夏祭り
そんなことがあって、しばらくすると、夏休みが始まり、僕はおばさんに知られないよう注意して、まどかとのデートを重ねた。
8月に入ると、町の川祭りがあり、その夜には花火大会が開かれた。
僕たちは、出店の出ている河川敷に行き、二人のデートを楽しんだ。
二人で金魚すくいをしていると、後ろから「よっ!ケンジ」という声が聞こえた。
振り向くと、そこには、内田と内田に肩を抱かれた夏未が立っていた。
内田は、あの後、本当に夏未を岩田とかいう奴から紹介してもらって、なんと、真剣交際を始めていたのだ。
まどかが、一匹の金魚も掬えずに、ポイが破れたのを見た内田は、「まどか、そんなんではダメだ。俺が手本を見せてやる」と言うと、店主にお金を渡して「一個くれ」と言ってポイを受け取った。
内田は、言うだけのことはあって、『アッ!』という間に、大きな黒い出目金を含む、5匹の金魚をすくった。
「ガハハ……どうだ、俺様の実力は?」内田は、そう嬉しそうに笑うと「ほら」と言って、すくった金魚、全部をまどかに渡した。
「えっ!? 私にくれるの?夏未ちゃんは?」まどかは、内田の横にいる夏未に訊ねた。
「私は、そういうの、持って帰ると親が怒るからいらない」と言った。
まどかの金魚は、さっき、すくえなかったオマケでもらった一匹に加え、全部で六匹になった。
まどかは、嬉しそうに、内田に「ありがとう」と言うと、「後で半分、ケンジ君にもあげるね」と僕に耳打ちをした。
僕たちは、その後、しばらく内田たちと一緒に、出店巡りをした。
綿菓子やりんご飴を買い、みんなで、少しずつ回し食いをした。
「お前たち、とうとう付き合い始めたんだな?」と内田が、僕に聞いた。
始め、僕はそれを否定しようと「イヤ……」と言いかけた僕の言葉にまどかが割って入り、「うん」と嬉しそうに答えた。
僕は、内田に「お前たちも、付き合ってるの? いつから?」と聞いた。
内田は、その僕の質問に「おう、去年のあの駅でのあと、岩田に言って、夏未を紹介してもらったのよ。そしたら、俺が思ってたよりも、すごい美人でさ……
その時には、もうまどかとは仲良しになってるってことで、まどかのお礼は無しにして、俺のビッグマグナムだけぶち込んでやったのよ。そしたら、こいつ、もう、俺のビッグマグナムにメロメロでな……」
そう、卑猥な答えを笑いながらしてきた。
すかさず、「なにバカなこと言ってるのよ」と夏未が、内田の頭をはたいた。
「痛てえな~本当の事じゃんか」内田は、たたかれた後頭部をなでながら、そう言うと「ところで、お前らは、もうやったのか?」と、僕の耳元で聞いてきた。
しかし、その声は大きく、それを聞いたまどかは、途端に、恥ずかしそうにして頬を赤らめ下を向いた。
そのまどかの様子を見た内田は「ああぁ……永遠の処女、まどかちゃんも、とうとう、やられちゃったか?」と、上を向いて嘆いた。
その後も、「いつ?」「どこで?」「どんな感じだった?」といったような、卑猥な内田の質問が続いたが、ここでは、その話は割愛する。
その後、隣町の海に、美香と丸山君たちも誘って海水浴に行こうという約束をして、内田たちと別れた。




