へと飛んで来た。
「……無駄だ」
被弾直前でシールドを展開する。数が多かろうと質の低い彼らの攻撃では【シュナイト】のシールドを抜くことは出来ない。
放たれた数々の“魔術”は翡翠色に輝く障壁の前に呆気なく掻き消される。
『むぅー変声機ではあまり凝った演出は出来ませんね』
「いや、これで十分だろ」
周囲の何人かは“魔術”を防いだことよりも、【シュナイト】が喋ったことの方に驚いているのだが、この時の二人は気付いていなかった。
「ま、“魔神”だ……」
外部のマイクがまるで呻くような声を拾った。声の主はやはりあの騎士だった。
しかし聞き覚えのない単語にキサラギは眉根を寄せる。
「“魔神”だと? セルディオには“魔神”という生き物が居るのか?」
『いえ、シェラさんもそのようなことは言っていなかったので、恐らくは“人間”に伝わる伝説上の存在ではないでしょうか?』
「なるほど……」
キサラギは【シュナイト】の頭部をぐるりと巡らす。それはきっと兵士達には“魔神”が自分達をねめまわしていると思っただろう。
「もう一押しってところだな」
『はい、マスター』
リートはその一言でキサラギの意図を察すると、変声機をONにして次のキサラギの言葉を外部へと流した。
『寄こせ……ミスリルを……』
少したどたどしい口調だったが、その方が迫力は増すだろうとキサラギは努めて機械的に話を続ける。
『ミスリルを……寄こせ』
そしてまたキサラギは機体を操作して【シュナイト】を俯かせる。次いで両手を広げさせると上体を逸らし機体に空を仰がせた。
『GuuUuoOoooOooAaaAaaa!!!』
同じようにリートが合成音声を流す。本物の“魔神”がどのような声と伝えられているかは知らないが、リート手製の改造音声は“魔神”の如き迫力があった。
これだけ目の前で【シュナイト】の力を見せ付けてやれば、今の大絶叫は身の竦むような恐ろしい咆哮となる筈だ。
『すんなりと渡してくれるでしょうか?』
「大人しく差し出せばそれで良い。だが、もしも逆らうようなら――」
『砦の人間を皆殺しにするんですね?』
「うーん……正直、虐殺はあまり気が進まない。大人しく逃げるようなら追わないさ」
『ま、アレを見る限りその心配は杞憂でしょうね』
リートの言葉と共に画面に映し出されるのは、どう足掻いても【シュナイト】に勝てないと悟って仲間を見捨てて逃げ出す一部の兵士の姿だった。
『こういうのを見ると言いたくなりませんか?』
「ほぅ、何だ?」
『人がゴミのようだ、と……』
「はぁーお前は映画の見すぎだ。アホなこと言ってる暇があったら、ミスリルの保管場所を探すぞ」
とりあえずミスリルさえ奪ってしまえば、後は適当に砦を機能しない程度まで破壊して離脱する。それが一番後腐れのない判断だろう、キサラギはそう考えていた。
「装備の保管場所か……中世の砦は詳しくないからな」
『そうですね。こういう古い建築物については私も専門外です』
キサラギは頭部のカメラで周囲を見回す。保管場所は不明なので壁越しだが金属反応を頼りに手当たり次第でミスリルを探した。
数分もしない内に、正面にある塔から金属の反応があった。
『センサーに反応有りです。この量は……90パーセントの確率で目的の保管庫でしょう』
「なら話は早い。やるぞ」
『了解。変声機をONにします』
「ミスリルは……そこか……」
頭部の単眼を向けてわかり易いように何度か発光させる。先程の侵入時と同じようにわざと緩慢な動作で塔へと近づく。
「寄こせ……ミスリルを……」
その言葉に足元や塔の側から、兵士が蜘蛛の子を散らすように離れて行く。
何の予告も無く塔の壁をブチ抜いてやっても良かったが止める。それは脳裏を過ぎる虐殺好きの傭兵の顔が原因だった。
「俺はあいつとは違う」
『マスター』
リートはその呟きを外部には流さなかった。
【シュナイト】は抜き手で壁を破壊する。壁の向こうは淡く輝く銀色で溢れていた。
「……見付けた」
恐らく倉庫であろう広めの室内には、“マオルベルグ”から輸送されたミスリル製の剣や鎧が隙間無く並べられていた。
「くっくっくっ……たんまり持ってるじゃないか」
『まるで盗賊みたいな台詞ですね』
「否定はしないぞ。俺は強盗に来ているんだからな」
キサラギは操縦席のハッチを開くと、【シュナイト】の腕で掴んだ装備を操縦席へと放り込む。
「リート」
『分解――圧縮』
キサラギは投げ込まれた装備に素手で触れる。ナノマシンの分解機能でミスリルを粒子レベルまで分解した後に圧縮。操縦席の足元には硬貨程度の大きさに縮められたミスリルが転がる。
「よし、どんどん行くぞ」
『はい。時間を掛けるのは得策では無いでしょう』
キサラギは【シュナイト】を操作して、掴んだ装備を片っ端から操縦席へと放り込む。
「は、腹からミスリルを食ってやがる!?」
次々と【シュナイト】の腹部へと消えて行くミスリルを見て、兵士の一人が絶叫する。
当然だが機工戦騎の【シュナイト】には口は無い。頭部にしても一見してソレと見える部分は無いので、セルディオの人間が腹部に開いた操縦席のハッチを口と勘違いしてもおかしくはなかった。
『これで最後です』
最後の鎧を圧縮するとリートは【シュナイト】のハッチを閉じる。
ミスリルの搬入は5分と掛からなかった。
「よし、残るは砦の破壊だが……」
周囲を確認すると砦の兵士達は既に撤退行動に入っていた。“魔神”が食事に気を取られている内に大人しく逃げる気になったようだ。
「このまま作戦領域を離脱する」
『砦は破壊しなくて良いんですか? 今なら守備隊も邪魔しないでしょう』
「撤退の邪魔をする気はないさ。それに今は装備が無いからな。無駄に機体を消耗させる必要もないだろう」
機工戦騎なら素手でも砦を全壊させられるが時間が掛かってしまう。何より機体に無駄な負担を掛けてしまう。
『それもそうですね』
「よし、本作戦は現時刻をもって終了。これより【シュナイト】は帰還する」
『了解。撤退時に追っ手を付けられると面倒です』
「ああ、わかってる、よ!」
【シュナイト】は取り付いていた塔の壁を左右に押し広げる。壁に空けられた穴から塔はポッキリと折れて崩れた。
「う、うわぁー!」
「退避! 総員退避しろ!」
落ちて来る瓦礫に足元の兵士達が混乱している隙を突いて、キサラギは【シュナイト】を大きく後ろに跳躍させる。
軽々と砦の敷地外に出ると機体を反転させて離脱する。
こうしてセルディオを震撼させた“魔神”による最初の襲撃は幕を下ろした。
どうも、これまでの後書きで「投稿」を「投降」と間違えて書いていた如月八日です。
俺は一体何回降参していたんだ……(汗)
それとは別に前回の投稿で本作では初の感想をいただきました。
この場でもお礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
今回も執筆の終わっている分を投稿します。
そして一向に誤字が無くなりません(汗)
次回も執筆が完了しましたら投稿します。