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月光  作者: no name
はじまり
5/5

前哨戦

俺は今馬に乗っている。


我が師団員は全員走っている。そう、走っているのだ。


「毎回思うのだが疲れないのか?」


「疲れるので俺も乗っていいですか?」


「だめに決まっているだろう?」


「じゃあ聞かないでくださいよ…」


「俺等は全然疲れないですよ!むしろワクワクが止まらないっすよ!つよい奴がいればいいですね!」


「いないほうがいいだろ…」


ぼそっと呟く。どうしてこんなに戦闘狂しかいないんだろう…


「俺も嫌です。」


「だよなぁ…」


ウォンガも俺と同意見のようだ。


「血の気が多くて嫌になりますね…」


全くもって同意見である。ほんとに大丈夫なのだろうか…なんか心配になってきた。

魔獣討伐などもあり師団全体で動くことは多々あるが毎回心配になってくる。


そんな事を考えながら現実逃避しているときふと、ウォンガが俺に話してきた。


「団長」


「ああ」


二人して感じ取っていた。この先に魔獣がいると


「総員、魔獣討伐だ。」


「よっしゃあ!!」


威勢のいい声を上げて接敵に向けて士気を上げていた。


その姿を拝むことができたのはすぐのことだった。


「あれはジュラドンだな。」


「少しめんどくさいですね…」


まあ、こいつらならなんとかなるだろう。


こいつらは難しいことなど考えることはないだろう。そうすれば俺が話すことは一つしかないだろう。


「総員。突撃だ。」


「うぉぉぉぉぉ!!!」


今まで走っていたことが嘘のように疲れを見せずにジュラドンに突撃していった。武器は…

持っていないか…


「何でウォンガは彼奴等に武器を持たせて訓練してたんだ?」


「そのほうがかっこいいからって…途中から俺も気分が上がっちゃって」


と笑いながら言いやがった。


俺は頭を抱える。全然成長してないじゃんこいつら…


まあ、狼人間(ワーウルフ)の特性上俊敏性と鋭い爪牙があるので武器には困らない。


「でもさすがに…あっ大丈夫そうですね」


「大丈夫そうだな」


ジュラドンは大型の恐竜みたいなものだと想像してほしい。それがモンスター化しているわけで本来だと魔法で遠距離攻撃が望ましい。と言われていた。


まあ、そんなことできるやつはこの舞台に送られるわけがない。脳筋ばっかだもん…

あ、倒れた。


「終わったか?」


「終わりましたね」


「うぉぉぉぉ!!!」


団員たちが雄たけびを上げた。


「あれは習性なのか?」


「何度も言いますけどそんなわけないじゃないですか…」


「何度も聞きたくなるぐらいには疑ってるぞ」


「まあ、自分もたまに思います。」


こうして俺達は障害を退けて戦場(予定地)に向けて進軍を続けた。


馬の脚もあり2日間で到着することができた。

途中何回か魔獣に遭遇したが血の気の多い連中に瞬殺されていた。

身体能力に関してはピカイチの種族なんだよなぁ

頭は残念だけど…


「ここからは戦場だ。気を引き締めろ。」


「うぉぉぉぉ!!!戦場だ!!!」


「馬鹿!」


なぜかうちの連中が雄たけびを上げた。

それを引き止めるウォンガだったがすでに手遅れだった。


すでに工作員の間でどよめきが広がった。


「なんだ!もしかして魔族が攻撃に出たか!?」


ほら、バレた…


頭が痛くなってきた…魔王様やホーリス殿になんて報告すれば…


てか、こいつらはなんで休まないでこんなに元気なんだ?まあ、こうなってはしょうがないな。


「総員森の中の人間だけを狙え!そして殺せ!決して森からは出るな!」


「うぉぉぉ!!!!!」


こうしておけば大丈夫だろう。もとより先に工作員を攻撃して人間を見晴らしのよい場所に集めるのが目的だから大して変わらないだろう。


心配なのはホーリス殿がまだ到着してないということだけだな。だが今日中には着くだろうと予測している。


「ウォンガ」


「森のなかにつよい反応はありません。おそらく工作員のみでしょうね。戦闘員の配置もなさそうです。」


「わかった」


ウォンガは狼人間(ワーウルフ)には珍しく魔力を使い索敵能力に長けた存在だった。俺も軽くはできるがウォンガほど細かく見通すことはできない。


しかも、こちらから指示を出さなくても適した行動をしてくれることもあり右腕としては申し分ない働きをしてくれている。やる気ないのがたまにキズであるが…


「こちらも終わったみたいですね。」


「ああ、物足りない結果となっているがな。」


そう、工作員の何人かは逃げ出していた。おそらくこの情報を上に伝えるであろうことは容易に想像できた。


全員殺すことができれば、次の工作員が送られてきたかもしれないのに…他にも魔獣のせいにもできるので戦術の幅も広がったのだからこれは失敗といってもいいのかもしれないがまあ、いいだろう。


その日工作員は森のなかに送られてくることはなかった。


その夜、ホーリス殿と合流することができた。


「首尾はどうですかな?」


「上々ですよ。」


ごめんなさい嘘です…。


「さすがはアレス殿ですな!私も探知したとき人間が森の外に集まっていたのでアレス殿も作戦成功したのだと少し嬉しくなりましてな!」


「そう言っていただけると幸いです。」


「さて、明日が作戦決行の日ですな。」


「そうですね。話した通り第1師団には後衛と魔術合戦をお願いします。前衛の肉弾戦はうちの血の気が多い連中がやってくれるでしょう。」


「第5師団は魔法は使えないが身体能力は最上級と言えるでしょう。明日の勝ちは揺るがないですな。ただ、人間側に少々力のつよい人間の気配を感じますぞ。アレス殿も気をつけて。」


「心配ありがとうございます。もちろん負けませんよ。」


「アレス殿には心配無用ですな。あの第5師団の団長ですからな。戦闘面においての心配も無礼に値しますな。」


ホッホッホッと笑っているホーリス殿を横目に第1師団陣営を後にした。



第5師団陣営に戻るとウォンガが話しかけてきた。


「おそらく力のつよい人間は第1師団を狙いに来るでしょう。魔法合戦を有利にすることが勝利のための絶対条件ですからね。俺だったらそうします。」


「俺もそうするな。だからこそ…」


こうして俺とウォンガは明日の作戦を話し明日に向けて体を休めた。






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