おばさんの誘惑
「うわ……すごい……すごい……」おばさんは、若い娘のように『キャッ!キャッ!』言いながら、僕のズボンの股間周りを丁寧に拭き続けた。
そうして、下を向いたまま「ねぇ、ケンジ君、中学で好きな女子はいるの……?」と聞いてきた。
「そんな女子はいません」僕がそう答えると「うそ……ケンジ君、かわいいから、女の子にもてるでしょ?」と笑った。
そして続けて「ケンジ君さ……小学校の時、おばさんのスカートの中、覗いたでしょ……?」
と言った。
僕は、あまりの唐突な、そのおばさんの質問に動揺した。とっさに「覗いてません」と答えた。
「うそ……おばさん知ってるんだから……おばさんが図書室でアンケートの答え書いてる時に、みんなで掃除する振りしながら、私のスカートの中、覗いてたの……」
『こいつ、俺たちが覗いてるの知ってて、わざと見せていたのか……?』僕の心の中に、怒りが込み上げてきた。
僕が、答えに躊躇して黙っていると、さらにこんな問いかけをしてきた。
「その時のおばさんのお尻って、どんなだった……?」
僕は、正直に答えるべきか、このまましらばっくれるべきなのか迷いながらも、つい正直に「きれいでした」と答えてしまった。
その答えを聞いたおばさんは、ズボンを拭くのをやめ、上半身を起こして「やっぱり、覗いてたんだ……」と笑った。
そのいたずらっ子のような笑い顔の可愛らしさ、ずっと秘密にしていたことを知られてしまった気恥ずかしさ、知ってて覗かしていたことに対する怒り、すべての思いが入り交じり、僕は思わずおばさんの身体を抱きしめキスをしようとした。
そうしないと、この一件は収まりがつかないように思えた。
先ほどまで笑っていたおばさんは、急なその僕の行為に驚き、慌てて僕の身体を押しながら「ダメ!ダメ!、ケンジ君……ダメよ、おばさんがふざけて悪かったから……お願い……離して……」先ほどの僕を誘うような感じとは逆に、抵抗を始めた。
僕は、その予想外の反応に戸惑いながら、ここでやめたら、逆に何を言われるか分からないと思い、顔を横に振り続けるおばさんの口に自分の唇を重ねようと何度も何度も、頬や鼻や顎にキスをした。
「ダメだって……謝るから……ゴメンナサイ……」おばさんは、涙目でそう僕に訴え、キスされまいと必死に顔を左右に振り続けた。
僕は、おばさんの抵抗を抑えるため、口からの出まかせを言った。
「おばさんのことがずっと前から好きでした……」
その言葉を聞いて、おばさんは少し驚いた表情を見せ、そして静かになった。
僕は、ここぞとばかりに動かなくなったおばさんの唇に自分の唇を重ねた。
おばさんは、そっと目を閉じた。