もふもふたちが…会社に電話してきた!?
ある日のこと。
「うーっわサイアク!!スマホ家に忘れた…」
会社に着いてスマホを忘れたことに気づき、私は肩を落とした。
「…まあ、こんな日もあるよね」
大きなため息を吐くと、私は仕事の準備を始めた。
。.:*:・'°☆
「主さーん、ちょっとちょっと」
仕事を始めてほどなくして、先輩が私の名前を呼んで手招きした。
「何ですか?」
「はい、お子さんからお電話よ。あなたお子さんいたのね、知らなかったわ。可愛いしゃべり方する子ね」
「…え?」
にやにやしながら、先輩は私に受話器を渡した。恐る恐る、受話器を耳にあて。
「も…もしもし、どちら様ですか?」
と、受話器の向こうの誰かに話しかけると。
『ママ…?ママでしゅか?』
「この声は…くまくま!?え?!」
『やっほー☆ママン♡うさろんたちもいるよ~♪』
『我輩も母上と電話したいのにゃー!』
『僕も…っ!』
『わ、わたしにもママさんとお話ししたい…』
受話器から聴こえてきたのは、くまくま…と、その後ろからぬいぐるみたちの声だった。
「はぁ?!な、なんであんたたち電話してっ………てか、え?どうやって…」
驚いた勢いで大声になってしまった。はっ!となって慌てて辺りを見回し、私は受話器に手を当ててこそこそと話す。
『ママ、今日シュマホ忘れてましゅよ。その忘れていったシュマホで、今お電話してるんでしゅ』
と、くまくまが言った。
「いや、え?スマホの使い方わかるの!?てか、あんたらのもふもふのお手々じゃスマホ操作できないでしょ!?」
『ママがふだん使ってるのをみんな見てたので、なんとなーくやり方は覚えてましゅ。操作は、ママがシュマホゲーム?の時に使ってる、たっちぺん?でやったんでしゅよ』
「…嘘でしょ!?あんたら超天才じゃん!」
『えへへ♪』
くまくまたちの照れ笑う声が聴こえ。
『お電話はしょれだけでしゅ。シュマホ忘れてましゅよ~と伝えたかっただけでしゅ』
「ありがとう。でも、今日は必要ないみたいだから大丈夫。お電話ありがとうね」
『はい!ママ、お仕事頑張ってくだしゃい!』
『ママンふぁいと~♪』
『マ…おほんっ!が、頑張ってください』
『母上~!頑張れ~!』
『ママさん、疲れたら無理せず、一休みしてくださいね』
『それでは』といって、くまくまは電話を切った。
…まさか、ぬいぐるみたちが電話を掛けてくるとは。てか、電話掛けられるぬいぐるみって!私のぬいぐるみたちほんとに超天才じゃん!
受話器を戻しながら、親バカっぽいことを心の中で思っていると。
「主さんって独身って思ってたけど、結婚してたんですか?」
「お子さん何歳ですか?」
「何かわいわい聴こえてきたけど、お子さん何人かいるんですか?」
「え?いや…あの子達は…」
電話の後、会社の人たちに質問責めに合い、説明するのが大変だった。
でもまあ、ぬいぐるみたちの応援電話のお陰で、仕事がいつもより頑張れたからいっか。