もふもふたちと、綿雪だるまを作る。
「雪、やっぱり積もらなかったね~」
今年の初雪が降って数日後。暫くは、雨粒のような雪がちらちら降ってたけど、結局ふわふわとした雪っぽい雪は降らず、降り止んでしまった。
「……てか雪どころか、今日は太陽カンカンだし!なんか暑いんですけど!」
まだ2月だというのに、今日は春……いや、初夏のような蒸し暑さで。私は半袖短パン姿で、ぬいぐるみたちと一緒にリビングでごろ寝していた。
「雪が積もってるところ、一度でいいからみてみたいけどナ~」
「僕も見たこと無いですね」
「わたしも無いです」
「我輩も見たこと無いニャー」
と、うさろんと柴田さんとスネービーとちゃとにゃんは、ごろごろしながらそう言った。
「ボクは何度か見たことありましゅが、最近はなかなかつもりましぇんね~」
と、くまくまもごろごろしながら言った。
「くまくまは見たことあるんだ。うらやま~」
と、うさろんが言った。
「雪、見てみたいですね。そして、触ってみたいです」
「まあ、雪が降ったところで、僕たちは触れませんが。雪は水の塊みたいなものですからね。触ったら濡れてしまいますし。でも、そうですね……僕も雪を見てみたいです」
と、スネービーと柴田さんは言った。
「雪か~……そうだ!」
私は良いことを思い付き、ばっと体を起こすと、押し入れの方に行く。そして。
「じゃーん!これこれ!触っても濡れない雪~♪」
と、私が押し入れの奥から持ってきたものは……
「……これは、僕たちの体の中に入ってる大事なもの──綿じゃないですか!雪じゃないですよ!」
と、それを見ると柴田さんはキャンキャンと吠えた。そう、私が押し入れから出したのは綿だ。
「前に、クリスマスツリーの飾りに使おうとして買ったやつが大量に残ってたな~って思い出してさ。みんなでこれで、雪だるまでも作ろうよ~♪」
と、私はふわふわの白い綿を、私の手のひらより少し多めに取り、それを両手のひらでくるくると丸めてみせた。そして、もうひとつ綿をさっきの綿より少し少なめに手に取り、同じように両手のひらでくるくると丸め、その二つの綿を重ね。
「んで、黒い折り紙をハサミで小さく2つにまあるく切って……で、それの裏にボンドを塗って、この丸めた綿にくっつけると──ほら、ちいさなふわふわ綿雪だるまのできあがり~♪」
と、綿でちいさな雪だるまを作ると、ぬいぐるみたちがおお~!と声をあげた。
「やーんカワユス♡うさろんも作る~♪」
と、うさろんは綿を手に取ると、それを器用にくるくると丸め出す。
「ボクもつくりましゅ~!」
「わ、わたしも作ってみます」
「我輩もユキダルマ作るにゃ~!」
「こんな子供のお遊びに付き合ってられませんが~……まあ、暇ですし。仕方ないので僕も参加しますよ」
と、くまくまとスネービーとちゃとにゃんと柴田さんも、ちいさくてふあふあの綿のお手てで綿を手に取り、くるくると丸め始める。
「できた~♡ほらほら、うさろんに似てカワユスでしょ~♡」
と、うさろんはうさみみの形をした、ちいさくて可愛い綿雪だるまを見せた。
「わ~うさぎの形!うさろん上手!かわいいよ♪」
と、私が言うと「ヤッタ~♡♡♡」と、うさろんは嬉しそうにバンザイした。
くまくまはクマの形をした綿雪だるまを。柴田さんはシンプルな綿雪だるまを。ちゃとにゃんは……ぐちゃぐ……芸術的な綿雪だるまを。
そして、スネービーは。
「わ、わたしはちょっと自分なりにアレンジして作ってみました……」
と、スネービーはリアルなヘビの形をした綿雪だるまを作って見せた。
「いや、うますぎリアルすぎでしょ!」と、私。
「きゃー!スネービーすごすぎでしょ~♡」と、うさろん。
その後も綿を使って、みんな可愛らしい綿雪だるまを楽しそうにたくさん作って遊んだのでした。