もふもふたちと、花火を見る。
─────どぉん…どぉん…
ある日の平日の夜のこと。
「ん?」
夕食後、ベランダに干していた洗濯物を取り込んでいると、どこからか爆発音のようなものが聞こえてきた。花火だ。
「そういえば今日、祭りがあるって言ってたっけ?」
と、私が言うと。
「はなびでしゅか?ママ!」と、くまくま。
「花火見たーい!」と、うさろん。
「花火に興味はないですが、暇ですし皆さんのノリに付き合いますか」と、柴田さん。
「はなびー!好きにゃー!どおんどおん♪」と、ちゃとにゃん。
「花火見えますか?ママさん」と、スネービー。
ぬいぐるみたちは花火の音を聴いて、ぽぴゅぽぴゅと足音を鳴らしながらベランダに来ると、ベランダの手すりにぴょんすぴょんすと飛び乗った。
「お!ここからよく見えるじゃん!ラッキー♪」
と、私は洗濯かごを足元に置くと、ベランダの手すりに凭れかかりながら、彼方の空で咲く花火を見つめた。
「キレ~…イ♡」
「綺麗ですね~…」
と、うさろんとスネービーは、うっとりしながら花火を見つめる。
「どおんどおんどぉーーーん!!」
「ちょっ、ちゃとにゃんさん!危ないから手すりの上ではしゃがないでください!ベランダから落ちますよ!」
と、柴田さんは、手すりの上ではしゃぐちゃとにゃんに怒鳴る。
「ほんと、キレイでしゅね~…」
と、くまくまはベランダの手すりに座りながら、まあるくてかわいいシッポをぴこぴこと揺らす。可愛い。
「…そっか、8月も明後日までなんだ。そろそろ、夏も終わりかな~…?」
彼方の夜空で満開に咲き乱れる、イロトリドリの花火をぬいぐるみたちと見ながら。夏の終わりを感じて、何だか私はほんの少しだけ寂しくなった。
─────どぉん…どぉん…