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僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅴ章 祭
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バスを降りて


バスが僕たちの町に着いた。内田たちと丸山君たちは、国鉄の駅のバス停で降りた。


僕とまどかは、もう少し、自分たちの家に近いバス停で降りるため、彼らとはそこで手を振って別れた。


僕たちが降りるバス停が、そのバスの終点だった。


僕たちは、バスを降りると、二人で、大きく伸びをして、眠気を払った。



実は、僕はこのまま素直にまどかを家まで送って行こうとは、考えていなかった。


帰り道を少し遠回りして、あのお稲荷さんに寄って、まどかとの愛を、再度楽しもうと考えていたのだ。


僕は、ズボンのポケットに密かに忍ばせていたコンドームの袋を取り出し、まどかに見せて「お稲荷さんを拝んで帰ろう」とまどかを誘った。


それを、聞いたまどかは、あきれた表情で「もう、海でしたじゃん」と言った。


「だって、あの時は、子供たちが来て、ゆっくり、まどかを愛せなかったから……」と言うと、「もう、十分です!」とまどかは答えた。


「ねえ、そんなこと言わずに、せっかく、これ持って来たんだから……」と言うと、「そんな準備してるんだったら、何も海ですることなかったでしょ?」と、もっともなことを言った。


「いや、それは、まどかの水着姿を見て、つい興奮して……」と言うと、「夏未ちゃんのでしょ!?」と怒った。



「いや、そんなことないって……まどかだって、十分素敵だったよ」と言うと、「『まどかだって』……!? 」「ぜーたいに、イヤです!!!」まどかは、僕の不用意な返答に、本気で怒ってしまった。


「ごめん、ごめん」と手を合わせて、必死であやまる僕に、ふくれっ面でそっぽを向いたまま「イ~ヤ!」の一点張りだった。



「だいたいねー 君のせいで、まどかまで『ヘンタイ』にされちゃったんだからね! 分かってる?……まったく……少しは、反省しなさい!」そう言って、まどかは、僕のスケベなお願いを拒否した。


「でもさー、僕たちをヘンタイ呼ばわりした内田だって、着替えに行って遅かったのは、林の中で、夏未とやってたんだぜ……あいつらの方が、ヘンタイだって」


その、自分を正当化する僕の言い訳を聞いたまどかは「えーっ!? 男の子って、そんなこと話し合ってるの?信じられない……」と、ますますおかんむりになった。



その後、まどかは、僕が何を言っても「イヤです!」「しません!」の一点張りだった。


僕が、何か話しかけようとしても「イ~ヤ!」と言って、聞く耳を持たなかった。



いよいよ、家が近づいてきて、まずいと思った僕は、ふくれっ面で先を歩くまどかの手を取り、稲荷神社のある河原の方に向かう道にまどかを引っ張って行った。



「痛い!放してよ!」まどかは、僕が思ってる以上に怒っていた。


「ねえ、そんなこと言わず……せっかくの夏休みなんだから、そんな、ふくれっ面せずに、二人の楽しい思い出を作ろうよ……」

その僕の、即興のきざな言葉に、まどかは、少し反応した。


僕は、『しめた!』と思い、河原の公園のベンチにまどかを誘った。

まどかは、「しませんからね!」と先に断って、僕の横に腰をかけた。


僕は、そのベンチに座って、昔、この公園でまどかと遊んだ思い出話を始めた。


「昔さ、大水が出た後、そこに水たまりができて、いっぱいウナギがいたの覚えてる?みんなで、水に入って、ウナギを捕まえたよね?まどか、捕まえても、捕まえても、ヌルって滑って、水の中にウナギが逃げるから、最後は悔しがって半べそかいて……」

「僕が捕まえたウナギ、一匹まどかにあげたら、うれしそうに『ありがとう』って言ったよね……」


そんな、懐かしい話をいくつもしていると、やがてまどかは、僕の肩に自分の頭をもたせかけて来た。


そして「ケンジ君て、いつも、まどかに優しかったよね……」と、懐かしそうに言った。


夕日が、僕たちを赤く染めていた。僕は、ここぞとばかりに、まどかの中学時代に好きだったNSPの『夕暮れ時はさみしそう』を口ずさんだ。



まどかは、その僕の小さく口ずさむ歌を聞きながら、「どうせ、ヘンタイだからいいか……」と、お稲荷さん行きを許してくれた。


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