立て続けの告白
内田が、事実上まどかに振られた後、今度は、木村君がまどかに告白すると言い出した。
僕が「そんな立て続けに告白なんかしたら、まどかが怒るよ」と言うと、「俺は、内田と違って、伊藤のこと本気で愛してるんだから、怒るわけないだろ?」と反論した。
しかし、こいつの下心も見え見えだった。
僕の制止も聞かず、あろうことか、内田が振られた翌日に、まどかを同じ屋上に呼び出し、告白をした。
木村君の告白が終わり、まどかが階段を降りる時、二人の様子を見るため階段に身を潜めていた僕たちを見つけると、昨日よりも一層鋭い目で僕をにらんだ。
木村君の結果も、皆が想像したとおりであった。
内田と同じように、オール5の条件と陸上の県大会の短距離走で優勝することだった。
木村君は、陸上部に所属はしていたが、僕よりも足は遅く、そもそも、大会に出ることさえも無理であった。
それを聞いた山田君が「次は俺が行く」と言った。まどかと、付き合う付き合わないよりも、すでに、まどかを落とすこと自体が、こいつらの手柄取りの勝負のようになっていた。
僕は、再度、山田君にもやめるように忠告した。
ただ、山田君は頭がよく、たくさんの塾通いもしていたので、もしかすると『オール5』と言うのは、内田や木村君よりも可能性は高かった。僕たちの興味は、あと一つの条件が何になるかだった。
しかし、まどかが、山田君の告白に返した言葉は、シンプルに「ごめんなさい……」だった。
またしても、まどかは、僕たちの前を通り過ぎる時、無言で僕をにらんだ。
それは、まるで鬼の形相だった。
結局、誰が行っても、まどかは落ちないと、皆があきらめかけた時、山田君が言った。
「次はケンジが行けよ」
それを聞いた、内田が「おう、それはいいかもしれんな。もともと、ケンジはまどかと幼馴染で仲がいいから。そうだ、次は、ケンジ、お前が行け……」
僕は、もしかすると、おばさんとの約束がなければ、調子に乗って、その話に乗ったかもしれないが、そこは、おばさんとの関係を今後も維持するため、『グッ』と自分の本心を押し殺し、「絶対に嫌だ」と皆の挑発を拒否した。
「なんだよ……つまんねー奴だな……」内田が言った。
僕は、皆に何と言われようとも、まどかに告白などできるはずはなかった。




