膨れるまどかと浮き袋
その後、みんなはめいめいに海の方に向って駆け出した。
僕も、ふくれっ面のまどかを海に誘ったが、「後で行く」と言って一人だけ浜辺に残った。
仕方なく、僕は他のみんなと海に入り、久しぶりの潮水での泳ぎを楽しんだ。
しばらく、そうやって、他のみんなと海の中でふざけあったが、いつまでたっても、まどかが来ないことに気づいた。
岸の方を見ると、僕たちからは遠く離れた砂浜で、ひとり砂遊びをしているまどかがいた。
僕は、先ほどのことを、まだ拗ねているものと思い、泳ぐのをやめ、まどかのところに行った。
まどかは、砂山を作ってそれに手で汲んだ水を掛けたりして、遊んでいた。
「どうしたの?一緒に泳ごうよ」そう言って、まどかを泳ぎに誘った。
僕の声掛けに、ちらっと僕の方を見上げると「まどか、泳がない……」そう言って、僕に背中を見せた。
その、まどかの拗ねた態度に「まだ、怒ってるの? せっかく海に来たんだから、一緒に泳ごう」僕は、しつこくまどかを海に誘った。
「夏未ちゃんと泳いでもらったらいいじゃん……」
「どうせ、私みたいな、貧弱な女より、夏未ちゃんみたいなグラマーな女性の方がいいんでしょ?」やはり、先ほどのことが、尾を引いているようであった。
「いや、そんなことないよ……俺は、まどかみたいな小さな胸の子の方が好きだよ……」
「なによ!それ!」
なんの慰めになっていない言葉を聞いたまどかは、さらにふくれ、膝を抱えて小さくなった。
僕が、困っていると「だって、まどか、泳げないんだもん」と言って、今度は、山ではなく丸い棒のようなものを砂で作り始めた。
「泳げないんだったら、俺がそばにいてやるから……岸の方で、水に浸かるだけでも気持ちいいよ」と、僕は拗ねたまどかの前に回り込み、そう言って機嫌を取った。
その僕の言葉を聞いて、まどかは、僕の方を見上げると、「まどか、浮き袋なら持って来てる。でも、大きくて膨らませるの大変だから……」と言った。
「なんだ、それなら俺が膨らませてやるよ。その浮き輪、持って来いよ」
僕が、そういうと、まどかは再び僕の方を見上げ「ほんとう?」と聞いて、立ち上がった。
そして、先ほど砂で作った棒のようなものを「えい!」と言って、足で蹴飛ばして崩すと「持ってくる」と言って、自分のバッグを置いている方に嬉しそうに駆けて行った。
まどかが、駆けて行ったあと、まどかが砂で作っていたものを眺めていた僕は、山だと思っていたものは、もしかすると、女性の胸で、まどかが蹴飛ばして壊した棒のようなものは、男の一物だったのかもしれないと思ったりして密かに冷や汗を流した。
まどかが、バッグから取ってきた浮き輪は確かに大きかった。
僕は、その浮き輪を受け取ると、渾身の力を込めて、膨らませ始めた。しかし、大きすぎてなかなか膨らまななかった。
疲れてきた僕は「なんで、こんな大きな浮き輪なんだよ……」と文句を言った。
「だって、おっきくないと、溺れそうで怖いじゃん」と、まどかは、また頬を膨らませて拗ねた。
「貸して……そんな文句言うんだったら、まどか、自分で膨らませる」そう言うと、半分ほどに膨らんだ浮き輪を、僕の腕から取り、僕が咥えていた突起に自分の口を付け、拗ねた時と同じように頬を膨らませて、『ぷ~』と力を込めて空気を入れ始めた。
しかし、膨らむのは、まどかの頬の方ばかりで、一向に浮き輪は大きくならなかった。
その様子を見ていた僕は、笑いながら「そんなんじゃ、無理だよ……やっぱり、貸してみろ」と言って、まどかから浮き輪を取り戻すと、まどかの唾液を感じながら、再度僕が空気を入れた。
やっとのことで、浮き輪が『パンパン』に膨らむと、まどかは嬉しそうに「やったね! ありがとう」と言って、僕の頬に『チュッ!』とキスをしてくれた。
僕たちは、その浮き輪を持って、二人で手をつないで、海の中に駆け入った。
まどかは、浮き輪という強い武器を得て、楽しそうに海での泳ぎを楽しんだ。




