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僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅷ章 落
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中途半端な別れ


僕は、その後、まどかを追いかけることもできず、バスを乗り継いで、自分のアパートに戻った。


結局、こんな状況で、おばさんにも、「さようなら」と伝えることができなかった。



部屋に戻ると、部屋は今朝がた慌ててこの部屋を出て行った時のままの色々なものが散乱した状態だった。

僕は、隠していた、まどかとのスナップ写真や歯ブラシ、ヘアバンドなどを元あったところに戻した。


『まどかが、もうこの部屋に戻ってくることはないのだろう』と思うと、その行為自体が、空しく悲しかった。


自分の愚かさに、涙がとめどなく流れた。



僕はその中の、フォトフレームを抱きしめ、そのままベッドに倒れ込んで眠った。

目が覚めると、深夜の12時を過ぎていた。

その間、夢もいくつか見たような気はするが、何一つ覚えていない。



次の日、まどかもおばさんもやはり、僕のアパートを訪ねてくることはなかった。


夕方まで待ったが、結局諦めて、僕も実家への帰り支度を整えると、国鉄の駅に向かうバスに乗った。



正月も終わり、僕は、実家にとどまるのもつらく、1月2日の午前中にアパートへ戻った。


両親は、「もっとゆっくりしたらええのに……」と残念そうだったが、僕は「大学のゼミがあるから」と嘘を言って帰った。

もしかすると、まどかが、部屋にある自分の荷物を取りに来るかもしれないという、淡い期待もあった。



冬休みが終わっても、まどかは、僕のアパートへ来ることはなかった。

まどかと別れたんだという気持ちが、ようやく実感として僕の胸を締め付けた。


僕は、まどかの私物を勝手に処分する訳にもいかず、また、まどかとの関係を中途半端なまま終わらせたくないという気持ちもあって、まどかの大学にまどかを探しに行くことにした。

当然、まどかの寮に何度か電話をしたが、まどかは、本当にいないのか、居留守なのかは分からなかったが、僕の電話に出ることはなかった。

(まどかの寮には、ピンクの電話が1台廊下に置いてあり、鳴っているのに気付いた者が寮の住人を呼び出すことになっていた。当時は、自分専用の電話を自分の部屋に引くには、高額の電話債券を買わなければならないということで、学生で自分専用の電話を持っている者は少なく、友人に連絡をとるにも、携帯電話に慣れ親しんだ今の時代から考えれば、大変な時代であった。)



僕は、午後の授業が1単元しかない水曜日に、友達に『代返』を頼んで、まどかの大学に行った。


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