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ぽっちゃり転生は二度美味しい! ~武術と料理で異世界無双~  作者: 西山暁之亮
第三章 王都? 何それ美味しいの!?
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第14話 脅迫と書いてスカウトと読む

 何故、バレたのだろうか。

 というか世界樹に呼ばれたって何?

 やっぱりあの巨木の事?

 ちょっといきなりすぎてワケがわからない。

 僕のステータスにそんな事書いてあったっけ?



『所属は……何ですかこれ。よ、読めない。あと変なマークついてますね。何だろコレ?』



 不意にジェニファーさんの二月前の言葉を思い出す。

 慌てて手首を叩いてステータスを見ると、やっぱりあった木のマーク。これは召喚者って意味なのか? 

 受付嬢は知らないけれど、ギルドマスターなら知っている知識って事?

 そりゃそうか。

 異世界からの人間なんて居たとしたらトップシークレットだよね。ハハハハ……。



 やっべえ。


 ダラダラと脂汗が出てきた。



『これがステータス。エルフの里では『己の窓』とも。人からは中身が見えません。唯一【人物鑑定】のスキルを持つギルド関係者が見えることを除けばね』



 追い打ちのようにアインツさんの言葉を思い出した。

 他人のステータスを覗けるのは、【人物鑑定】のスキルを持つギルド関係者――だったか。

 ……そうなるとまさか。

 この人ギルド『マスター』って言うくらいだから全部見えてるんじゃないか!?

「大方、別の世界のメシが大当たりってトコか? いやあ上手く取り入ったモンだねえ」

「うっ!」

「そんでオークに疑われて、記憶喪失だの言って(あわ)れんでもらったってわけだ。見た目によらず(したた)かなんだ」

「あう、あううう」

 やめてえええASRMみたいに耳元で(ささや)かないでえええええ!

「その『筋力値A』って意味知ってるかい? 巨人族と腕相撲できるレベルさ。コボルトなんて赤子の手を捻るようなものだった、だろう?」

「や、やめて! それ言わないで!」

「ハハーン。解った。あんたチヤホヤされるぬるま湯から出たくないんだ。だから謙虚(けんきょ)なフリしてるんだねえ」

 ひいいいいいい!

 全部バレてるー!

 ふっざけんなこれ個人情報丸見えじゃないか!

 ギルドマスターだからって職権乱用だろ! 訴えるぞ!

 ……というのが効かない人なんだろーなーわかるよー空気で解る。

 法律だの規則だのナンボのもんじゃいって顔してるモン!

「勿体ないねえ。うん、勿体ない。こんな物件そうそう無いよ。いやあアタシが見つけて良かったねぇ。他のギルドマスターなら次の日に戦場かAランククエストへ連行だよ連行」

 そういうのヤダー!

 なっなななななななんとかして逃げられないだろうか。

 ……ダメだこの人、「(スキ)」が無い。

 片腕を剣の柄に乗せてるだけなのに。

 何だこの人!?

 更に汗をかいて固まっていると、ギルドマスターさんは僕の耳にフッと息をかけてきた。

「ひゃあん!」

「なんだ本当に子供かい。童貞臭い。これじゃ女と寝るどころか手もつないだことないだろ」

 直球で言うヤツきらい。

 そうだよ悪いか!

 今は肩を噛まれたりタプタプされたりするけどな!

 これでも進歩したよ!

「……ぼ、ぼぼぼ僕をどうするつもりですか!?」

「怖がんないでいいさ。取って食いやしないし、悪いことは言わないよ」

 というと、周囲から安堵(あんど)の声。

 僕もホッと一息。

 ギルドマスターさんは立ち上がると、ニヤリと意味ありげに微笑む。

「でもね、人って言うのは納まるべき場所に納まるモンさ。アンタの居場所はここじゃあないと踏んでいるんだが、どうだい?」

「どうだい、って言われましても」

「ニブいね。アタシんとこ来ないかって事さ」

 えぇーここまでのフリ、全部スカウトだったってこと!?

 ……そりゃそうか。

 この人冒険者を募って仕事回すギルドマスターだから。

 いい冒険者がいれば引き抜く。

 誰だってそうする。

 僕だって同じ立場ならそうする。

 でも何だろうこの、外堀から少しずつ少しずつ埋められていく感じは。

 この人力もそうだけどタダモンじゃない。

 知らず知らずに相手を自分のペースに巻き込んでる。

 どんな人生送ったらこんな風になるんだ?

「ちょ、ちょっと待ってください。いきなりケント君を連れて行くって事ですか!?」

「そうだよ。今決めた。こいつ記憶喪失って言ってただろう? じゃあウチが責任持って治してやるよ。これでも冒険者を助ける相互扶助会の長の一人、ギルドマスターだからね」

 ジェニファーさんにそう言うけど、僕にはわかる。

 この人の行間の言葉がわかる。


『そういう事にしといてやるから、観念しろ』


 って、僕に向かってそう言ってる。

 これで僕が嘘ついてた事バレたら皆が失望しちゃうぞとか、実力隠してたぞとかそう言わんばかりだ。

「ケント君を連れて行かれると困ります。私たちのご飯が!」

「ニャ! ケントの腕噛めなくなるのは嫌ニャ! 作ってくれるクッキーが無くなるのも嫌ニャ!」

 解ってたけど女性陣、僕の事自体が好きとか言ってくれませんよね。

 みんな僕の料理の腕だけ目的だったんだねチックショウ!

「料理人連れてきただろう。期待して良いよ。元宮廷料理人だ。ギルド連合のワビ入れだよ。わざわざギルドマスターであるアタシが出てきたのもその一環さ」

「元宮廷料理人……で、でも!」

 おい、今揺らいだぞ。

 ジェニファーさん揺らいだぞ。

 僕そういうのわかる。

 かなしい。

「さっきも言ったけどギルド連合の名代で来たんだ。人事権に受付嬢がとやかく言える話じゃないよ」

 ジェニファーさんが「うぅ……」と肩を下げる。


 ――それを合図に。

 ギルド内が、殺気立った。

や、やめて! アタイのために争わないで!

……がマジになりそうです。


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