美少女留学生との出会い
「ーーメロディ•ホークです。気軽にメロディとお呼びください。これからよろしくお願い致します」
俺は、一目見た途端に彼女に恋をしてしまった。
恥ずかしがりながらもスラっとした佇まい。
短くも美しい銀髪はハーフアップされている。
可憐な声ながらもしっかりと芯のあるその声色。
どれをとっても男性からしたら理想的な女性だろう。
現に周りを見れば男子だけでなく女子までもがあまりのルックスに目が奪われている。
恐らく次の休み時間は彼女にとっての一番大変な時間となるだろう。
「ーーなあ悠!お前質問何個考えついた!?」
と、まさにこれから彼女が大変になりそうなことを案じさせる声が俺の耳に響く。
ちらりと隣を見ると、俺の数少ない友人にしてムードメーカー、東屋龍がにやにやしながら何か呟いている。
「気になる気持ちはすごい分かるが、ほどほどにしてやれよ?」
「なにいってるんだ!どんな相手にも第一印象が勝負なんだ!ここで遠慮してたら友達になるなんて夢のまた夢だぞ!」
と包み隠さずに自分の気持ちを高らかに言い放つ。
「相変わらず馬鹿だよなお前」
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは!」
こんな狭い教室でそこそこの声量でそんなことを言ったのだ、となるとと思いちらりと教壇を見ると
「ほーう、東屋、お前そんなに元気が有り余っているならこの後の掃除当番は全て君に任せようか?」
ニコニコした顔で容赦ない提案をしてくる莉奈先生と、あははと苦笑いに近い笑いをした彼女がいた。
「やってしまったぁああ〜!!?」
と隣から悲痛な叫び声が聞こえるとともにクラスは笑いの渦に呑まれていった。
俺は掃除当番に巻き込まれるのは大変ごめん被るため知らん顔をしておく。隣から恨めしいような呻き声が聞こえるが我関せずだ。
みんなが笑いに呑まれている間俺はもう一度彼女に目を向ける。何度見ても心揺さぶられるルックスだ。正直龍の言っていた言い分もすごく分かる。
初対面でどれだけ彼女の印象に残れるか、それがこれからの学校生活で彼女と関わっていけるかが決まるだろう。その点だけで言うなら龍はなんの問題もないだろう。
一方の俺はと言うと、
「まぁ、ないな」
これからクラスの中心となっていくであろう美少女留学生、かたやただの陰キャ一般学生である僕。共通点なんて1ミリたりともない。
僕と彼女では住んでる世界が違う。
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釣り合わない恋はもうしない、したくない。だからこそこの釣り合わない恋心を忘れようと彼女から目を離し机に突っ伏すのだった。