吠える柴田さん。
────………ピピ…ピピピピピピピピピピ…
スマホのアラーム音が聴こえ。
「う~…んんん」
もぞもぞと、頭まで被った布団から手だけ出し、とふんとふんと布団の上から手を這わせ、スマホを探す。スマホが手に触れるとスマホを握り、ずるずると布団の中に持ってくる。寝ぼけながら、アラームを解除すると。
「グ~…」
二度寝。
「いや、起きんかーい!!」
と、柴田さんが怒声をあげると「せーの!」と、ぬいぐるみたちは私の被る布団をバサッとひっぺがした。
「うおおおお…さっっむ!!」
私はダンゴムシのように体を小さく丸めながら、ひっぺがされた布団をぬいぐるみたちから奪い取ろうと、布団をぐいぐいと引っ張る。
「布団被らせてよ~!寒いよ~!」
私がそう言うと。
「お仕事遅刻しましゅよ!」
と、くまくまが言った。
「うぅ~…会社休むぅ」
「子供みたいなこと言ってないで、早く起きてください!」
と、柴田さんが私の耳許できゃんきゃん言う。
「わぁかったよ~…」
髪をばさばさにさせ、眠たい目を擦りながら、私はのろのろと起き上がった。
「ママン、頭バッサバサで草~」
と、うさろんが笑う。
「おはようございましゅ、ママ」
と、くまくまが、ぺこんとおじぎする。
「おっ、おはようございます、ママさん」
と、スネービーが舌をぴろぴろさせながら言う。
「母上、おはようなのにゃ!」
と、ちゃとにゃんが、ベッドの上をぴょんこぴょんこと元気よく跳ねながら言う。
「まーったく、あなたは本当に、いつまでもねぼすけが直りませんね」
と、柴田さんは腕を組みながら、呆れまじりにそう言った。
「おはよ~みんな~…」
みんなに挨拶した瞬間、ばさっ!と、ぬいぐるみたちが油断している隙に布団を奪い取り、また布団の中に潜り込んだ。
「いい加減に起きろやあああああ!!!」
柴田さんの怒声が布団の向こうからキンキン聴こえてきた。
寝惚けててもわかるほどに、柴田さんのツッコミが面白すぎた。