もふもふたちと~の秋。
「うーん!だいぶ涼しくなってきた。ほんとに秋っぽくなってきたな~…」
今日は休日。
ベランダで洗濯物を干し終えると、私はベランダ向こうの景色を見ながら、ぐーっと腕を伸ばした。私が腕を伸ばすと、傍にいたぬいぐるみたちも私の真似をして、ぐーっと腕を伸ばした。
「…さて!洗濯物も干し終えたし。今日は秋らしいことをしてみますか!」
と、私が言うと。
「秋らしいことって?何しゅるんでしゅか?」
と、くまくまが聴いてきた。
「うーん…秋らしいことをするって言ってみたけど~…何しようかな?秋と言えば~…『読書の秋』『スポーツの秋』『芸術の秋』『食欲の秋』『睡眠の秋』…とか?」
「へぇ~そういうものがあるんだぁ?じゃあうさろんは『芸術の秋』にしようかな?お絵かきしよっかな♪」
と、うさろんが言うと。
「では、僕は『読書の秋』ですかね。たまには、絵本ではなく、文字だけの本を読んでみましょうかね」
と、柴田さんは言い。
「ボクも柴田しゃんとおんなじになりましゅが『読書の秋』でしゅかね?ボクはお気にいりの絵本をまたよみましょうかね」
と、くまくまは言い。
「ではわたしも、うさろんさんと同じ『芸術の秋』でもしましょうかね。せっかくですから、以前から描きたくてでも、難しくて描けずにいた風景画に挑戦してみましょうかね」
と、スネービーは言い。
「我輩は『スポーツの秋』にゃ!猫じゃらしで遊んだり、ネズミのおもちゃを追いかけるのにゃ!!」
と、ちゃとにゃんが言うと。
「いや、ちゃとにゃんのそれは『スポーツ』なのかな?」
と、私が言い。すると。
「ママは?なにしゅるんでしゅか?」
と、くまくまが聴いてきた。
「私?私はね~…『食欲の秋』かな♪秋って美味しいものがいーっぱいあるんだよ!芋とか栗とか~。後、梨にぶどうに…あー!柿もある!サンマもいいよね~♪そうだ!これからスーパーに行って、私は秋の美味しい食べ物でもたくさん買ってこようかな?」
と、私がヨダレを滴しながら言うと。
「あなたね!昨日『ちょっと体重が増えてきたから痩せなきゃ』とか言ってたくせに、また食べる気ですか!?」
と、柴田さんが声をあげた。
「だあってぇ~…秋ってさ、美味しい食べ物がたくさんあるんだよ?それに、美味しい時季に食べなきゃ、なんか勿体なくない?」
と、口を尖らせながら、人差し指同士をつんつんして私が言うと。
「そんなんだから、ぶくぶく太るんですよ!!痩せたかったらあなたは『スポーツの秋』をすべきです!!」
と、柴田さんは目を尖らせ、腕をブンブンと振りながら怒声をあげた。
「え~…スポーツぅ?ムリ~…めんどくさい~…てか、ちょっと太った?くらいで、別にすごく太ったわけじゃないもん」
「はぁ~…あなたって人はも~…」
柴田さんは呆れたようにため息をついた。
すると私は思い付く。
「そうだ!じゃあ、今誰も選ばなかったものをやろ!」
「─は?ちょ!?ムギュッ!!」
私はそう言って、腕組みしていた柴田さんを抱きしめてベランダからリビングに移動した。そして、柴田さんを抱きしめたまま、リビングに寝転がった。
「も、もしかしてこれって…」と、柴田さん。
「そうだよ~『睡眠の秋』だよ~」
と、私は柴田さんをぎゅーっと抱きしめながらそう言った。
「ちょっ!?も~…あなたは本当に…」
私の胸の中で恥ずかしそうにしながら、でもどこか嬉しそうな柴田さん。
するとぬいぐるみたちがぽぴゅぽぴゅと、寝転がる私のところに来て。
「うさろんも『睡眠の秋』にするぅ~♪」
と、うさろんは私の横にごろんと寝転がり。
「で、では、わたしも…」
と、スネービーも私の横でとぐろを巻いて。
「にゃー!我輩も『睡眠の秋』にするにゃー!」
と、ちゃとにゃんも私の傍でごろんと丸くなり。
「じゃ、ボクもみんなと『睡眠の秋』しましゅかね」
と、くまくまも私の横でこてんと横になった。
私は腕を広げ、ぬいぐるみたちみんなをぎゅーっと抱き寄せた。するとぬいぐるみたちは、きゃっきゃと嬉しそうにする。
ぬいぐるみたちを抱きしめてると、ふわふわと眠くなってき……た……………
『~の秋』って調べて、今回初めて『睡眠の秋』ってものがあるって知りました。