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ぽっちゃり転生は二度美味しい! ~武術と料理で異世界無双~  作者: 西山暁之亮
第四章 吸血鬼? 何それ美味しいの!?
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第31話 ヒロイン登場(?)

「た、助かった」

 大きなため息。

 そして、久方ぶりの震え。

 死ぬかもと思った。こんなの初めてコボルトに襲われたときから二度目だ。

 再び現実を突きつけられた。

 ここは異世界では、いくら僕が無敵のスキルを持っていても()()()()()()()()()()()()()という事実にだ。

 こんな力を持っていいのかとか、そんなどうでもいいこと考えている暇はなかったんだ。

 あるものなら何でも使わないと殺される。

 簡単に殺されてしまうんだ。

 そこら辺に転がっている死体のように!

「は、はぁ。も、もう。何だってんだよ」

 立ち上がろうとするけど、やはり右足に力が入らなかった。

 それどころか体が妙に重い。

 風邪のような倦怠感(けんたいかん)も感じる。

 僕ってこんなに体力無かったっけ?

 まさかと思ってロングパンツを引き上げてみると……

「え!? や、痩せてる!」

 ビックリした。僕の脹脛(ふくらはぎ)が左の半分くらいになっている。

 サーッと青くなって、左手首を叩きステータスを表示してみる。

 僕のスキル【わがままボディ】は体型を維持している間は理想的な力を得る。

 ならば、こんな感じで体型が崩れたならどうなるか。


 体力値:S→A

 筋力値:A→B

 魔力値:D

 知力値:C

 耐久値:A→Bー

 素早さ:A→D


「やっぱり。ステータスが落ちてる!」

 部分的に()せただけでもこんなになってしまうのか。

 もしあの鎧の男に首を掴まれていたらと思うとゾッとする。

 また爆食いして寝れば元に戻るかとは思うんだけど……その前にもう一度出会ったらアウトだ。

「今度会ったら一撃で倒さないと。アレは僕の天敵だ」

 どこかで慢心(まんしん)していたのかもしれない。

 エキゾチックスキルがあれば無敵だって。

 でもハッキリと解った。

 ああいう命を吸い取るようなヤツは対策しないとやられる。

 この世界には必ず、僕の天敵がいるんだ。

「……次会うときは絶対に対策しておくからな。見てろよ」

 願わくば二度と会いたくないのだけれども、ついつい強気な言葉が出てしまうのは戦いでハイになっているからだと思う。

 とりあえず、だ。

 対策しようにも、ここから立ち去ろうにも、誰かに肩を貸してもらわないと動こうにも動けない。

 段々と足音が近くなってきたから、そろそろモカかエステルが来てくれるはずだ。


「ここか!」


 複数の足音と共に、甲高く透き通った声が聞こえた。

 聞いたことのない声だった。膝立ちのまま顔を向けてみると、逆光の中を歩いてくる人間がいた。

「誰!?」

「貴方こそ誰ですか。名乗りなさい」

 凜とした声だった。

 ちょっと高圧的な物言いだけど、声が美しくてまるで歌のようだった。

 段々と見えてきたのは剣を構えた女性。このスラムには似合わない、真っ青で高貴な色合いのロングスカート。その上には鈍色に光るほっそりとしたフォルムの鎧。左肩には獅子の顔を模した真鍮(しんちゅう)色の肩当て。

 サラサラ流れる金髪はカチューシャで留められていて、顔はまさに姫と言わんばかりの美貌(びぼう)

 姫騎士とか美人騎士とかそういう出で立ちの人が、剣を片手に歩み寄ってきていた。

「貴方は何者? オーク? それとも人間? 正直に答えなさい」

 うっわ、近くで見るとめっちゃくっちゃ綺麗。

 こんな時、



「どこぞの騎士様か知りませんが、ここは危険です美しい人。どうかお引きください。私の事はお構いなく。少し、厄介なのと喧嘩しましてね……」



 なんて言えればいいのだけれども



「たったたた助かった! ぼ、僕襲われて! お医者様いないです!?」 



 なんて鼻水垂らして助けを求めてしまう。

 でもこれで助かった。

 どう考えてもこの人、衛兵だか騎士団だかの偉い人か騎士だもの。

 王国の為にもあの鎧の男倒してくださいよ~と言おうとしたら、


「動かないで。両手を挙げなさい。さもなくば斬ります」


 なんて言われて切っ先を向けられた。

 どういうことですか。

 この世界では高貴な人も武器を向けるの?

 それが礼儀なの?

 そんなナリでも蛮族ムーヴなの!?

「ちょっとお! 僕、被害者なんですけど!?」

「いいから、何があったか説明しなさい!」

 美人騎士さんがメッチャクチャこっちを警戒してる。

 何でまたそんなに……と思ったけど理由が分かった。

 僕の側に、カラッカラになったミイラがある。

 もしかしてこれ、僕がやったと勘違いされてないだろうか。

 不運なことに、彼女からすると僕は死体の前に跪いている形だ。

 死体剥ぎにも見えるし、場合によっては犯人にも見えるかも。


 ……もしかしてこれ、かなりマズいシチュエーションじゃない?


 なら言われたことをしっかり答えないと。

「答えなさい! さもなくば……!」

「わかったから剣下ろしてよ! 黒い鎧の男に襲われたんだ。四つん這いで走ってくるようなヤツ!」

「黒い、鎧?」

 美人騎士さんの顔がみるみるうちに険しくなる。

 やった!

 これはあの黒い鎧のことを知っている顔だ!

 多分あの鎧を追っかけてる人!

 なら僕が被害者ってわかるよね!

「そう。胸に真っ赤な宝石があって、血管みたいに体に伸びてました。ここの男達も首を掴まれて干されてて!」

「なるほど。では貴方は被害者で、黒い鎧の男を追い払った。そうですね?」

 ヘドバンするほど頷く。

 すると美人騎士さんはニコッと笑い――


 いきなり、()()()()()()()


「どぉわ!!」

 動けないから、突き出された剣をミスリルの手甲で弾く。

 すると美人騎士さんはザッと剣を構え直す。

 左肩を突き出した脇構え。

 これ、剣閃を隠す刀の構え方だよね。

 つまり、僕を完全に殺しに来てるって事では?

「やはりただ者では無かった。白状なさい。【デモンズメイル】は。【恍惚(こうこつ)魔鎧(まがい)】はどこにあるのです!」

「でもんずめいるぅ!?」

脇構。剣道ではあまり意味がない構え。

しかし甲冑や大袖、肩鎧を装備したなら――その意味がガラリと変わってくる。

見えない間合いをどうするケント!?


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― 新着の感想 ―
[一言] また面倒くさいのが出てきた。 がんばれー
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