事件
その、中村先生との話を終え、僕は丸山君と今日の夏未の変化のことについて話しながら帰っていた。
「いやー、ほんと一時はどうなるかと心配してたけど……夏未が変わってくれて、ほんとよかったわ……」
「本当に須藤さん、変わったのかな?」
「えっ?どういうこと?」
「いや……本当に須藤さんのまどかに対する気持ちが変わって、このまま仲良くなってくれるんだったらいいんだけど……その後の、まどかへの態度は、依然と同じく、まったくの無視だったじゃん」僕は、自分の心にある違和感を丸山君に言った。
「うん、まーそりゃそうだけど……夏未も急には照れくさいんじゃない?夏未も結構プライド高いから……これから、徐々に変わっていくよ」そう丸山君は、楽観論を述べた。
「それならいいんだけど……」僕は、どうも腑に落ちず、それからはしばらく無言になった。
そこに、まどかと一緒に帰っているはずの美香が、慌てて、僕たちのところに走って来た。
「タイヘン、タイヘン……まどかちゃんが、『クズ工』の男子らに連れて行かれた!!!」
『クズ工』とは『葛山工業高校』のことで、隣町にある工業系の高校だった。
生徒のガラが悪く、僕らは『クズ工』と呼んで、恐れていた。
その『クズ工』の奴らにまどかが連れ去られたと、美香は僕たちを呼びに来たのだった。
「どこだ?どこに連れて行かれた?」僕は、慌てて美香に訊ねた。
「河原、その先の堤防の向こうの……」美香は、息を切らしながら、その方向を指さした。
僕と丸山君は、その美香が指さす方向に向かって急いで駆け出した。
「私、もっと皆を呼んでくる」美香は、そう言って、学校の方へ走って行った。
僕たちが、河原に行くと、堤防の陰に5人の男子生徒に囲まれた、まどかがいた。
「ねぇねぇ、まどかちゃん、俺たちにもオッパイ見せてよ」
そう言ってからかう5人の輪の中で、まどかは、鞄を両手で前に持ち、顔を下に向けて震えていた。
「まどかちゃんは、何色のパンティー履いてるのかな?」
まどかの後ろにいた男がそう言って、まどかの制服のスカートの裾を、上にはね上げた。
裾が跳ね上がった瞬間、後ろにいた奴らが中を覗き込み「おー清純派の白だ~」と大声を出して笑った。
まどかは、たまらず、スカートを尻と足の間に挟む格好で、その場にしゃがみこんだ。
それを見た、前にいた男が「あれ?しゃぶってくれるの?出そうか?……まどかちゃん、気が早いんだから~」と卑猥な言葉で、まどかをからかった。
それを聞いた他の男たちは、「俺2番」「俺3番」……と言って、はしゃいでいた。




