セイジツさんが戻って
その日の午後、中村先生は、自分の授業をすべて自習にし、夏未の家に行った。
そこで、どのような話が行われたのかは、定かでないが、その日の放課後、校長室に呼ばれ、僕が校長や教頭からの調査を受けていた部屋に入って来て、中村先生は、こう言った。
「校長、その話は、もう解決しました」
「解決したって……?君……この、ヒカルって生徒は、君のクラスの『須藤夏未』さんを、殴って、下品な言葉で、侮辱したんだろ?」僕の取り調べをしていた教頭が驚いて訊ねた。
「それは、全部、夏未君の作り話でした。夏未君が、お父様とお母様が居られる前で、ちゃんとそう言って、私に謝ってくれました。明日には、学校にも来て、ケンジ君に謝ってくれると思います」
そこにいた皆が、あっけに取られていた。
校長らの取り調べから解放された僕は、中村先生と校長室を出た。
僕は、中村先生に訊ねた。「セイジツさん、さっきの話は、本当なんですか?」
「本当さ」中村先生は、嬉しそうな顔で答えた。
「一体どうやって?」僕の問いかけに、先生は、
「お前から教えてもらった話を、先生が『葛山工業』の先生に調べてもらった話として言ったんだ。そいつらを、警察にも訴えるとな……そんなことになったら、夏未のお父さんは大変なことになる。俺に対して『いい加減なことを言うな!』と恫喝したんだが、結局、最後は、夏未が泣きながら、白状したんだよ……『男子から、いつもチヤホヤされているあの子が憎かった』ってね」
「え~?セイジツさん、やるじゃん」僕は、ため口で先生をほめたたえた。
その僕の賞賛に「どうだ?……先生も、そう捨てたもんじゃないだろう?」と嬉しそうに答えた。
「ただ、明日、本当に夏未が学校に来て、お前たちに謝るかどうかだ……」
先生は、少し、不安そうに、そう言った。
まどかは、教室で、僕の帰りを心配しながら暗くなった教室で一人待っていた。
「どうだった?ケンちゃん……」
「うん、大したことはなかった……」
その僕の答えに、まどかは「ごめんね……ケンちゃんの言いつけ守らずに……私、いっつもケンちゃんに迷惑かけてばっかり……」
そう言って、まどかは、涙を流し、僕の胸に顔をうずめた。
僕は、その突然のまどかの行為に、思わずその身体を抱きしめようとした。
しかし、すぐにおばさんとの約束を思い出し、それをとどまった。
しかし、まどかの髪の甘い香り、柔らかな身体に僕の分身は即座に反応してしまっていた。
まどかの、大事な部分に、ズボンとスカートを介してアプローチしていたのだ。
まどかは、即座に、腰を後ろに引いた。
なんとなく、気まずい雰囲気が僕たちを包んだ。
まどかは、股間だけを固くし、一向に抱きしめる気配のない僕に諦めたのか、「ケンちゃんのエッチ……」と言って、僕から離れた。
おばさんの言いつけがなければ、思わずその場に、まどかを押し倒してしまっていた瞬間だった。
その後、まどかと、一緒に家に帰ったが、その途中で、まどかが「もし、ケンちゃんが、あの学校辞めることになったら、私も一緒に辞める」と言った。
それを聞いて、僕は今日、中村先生から聞いた話をした。
その僕の話を聞いた、まどかは、少し安心していた。




