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もふもふもふもふふっ!! ~ ぬいぐるみのいるせいかつ ~  作者: 徳田タクト卍
☆ぬいぐるみたちと、もふもふでふわやかな日常☆
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もふもふたちのいない、一人暮らし。



「はぁ~…今日も疲れたな」


 会社から帰ってきて、家のドアを開ける。


「ただいま~…」


 しん…と静か。パタンと閉じたドアの音が室内によく響く。

 私はすぐにお風呂に入ると、コンビニで買ってきた弁当を電子レンジで温める。今日はなんだかお肉が食べたかったから唐揚げ弁当にした。


「ははは!おもろ」


 チンした唐揚げ弁当を食べながら、テレビを見る。


「終わっちゃった。う~ん…面白いテレビないな~…」


 テレビのリモコンをピッピッと変えるけど、どこも面白い番組がない。


「ふぁ~…眠たいし、寝るかぁ」


 ふあぁ~…と私は大きなあくびをすると、空になったコンビニ弁当のゴミをゴミ箱に捨て、洗面所に行って歯磨きをした。

 歯を磨き終えると、私は寝室へと行く。


「ふぁ~…今日も疲れたなぁ~…」


 大きなあくびをしながら、私はベッドに横になった。夏用の薄いタオルケットを被り、眠ろうとする─けど。


「…何だろう、何か足りない気がする。ていうか、何か忘れてるような…寂しい感じがする…」



 帰ってきた時、いつも誰かが…いや、みんなが「おかえり~!」って言って抱きついてきたような気がする。


 私がご飯を食べてたら、みんなわーわー騒いで私の膝の上を奪い合ってた気がする。


 ベッドに入ったら、みんながごそごそとベッドに入ってきて、みんな私にくっついてきた気がする。


 みんな…


 みんな?



「みんな…?みんなって誰?私誰かと居たの?家族でも居たの?何でだろ?分からない…思い、出せない」


 ベッド上で何度も寝返りを打つ。誰かを…何かを忘れてる─…そんな気がして、モヤモヤして眠れない。

 忘れちゃいけない誰か…みんなのこと。忘れちゃいけないはずなのに…思い出せない。


「何だろう…気のせいかな?明日も早いから早く寝なくちゃ…」


 瞼をぎゅっと瞑り、眠ろうとした…時。



『ママ!』


『ママン♡』


『マ…おほんっ!』


『母上ー!』


『ママさん』



 そんな微かな声がすると。



『もふもふぎゅっぎゅ!』



 ふわふわでやわわかなものたちに、抱きしめそして抱きしめられる感覚が、した。



「そうだ…私────」
















「────はっ」


 ぱちっと、瞼が開く。けど、辺りが真っ暗で何も見えない。

 私は体を起こして部屋の電気をつける。そこには──…


「みんな…いる」


 ぬいぐるみたちが、ベッドで眠っていた。私が電気をつけると、ぬいぐるみたちは目を擦りながら起きてきた。


「ん~…どうしましたか?ママ…」


 くまくまがそう言った瞬間、私はぬいぐるみたちをぎゅううっと思いきり抱きしめた。


「うわあぁあ~!みんないる~!」

「へ?え??ど、どうしたんでしゅか!?何か怖い夢でも見ましたか?」


 と、くまくまは動揺しながら聞いた。


「ううっ、うんっ!とっても怖い夢見てた~!みんないて良かったよ~!」


 私は大泣きしながら、ぬいぐるみたちを抱きしめた。


 お化けが出るより怖い夢を、私は初めて見た。


 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 悪夢って、ありますよね。 まさに、それ。 夢を見てる時、もうひとつの現実みたいなのを、 リアルに見せつけて来る時がある。 そして、目覚めた後に夢で良かったと安堵する。 現実は、辛いはずなの…
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