夏休みが終わって
そんなことがあった次の週から、高校2年の2学期が始まった。
僕が学校へ行くために家を出て、坂のところまで行くと、まどかの母親が、坂のところに立っており、坂の下を見ていた。
僕は、そんなおばさんに「おはようございます」と言って、よそよそしく挨拶をした。
僕に気付いたおばさんは「あら、おはよう。ずいぶんよそよそしいのね?」と言って笑った。
そして「ケンジ君、君にちょっと聞きたいことがあるんだけど……」と言った。
僕は、そんなおばさんの言葉に、『また、まどかとのことかもしれない』と感じ、その場は、少し時間稼ぎをすることにした。
「急がないと、学校に遅れちゃうんで……話なら、帰ってからでいいですか?」と訊ねた。
「いいけど、何時ころになる?」と聞いてきたので、「今日は、放課後なにもないし、5時前には戻れると思います」とだけ言って、坂を下った。
「そう、じゃあ、その時間には家にいるから、寄ってね。まどかちゃんがいてもいいでしょ?」
そう言うと、おばさんは、その後「行ってらっしゃい」と言って、僕に手を振った。
坂を下った四つ角の広場には、いつものように僕を待つまどかがいた。
僕を見つけると、嬉しそうに「ケンジ君」と言って、駆け寄って来ようとした。
僕は。そんなまどかを「来るな!」と言って制止した。
まどかは、驚き、駆け寄る足を止めた。
「お前のママが見てる」
そう言うと、僕は、そのまま、四つ角の奥にいるまどかの前を素通りし、何もなかったように学校への道を歩いた。
その後、しばらくして、まどかが僕の後ろを駆けて来た。
「ママ、いなかったよ」
僕に追いついたまどかが、いつものように僕の腕に寄り添い、そう言った。
「俺が坂を下りる時にはいたの……俺に、話を聞きたいって言ってた。きっと、お前とのことを確かめたいんだ……」
僕が、そう言うと、まどかは「別に、私たちのこと、ママに知られてもいいじゃん」と言った。
「なに、そんなに恐れてるの?」
僕は、そのまどかの言葉に、血の滴る僕のおちんちんを握りしめたまどかの姿が浮かんだ。
「ダメ!絶対にダメ!!!」大声で言うと「へんなの!?」とまどかが、不満そうな顔をして、僕の顔を覗き込んだ。




