もふもふたちが、私の似顔絵を描く。
私がテレビを見ながらぼーっとしていると、ぬいぐるみたちがぽぴゅぽぴゅと足音をならしながら私のところにやってきた。よく見ると、みんなスケッチブックとクレヨンを持っている。
「なに?何かおえかきするの~?」
と、私がぬいぐるみたちに聞くと。
「ママ、動かないでくだしゃい!」
と、くまくまに言われた。どうやら、私の似顔絵を描きはじめたようだ。
「……」
…動くなと言われると、動きたくなる。別に痒くもないのに、顔をポリポリと掻くと。
「動かないで下さいっ!」
と、柴田さんに怒鳴られた。
…そんなこと言われてもな~…
しばらくして。
「「「「「できたー!」」」」」
と、ぬいぐるみたちがいっせいに声をあげた。
「どれどれ見せて~!」
と、私はぬいぐるみたちが描いた絵を見ていく。まずは、くまくまが描いた私の似顔絵を見る。
「お~、うまいうまい!けど、この私の頭の上にあるくまくまの耳?みたいなものは何?」
「これはでしゅね、くまになっちゃったママでしゅ!」
くまくまの絵は、まるで幼い子供が描いた絵のようで、可愛い。
「次は~…わぁ!うさろんの絵可愛い!」
「ふふ♪ママンの頭にリボンをつけてみたの♡カワイイでしょ♡」
うさろんの絵は、少女漫画っぽい感じで目が大きく描かれていて、周りは星やハートなどの絵がちりばめられていた。女の子が描きそうな絵って感じで可愛い。
「次は~…なんか、柴田さんって感じの絵だね!うまいうまい!」
「何ですか、僕っぽい絵って」
柴田さんの絵は、よく母の日にお店などに飾られている、小学生の子供が描いたリアルな感じの絵って感じで。柴田さんぽくて、可愛い。
「次は~…うん、勢いのある感じがちゃとにゃんぽい!」
「我輩っぽいかにゃ!嬉いにゃ!」
ちゃとにゃんの絵は、初めてクレヨンを握った赤ちゃんくらいの子供が描いたような、ぐじゅぐじゅっとした絵で。これはこれでほっこりする。可愛い。
「で、最後にスネービー………!?えっ!?うっっま!!!?」
「そっそんなことないです…」
スネービーの絵は、まるで写真…とまではいかないけど、とにかくそれくらいリアルな私の絵を描いていた。ぬいぐるみたちもスネービーの絵を見て「「「「うんまーーー!!」」」」と声をあげていた。
「ええ!?スネービーしっぽで描いてたよね?難しくない?」
スネービーは蛇のぬいぐるみだから手がなくて。だから、他のぬいぐるみたちがクレヨンを両手で握りながら描いてるなか、スネービーはしっぽにクレヨンを巻き付けて描いていた…けど。
「…私より絵、上手いんだけど!すごーい!」
「そ、そんな…でも、ありがとうございます」
私がそう言うと、スネービーはしっぽの先で頬を掻きながら、えへへと微笑んだ。
スネービーの意外な才能を発見したのだった。