女子たちの反省
丸山君たちの後ろから、宮本さんも泣きながら、僕たちのところに来た。「まどかちゃん、ごめんなさい。私、意気地がないから、まどかちゃんをかばってあげることもできずに……本当に、ごめんなさい……」そう言って、まどかに、謝った。
それを、聞いた、他の女子たちも、まどかのところに次々とやって来て、泣きながら、まどかに謝罪した。夏未の今や一番の腰ぎんちゃくとなっていた高木までもが「まどか、ゴメン……わたし……」と言って、泣きながら頭を下げた。
そんな、女子たちの言葉に、まどかも泣きながら「いいよ、みんな、私、大丈夫だから……前のように、仲良くしてくれたら……」と言って、みんなと抱き合った。
そんな様子を見て、空気の読めないお調子者の佐々木が、「俺も」と言って、まどかに抱きしめられようと女子たちの輪に入り、女子に突き飛ばされていた。
みんなの、泣き顔が、笑いに変わった。
僕たちのクラスから、いじめという、最も下品で最低の行為が無くなった瞬間だった。
そんなところに、『朝の会』をしに、中村先生が入って来た。
みんなが、慌てて、自分の席に着いた。
「なんだ、みんな、やけに楽しそうじゃないか?何か、いいことでもあったのか?」
そう、先生が訊ねると、丸山君が即座に「セイジツさん、僕ら、みんな、仲直りした……クラスみんなが、一つになった!」と、嬉しそうに答えた。
その丸山君の答えを聞いて、中村先生は、「えっ!それは、本当か……?」と、驚いて、再度、僕たちに訊ねた。
今度は、「ほんとうで~す」と、女子たち全員が、大きな声で答えた。
それを聞いた中村先生は、「お~、それは、よかった、本当によかった」と涙ぐんでいた。
そんな中村先生の様子を見て、またもや皆が「うぉー」と言って、手をたたいた。
隣のクラスの先生が、何事かと廊下に出てきたが、中村先生がいるのを見ると、何も言わず、また、自分のクラスに入った。
「でも、どうやって……?」しばらくして冷静になった先生は、そんな当然の疑問を、僕たちにぶつけて来た。
それには、みんな、何も答えず、黙ってしまった。
そんな、みんなの様子に、今度は、僕が答えた。
「まどかが、須藤さんに直談判をし、須藤さんも自分の非を認めたんです」
その時、夏未は、決して、自分の非を認めたわけではなかったが、僕は、そう言った。
自分の名前を出されたまどかが、僕の方を見た。
「まどかが直談判?……ところで、その肝心の夏未は?」先生が、夏未のいないことに気付き、そう言った。
みんな、その質問にも、黙っていた。
先生のその質問にも、僕が「須藤さんは、僕とケンカして、家に帰りました」と、まったく悪びれることなく答えた。
その答えに、先生は驚き「帰った?ケンジとケンカして……?お前、何言っているのか、先生にはまったく分からん。先生に分かるように、ちゃんと、詳しく教えてくれ」と僕に言った。
その、先生とのやり取りに、丸山君が割って入った。
「先生、ケンジは、悪くないんです。ケンジは、まどかさんをかばったんです」
その声に、女子たちも「そうなんです。ケンジ君とまどかさんは、悪くないんです。悪いのは、須藤さんの方なんです……」と、僕たちを擁護してくれた。
「いや、いや、ますます分からん……ケンジ、昼休みに、先生のところに来て、ちゃんと説明してくれ。それまでに、先生も、夏未のところに電話をして、彼女からも事情を聞いておくから」中村先生の、先ほどまでの感涙の涙は収まり、逆に、頭を振って、困った表情になっていた。




