もふもふたちと、さむい朝。
────………ピピ…ピピピピピピピピピピ
「う”ーん…うぅう…」
ぼんやりとなにか夢を見ていると、遠くからスマホのアラームの音がして。私は目を開けずに、音だけを頼りに手探りだけでスマホを探す。
「ぅわ、冷た…うーん…」
指先に冷たいものが当たる。スマホだ。スマホを手に取ると重たい瞼を開き、しょぼしょぼとした目でアラーム解除のボタンを押すと。
「よーし…おやすみ~…」
2度寝…を、しようとしたが。
「ママー!起きてくだしゃい!朝でしゅよー!」
と、くまくまの声がしたのと同時に、ばさっ!と布団を剥ぎ取られた。
「ぎゃああああ!!!さむいっ!しぬぅっ!!」
と、私は言いながら体を丸めた。
「アホなこと言ってないでさっさと起きてください!仕事に遅れますよ!」
と、柴田さんの怒声が聞こえてきた。
「え~…今日は休む~…寒いから」
「寒いからって休んでたらクビになりますよ!」と、柴田さん。
「う~…わかった~………グー……」
「起きろー!!!」
と、柴田さんは怒声をあげながら、ペシペシと私の体を叩く。ふあふあの綿のお手々だから痛くない。むしろ、可愛い。
「起きるからさ~…はい、私の前に全員集合~」
と、私が手をヒラヒラとさせながらそう言うと、ぬいぐるみたちは私のところに集まってきた。そして。
「捕まえた~!もふもふぎゅっぎゅぅ~!あ~…あったか~い」
と、私はぬいぐるみたちをぎゅーっと抱き寄せた。ふわふわでやわわかくて…あったかい。
「ママ~…うれちぃでしゅけど、ちこくしましゅよ~…?」
と、くまくまは困った顔をする。
「ママンのぎゅーだぁ!うれしぃ♡」
と、うさろんは私の腕の中できゃぴきゃぴする。
「も~…僕はあなたがクビになろうと知りませんからね?」
と、柴田さんは呆れたように溜め息を吐きながら、どこか嬉しそうにしている。
「母上ー!仕事休むのなら我輩と遊ぶのにゃー!」
と、ちゃとにゃんは私の腕の中でバタバタ暴れながら言う。
「ママさん…わたしだってママさんと一緒にいたいですが~…そのせいで、ママさんが職場の方に怒られたら嫌ですから起きましょう」
と、スネービーが優しい声でそう言う。
「う~ん…行くよ~…でも、もう少しだけ…あんたたちのこと抱きしめさせてぇ~……」
私はしばらく、ベッド上でぬいぐるみたちのことを抱きしめてうとうととしていた───
本当に、遅刻しそうになって焦りまくるまで、後数10分後。