おばさんの追及
おばさんは、自分の初体験の話をした後、しばらく、何も話さず、じっと天井を見つめていた。
眠ったのかと思い、僕がおばさんの方を向くと「私は、初めての男性のこと話したわよ。次はケンジ君の番。ケンジ君の初めての女性は誰なの?」そう言って、この前の話を蒸し返してきた。
「だから、おばさんが初めてですって……」僕は、やはり、しらを切った。
「嘘おっしゃい。初めてで、あんな上手な男子、いる訳ないでしょ」
おばさんは、僕の返答をまったく信用していなかった。
「学校の子?」
おばさんは、僕の方をチラッと見た。おばさんの誘導尋問が始まったのだ。
僕は、何も答えず上を向いていた。
「先輩?」
それにも、答えなかった。
「じゃあ大人の女性」
僕は、『ドキッ!』として、おばさんと反対の方に顔を向けた。
おばさんは突然笑い出し「あはは……やっぱりかー」と言った。
「ケンジ君て、正直だから、すぐ顔に出ちゃう」
「おばさんね、あの後ずっと考えてたんだ。ケンジ君の初めての女性。あれだけ上手なんだから同級生ではないだろうな……?って。大人の女性に教えてもらったんだろうって……」
「でね……たどり着いたの。あの人だろうな~って」
僕は、再度『ドキッ!』として、おばさんの方を向いた。
「ほーら……やっぱり、私が初めてじゃない」
僕は、再び顔を反対側に向けた。
『またしてもおばさんにやられた……』僕は、おばさんのいる方と反対側を向いたまま『ドキドキ』していた。
「リョウちゃんところのお母さんでしょ?」
おもむろにおばさんは言った。僕は改めておばさんのカンの鋭さに驚愕した。
それでも、冷静さを装い「違います」と答えた。声が上ずっていた。
「いいの、いいの、誰にも言わないから」おばさんは、勝ち誇ったように笑いながらそう言った。
「和子さん、いつもケンジ君のこと褒めてたもん……あの人なら、私が男の子だったとしても、やっぱりケンジ君のように言い寄ったと思うな……美人だし、優しいもんね」
おばさんは、完全にリョウちゃんのお母さんを僕の初めての女性と断定した。
「言い寄ったんじゃないです」僕は、思わずおばさんの言葉を否定した。
おばさんは、その僕の言葉を聞いて、初め驚いた顔をしたが、その後、すぐに笑いだし「やっぱり和子さんだったんだ……」と言った。
僕は、完全におばさんの術中にはまっていた。
「でも、あの、お堅い和子さんが、ケンジ君みたいな子供に手を出すなんて信じられないんだけどな……何があったの?」おばさんの興味は次に移った。
それだけは、リョウちゃんのお母さんの名誉のためにも、口が裂けても言えないと思い「だから、リョウちゃんのお母さんは関係ないです」とばれてしまった話を再度否定した。
「ケンジ君、それは、もういいの。私が聞いてるのは、どうして和子さんと関係を持つことになったのか?ってこと」
僕が、横を向いて黙っていると、「いいわ、答えたくなかったら……じゃあ、いつから?
和子さん、春に引っ越したから、当然、その前でしょ?」
僕は、この人を騙しとおすことはできないと思い、後ろを向いたまま『コクリ』と頷いた。
それを見て、おばさんは「素直でよろしい」と僕の頭をなでた。
「じゃあ、ケンジ君の初体験は中1のときなんだ…… 早っや~」
おばさんは、勝手に、僕の初体験の時期を決めてしまった。
なんとなく、それが嫌で、僕は正直に「小6」と答えてしまった。
「えっ!?」「ケンジ君……それって本当?……」
僕は、再度、後ろを向いたまま『コクリ』と頷いた。
「和子さんも、やるなー……」おばさんは、妙に感心していた。




