待ち伏せ
放課後、先生が僕のところにやって来たが、僕は「もういいです」と言って、まどかの手を引っ張って逃げるように学校を出た。
まどかは、そんな僕の様子に「どうしたの?ケンちゃん」と聞いてきた。
僕は、「何でもない。大人はみんなクソや……」とだけ答えて、それ以上の詳しいことは言わなかった。
その時、まどかが朝よりも少し元気になっているのに気付き、「どうしたん?ちょっと気持ちましになった?」と聞いた。
まどかは、少し迷いながら「うん、学校来て、美香ちゃんたちと話したら、少し、心が軽くなった」と笑いながら言った。
そうやって、二人で話しながら帰っていると、汽車通学の斎藤君が僕のところに来て、「ケンジ君、『クズ工』のガラの悪い奴らに、君を『駅まで、呼んで来い』って言われたんだ。危ないから、駅の方にはいかない方がいいよ」と言ってきた。
「僕、君が見つからなかったことにするから……」
その話を聞いて、僕は『昨日の奴らだ』と思った。まどかが、不安そうな目で僕を見た。
僕は、『今日行かなくても、あいつらが、諦める訳ない』と思った。そして、『今日行かなければ、この先、まどかもずっと狙われるかもしれない』そんな思いで、斎藤君やまどかが止めるのも聞かず、まどかを斎藤君に託し、一人で駅に向かった。
もちろん、一人であいつらに敵うなどとは思ってもいなかった。ただ、僕が、あいつらにボコボコにされれば、傷害事件となり、警察が介入して、すべてが明らかになるだろうという思いもあった。
僕が、駅に着くと、やはり昨日の5人組だった。
「おう、よう来たな。ちょっと、昨日の続きをしようや」昨日、僕の前でガンを飛ばしていた奴が言った。
「ここは、人目が多いけん、ちょっと裏来い」
僕は、そいつらとともに、駅舎の裏に行った。その時、僕を心配したまどかも斎藤君と来ていた。「なんで来たんだ!」僕は、まどかを叱った。




