番外編 episode2 ─ うさろん ─
うさろんの昔話。ちょっと切ないテイストになってます。
うさろんがママンと出会ったのは、ママンが高校生のころ。制服姿のママン、可愛かったな~♪
ママンのお友達と放課後に遊んでる時に、ママンとママンのお友達はお揃いのうさぎのぬいぐるみを買ったの。そのひとつが、うさろんだったの。
ママンとママンのお友達は、お互いのお家に遊びに行ったり来たりするたびに、うさろんと、そのオソロで買ったうさぎさんのぬいぐるみの『まかろん』を会わせてくれたの。
「まかろ~ん!遊び来たよ♪」
「お~、うさろんいらっしゃ~♪」
まかろんとは顔も形も一緒だったから、姉妹みたいな感じで。今日はまかろんと会えるって知らされた時はすごく嬉しくなったし、会ったら毎回、うさろんとまかろんはハグしあって。たくさんおしゃべりしたり遊んだりしていた。
そんなある日のこと。
ママンたちが大人になって、ママンとママンのお友達があまり会わなくなって。
しばらくして、ママンのお友達が一人暮らししたからってことで、そのお友達のお家に行ったの。
そしたら…
「…まかろん?ねえ…まかろん?」
まかろんは、棚の奥でホコリまみれになってて。もう、お話しできなくなっていたの。
うさろんたちぬいぐるみは『おなまえ』をもらって、初めておしゃべりしたり動いたりすることができるようになるの。なんだっけ『おなまえ』をつけてもらったら『魂』?っていうのが宿る?みたいで。
それと、うさろんたちがいつまでもおしゃべりしたり動いたりするためには、持ち主さんたちの『愛情』が必要みたいで。
でも、人間は大人になると、お仕事とかお家のこととかで忙しくなっちゃうから、うさろんたちぬいぐるみに愛情をかける余裕が無くなっていって。愛情がもらえなくなったら、うさろんたちはもとの動かない『ぬいぐるみ』に戻っちゃうの。
まかろんの持ち主さんも、お仕事が忙しくなってまかろんに愛情をかけられなくなって…だから、まかろんはもとのお話ししないぬいぐるみに戻っちゃったの。
…うさろんは、これからもお話ししていられるかな?
ママンもいつかは、うさろんたちのこと────
「う~さろん!今日もかわいいね~♪」
そう言ってママンは、うさろんのことをぎゅーっと抱きしめた。
人間とは違って、うさろんたちぬいぐるみは『たいおん』は無いし、あったかさを感じたりしないけど…でも、ママンに抱きしめられると、いつもお胸のあたりがぽかぽか、する。
「ねえ、ママンは─」
「ん?どした?」
「…ううん、何でもない」
「あ、いいなーうさろん!ママ、ボクもぎゅーしてくだしゃい!」
くまくまたちが、うさろんたちのところにぽぴゅぽぴゅと走ってきた。
「ママン、だーいすき♡」
うさろんはそう言って、ママンにぎゅーっと抱きついた。
ママンはうさろんたちのこと、ずっと愛してくれる。
だって、ママンはママンだから。