第5話 『光』と『闇』と『聖女』
「魔物は、人の憎悪からできたもので、悪魔と契約すると生まれるんだ。悪魔と契約したものは、最終的には魔物へと変化する。変化するにも魔力の多さが関係していて、多ければ多いほど人間の姿のまま、正気を保って魔物としての力をもって活動できるんだ。魔物は聖女でなければ討伐できない。ただ、光魔法と闇魔法を操れるものであれば一時的に力を弱めることができるんだ。」
知らなかった。光魔法と闇魔法にそんな使い方があったなんて。
それに、聖女なんてこのゲームには出てこなかった!
まぁ、魔物も出てこなかったし、いいか。
「でね、魔物の力として、1番厄介なもので土地を腐らす力があるんだ。う~ん。何といえばいいだろう。要は、土や木とかにものすごい悪臭がして、ズブズブになってしまうんだ。色も赤黒く変色してしまうんだよ。当然、魔物の被害にあった地域には住めなくなる。いまこの国の領地の5%ぐらいが被害にあってるんだ。今は光魔法と闇魔法で魔物の力を抑えているんだけど。そのうち持たなくなる。だから、魔力が強い者が必要なんだ。で、聖女様も探しているんだけど。見つからなくて。聖女様にはアフィルラーテという精霊が憑くんだ。そう神話には書いてあった。そういえば君も『光』と『闇』を使えるんだよね?」
「はい。皇太子さま。まだ使ったことはないですけど。」
「皇太子じゃなくてウィルって呼んで。僕の君のことローズって呼ぶからさ。ねっローズ。」
熱い。頬が熱い。きっと今の私の顔は真っ赤だろう。
「ローズ。顔が真っ赤だよ。大丈夫?」
絶対この王子わかって言ってるな?皇太子の顔がニヤニヤしてる。まずい。平静を装わなければ。
「はい。大丈夫です。皇太子さま。」
「違うよ。ローズ。ウィルだよ。」
「___・・・ウィル様。」
私がそう言うと皇太子さまの顔がなぜか真っ赤になった。
コンコンコンとノックが聞こえ、皇太子さまの体がビクンと震えた。
きっと驚いたのだろう。
扉が開き、入ってきたのは、国王様とお父様、それからミラ先生だった。
お父様は怖い顔をしていてそれと反対に国王様は笑顔だった。
「ウィル。話はできたかな?」と国王様が聞くと、「はい。」とまだ顔が真っ赤な皇太子さまが答えた。
「じゃあ、ローズ。妃教育がんばって。」と言い、部屋を出て行ってしまった。
「じゃあ、ローズ。帰ろうか。」とお父様が余所行きの笑顔と優しい声を張り付けて言った。
帰りの馬車に乗ると、突然お父様が声を荒げた。
「なんで、なんでお前みたいなやつが、魔力しか取り柄がない奴が皇太子妃になれるんだ。候補も集めずに。」
城に着くまでの時間、私は今まで以上に寂しい気持ちでいっぱいだった。




