もふもふたちと、ちりんちりん。
「う~…あづい~…」
リビングの床の上でごろごろしながら、洋服の胸元をぱたぱたと扇ぐ。まだ朝の8時だけどもうすでに暑い。ベランダの窓を開けながら、扇風機を回してるけど…暑い。
「そんなに暑いなら、クーラーを点ければいいじゃないですか」
と、柴田さんが言う。
「ん”~…クーラー点けたいけどさ~…最近電気代が上がってるから、あんまり電気を使いたくないんだよね~…」
と、床の上でごろごろと転がりながら言う。
今日は仕事休み。特に出掛ける予定もないし、ていうかまだ朝なのに既に外は太陽がギラギラしてて暑いから、外に出たくないし~…ということで、家でごろごろしてるけど~…
「…やっぱ点けようかな?いやでも、朝からクーラー使いたくないなぁ。せめて、昼後…いやでも朝から暑すぎー!」
外でミンミンとした蝉の声がする。その蝉の声を聞いてると、余計暑さが増す気がする。
「あー!蝉うるさーい!蝉の声のせいで余計暑いよ!」
と、私が叫ぶと。
「やれやれ、蝉に八つ当たりとは」
と、柴田さんが首を横に振った。
「だあって~…蝉の声聞いてると余計暑く感じるんだもーん…くそ~…何か涼しくなる方法ないかな?」
床の上をごろごろと転がりながら考えていると。
─────…リン…
「ん?」
微かに、外から風鈴のような音が聞こえてきた。
「風鈴か~…あ、そうだ!たしかクローゼットの中に~…」
と、私は飛び起きると、寝室に急いで向かいそして、クローゼットを開けてがさごそと探った。
「─あった!」
「どうしたんでしゅか?急に起き上がってここに来て…」
と、くまくまたちが私のところに駆けてきた。
「ほらほら、風鈴!昔お茶のおまけについてたやつなんだ~」
ちりんちりんと揺らしながら、私は言った。
「風鈴~!キレイな音~♪」
と、うさろんが目をキラキラさせながら言う。
「これを~…」
私は風鈴を持って、リビングに向かった。そして、開いたベランダの端に、風鈴を引っ掛けると。
─…ちりん、ちりん…
風が吹くたび、風鈴が揺れてちりんちりんと涼やかな音を奏でる。
「はぁ~…良い音。この音を聴くだけで、何だか少し涼しくなった気がするんだよね~…」
「音だけで涼しくなるもんですか?」
と、柴田さん。
「なんとなーくだけどね。不思議だよね~、ただ音が鳴ってるだけだけで、気温が変わるわけじゃないんだもん」
「そうなんですね、ほんと不思議ですね」
と、スネービー。
─…ちりん、ちりん。
外から風が吹くたび鳴る、風鈴。
ぬいぐるみたちと一緒に風鈴の奏を聴きながら、少しだけ涼しさを感じるのだった。