B棟221号室のふたり
怜花と出会ったのは、専門学校の時。ふたりともカフェレストランをやりたいという夢を持ち、それならと、共同経営で小さなカフェレストラン《ホームズ》を営んでいる。
まさかルームシェアという形で、一緒に住むことになろうとは思わなかったけど、今では料理と晩酌をともにするようになった。
「うーん! やっぱり唐揚げは、揚げたてが一番美味しい! 揚げてる人にしかわからない醍醐味!」
「あんまり食べるなよ? 唐揚げは俺の大好物なんだからさ」
「そう思うなら、タルタルソースを作る手を止めない。チキン南蛮風にするなら、早く作って」
「へいへい。柴漬けのタルタルにするけど良いよな?」
「良いよ。さてと、揚げ終わった。サラダは出来てるよね?」
「バッチリ! サーモンとマグロのポキも出来てるし、後は飲むだけだぞ」
お互い料理人だからなのか、小一時間で晩酌の用意は終わる。
冷蔵庫から缶ビールを2本取り出して。
「では。今日もお疲れさまでした! 乾杯っ!」
「ちょっと、早いって。唐揚げがあるからってさ」
「唐揚げは熱いうちに食えってね。昔から言うだろ」
「いやいや、それは理久だけだから」
今日の夕食兼晩酌のメニューは、サーモンとマグロのポキ丼。柴漬けタルタルのチキン南蛮風唐揚げ、茹でキャベツのサラダ。
サラダにはキュウリと、千切りにして茹でた人参。スイートコーンが入っていて、彩りはバッチリ。
「っはぁ! 旨い! 何でビールに唐揚げは合うのかねぇ」
「本当に唐揚げ好きだよね。もう少し静かにしてくれたら、文句ないけど」
「怜花が揚げると、マジで旨いんだよ。やっぱ、二度揚げだな」
「カリっとジューシーにするなら、二度揚げは必須でしょ」
「怜花様々だ~。ありがとうございます、怜花様」
「はいはい。それなら、この大きいやつは私が、もーらい!」
「あ、それは俺が狙ってたやつ!」
ギャーギャー言いながら、ビールをまた一口。
今日もこうして夜が更けていく。