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僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅱ章 まどか
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屋上の二人


僕の部活が終わり、帰り支度をしていると、山田君が僕を呼びに来た。


「ケンジ、ケンジ、今、内田がまどかに告白するって、屋上に行っとる」そう教えてくれた。


僕は急いで、山田君と校舎の屋上へ急いだ。


『まさか、まどかが、あんな内田の告白など受け入れるはずもない』と思いながら、それでも、やはり不安だった。


まどかは、僕と二人だけでいる時とは違い、学校のみんなの前では、病院の時のように自分のことを主張せず静かに黙っているから、強引な内田の告白に黙って頷いてしまうのではないかと……


そんな不安を持ちながら、屋上に続く階段を駆けのぼると、もう、そこには、4、5人の男子が身をひそめ、屋上の様子を見ていた。


僕と山田君も、そいつらと一緒に屋上の様子が見える階段の最上段に身をひそめた。


屋上には、すでに内田と、まどかがいた。


僕たちが、身をひそめたところからは遠すぎて、二人がどんなことを話しているのかは聞き取れなかった。


なんか、内田が一方的にしゃべり、まどかは黙って下を向いているようだった。


『まどか、頑張れ……そんなドスケベの言いなりなんかになるんじゃない……』僕は、心の中でそう叫びながら、何とか内田が振られることを祈った。



「内田、何話してるんかな?」一人が言った。

「さあ、あいつのことだからエロい話でもしてるんじゃない?」もう一人がふざけて言った。

「『僕、あなたとやりたいんです』って?」その言葉に、そこにいた全員が声を殺して大笑いした。



そんな冗談にも、僕は皆と一緒になって笑うことができず、『もしかして、まどかが内田の告白を受け入れてしまうのではないか?』という不安に気が気ではなかった。



『そういえば、内田も、そんなにブ男ではなく、身長も高いので、見ようによっては男前と言えなくもない。それよりなにより、話術が巧みで、話が面白い……人によっては、俺なんかより、男としての魅力は上かもしれない……』僕は、不安で、不安で、どうしようもなくなっていた。


そんな不安を持ちながら、じっと、二人の様子を見ていると、ずっと顔を下に向けていたまどかが内田の方に顔を上げ、何かしゃべり始めた。


僕は、それが断りの言葉であることを祈った。


その後、まどかは、一人でこちらに向かって歩いてきた。僕たちは、慌てて階段を駆け下り、自分たちの教室のある廊下にたむろした。


その前を、屋上から下りて来たまどかが通り過ぎた。まどかは、僕たちの前を通り過ぎる時、僕の方に目を向け、『キッ』とした強いまなざしで僕をにらんだ。



その後、下を向いてうなだれた内田も下りて来た。その様子に、みんな、内田の告白が失敗したと大笑いした。僕も『ホッ!』とした。



「どうだった、内田?」内田と一番の仲良しの木村君がふざけて訊ねた。


内田は、黙っていた。



「見事に、振られたんだろ?」木村君は面白そうに続けて言った。


その言葉に、内田は「イヤ」っと言って頭を横に振った。


みんなと一緒になって笑っていた僕は、その言葉に、一瞬、笑うのをやめ固まった。

みんなも同様だった。


「『イヤ』ってお前、まさか、まどかが『付き合う』って言ったんか?」木村君が真剣な顔になり問い直した。


「イヤ」その言葉にも、内田は頭を横に振った。


「両方とも『イヤ』って……まどかは、お前と付き合うんか?付き合わんのか?」木村君が苛立って、内田を問い詰めた。



「付き合う条件を出された」


「付き合う条件?」


「条件をクリアしたら俺と付き合ってくれるって……だから、百パーダメなわけじゃない」


内田は、静かにそう言った。


それを聞いて、みんなも静かに「おぉ……」と言った。



「で……その、付き合う条件て?」木村君が質問した。


内田は、しばらく黙っていたが、おもむろにその口を開いた。


僕たちは、息をのんだ。


「まず一つ目は、俺がエロいから、そのエロいのを直すこと。二つ目は、2学期の成績がオール5になること」



その話を聞いて、僕たちの緊張は一気に外れた。


「ぶはははは……」緊張の糸の切れた僕たちは腹を抱えて大笑いした。


「そんなの、振られたと同然じゃん」今まで質問していた木村君までもが、笑いで声を詰まらせながら言った。



仮に、内田がエロくなくなったように振舞えたとしても(まーそれも無理だが)、その時の内田の成績は2~3がほとんどで、1も何個かあり、5が付いているのは唯一体育だけという状況だったので、誰が考えても無理な条件であった。


まどかも、そう考えて、そんな条件を出したのだろう。



「そんなことない。俺は振られたわけじゃない……」内田は言い張った。


「今日家に帰ったら、家にあるエロ本全部捨てるし、家で10時間以上は勉強する。だから、まどかと付き合える可能性が百パーない訳じゃない」内田はそう言って食い下がった。


それを聞いた木村君が「百パーない。そんなこと言ってないで、照準、次の女子おんなに変えたら?」と言った。


その言葉に内田は、早速「誰か、そんないい女子おんなおるか?」と木村君に訪ねた。



「3組の吉川なんかどうだ?顔はいまいちだけど、乳デカいし、軽そうだし……」そんな話を木村君にされ、内田は、先ほどの決意を早くも撤回し、その話に喰らいついていた。



『こいつから、エロさを取るのは、オール5取らせるよりも難しいかも……?』僕は、そんな様子を『ホッ!』として眺めていた。


そして、改めてまどかの機転の良さに感服した。


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