もふもふたちと、秋の遠足。②
「いい天気ね~」
カラカラと、ぬいぐるみたちの乗ったベビーカーを押す。このベビーカーは、ちょっと前に大家さんからいただいたもので。
『孫が赤ちゃんの時に使ってたものだけど、もう孫は大きくなって使わないし、思ったより使わなかったから綺麗で捨てるのが勿体なくて~…それで、ぬいぐるみちゃんたちと散歩する時にでもどうかな~って思って。ベビーカーに乗ってるぬいぐるみちゃんたちも見てみたいし』
と、私のところに持ってきてくれて。
「さすがにベビーカーに乗せて歩くのは恥ずかしいかな~って思ったけど、でも、リュックの中より狭くないし、なによりぬいぐるみたちが楽しそうだから良いかな」
今日初めてベビーカーにぬいぐるみたちを乗せたが、ぬいぐるみたちは〝車みたいだ〞と、きゃいきゃいはしゃぐ。その姿がとてもかわいい。ありがとう、大家さん。
と、ぬいぐるみ入りのベビーカーを押してると、前方から噂(?)の大家さんが歩いていて。私たちに気づくと、大家さんはぱああっと顔を明るくさせながら駆け寄ってきた。
「こんにちは、大家さん」
「こんにちは。あっら、早速使ってくれたのね!ありがとう。やっぱり想像してた通り、かっわいいわぁ~。こんにちは、ぬいぐるみちゃんたち」
大家さんはしゃがむと、ベビーカーに乗っているぬいぐるみたちに挨拶した。すると、ぬいぐるみたちも挨拶を返す。
「こんにちはでしゅ!」
「こんにちわぁ♡」
「こんにちは」
「こんにちはなのにゃ!」
「こんにちはです」
「あ~、いつ見ても可愛いぬいぐるみちゃんたちね。癒しだわぁ~…」
と、大家さんはぽやぽやとなんだか幸せそうな顔をしながらそう言った。
「大家さん、このベビーカーありがとうございます。ぬいぐるみたちもとても喜んでます」
「あら本当?ぬいぐるみちゃんたちを乗せたら可愛いかも~って勝手に想像してあげちゃったけど、やっぱいらないものあげちゃったかなーって後悔してたのよね。でも、それなら良かったわ。使ってくれてありがとう!」
と、大家さんはとても嬉しそうに微笑んで言った。すると。
「すてきなものをありがとうこざいましゅ!」と、くまくま。
「リュックも良いけど、ベビーカーも最高っ♪」と、うさろん。
「素敵なものをくださり、ありがとうございます」と、柴田さん。
「車みたいでサイコーにゃ!ありがとにゃ!」と、ちゃとにゃん。
「わたしたちのことを考えてこのベビーカーを下さり、ありがとうございます」と、スネービー。
ぬいぐるみたちが大家さんにお礼を言うと。
「はぁぁ~可愛いっ!ねえ、アレしていい?」
「いいですよ。いいかな、みんな?」
「「「「「はーい!」」」」」
と、ぬいぐるみたちは手を上げて返事すると、大家さんにぴょんすぴょんすと飛びつきそして。
「「「「「せーの!もふもふぎゅっぎゅっ!」」」」」
と、ぬいぐるみたちは大家さんに抱きついた。
「きゃー!可愛いいっ!!幸せ~♡ありがとう♡」
と、大家さんはぬいぐるみたちを抱きしめながら、幸せそうな表情をした。
ぬいぐるみたちそして、大家さんも喜んでるし、素敵なものをいただいたなと思うのだった。