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僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅶ章 転
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初めての合コン


その日は、土曜日で、まどかは、「夕方からコンパがあるからケンジ君 行くのが遅くなる」と言っていた。


深夜の12時頃、『まどか、遅いな~』と、少し苛立ちながら一人でヘッドホンをしてレコードを聞いていると、車がアパートの駐車場に停まる音がして、その後『ガチャガチャ』とドアの鍵が開いた。


まどかだった。


まどかは、酔っていた。そして、泣いていた。



僕は、そのまどかの様子を見て、先ほどまでの苛立ちは忘れ、「どしたん?」と聞いた。


最初、まどかは泣くだけで、何も言わなかった。


「なんで泣いとるん?なんも言わんかったら、分からんやんか」僕は、まどかの肩をゆすって、怒った。



まどかは、流れる涙を自分の服の袖で拭くと、少しずつ泣いている理由をしゃべり始めた。


「今日、サークルの先輩に誘われて、合同コンパだったの……」

『サークルのコンパ』と聞いていた僕は、それが『合コン』だったと、その時初めて聞き、少し驚いた。


それからのまどかが話した内容は、こんな感じだった。



---------------

合コンのメンバーは、女性は、まどかとまどかを誘った先輩、そしてその先輩の友達2人の4人で、相手は、僕の大学の3回生4人だった。


コンパは結構盛り上がり、まどかも、慣れない酒を、『イッキ!イッキ!』の掛け声で、何杯も飲まされた。


そのうち、まどかは、酔いが回り、意識がもうろうとしてきて、気分も悪くなり、トイレに行ってリバースした。

その時、よろよろと歩くまどかを心配した(ふりをした)男の一人が、まどかに肩を貸し、トイレまで、連れて行ってくれた。


まどかは、その男に「ありがとうございます」と言って、トイレに入ると、胃の中にある酒と食べ物をトイレに戻し、しばらくトイレに腰を掛けて気分が戻るのを待った。


少し気分がよくなったので、個室を出て、洗面台で手を洗い、口をゆすいで外に出ると、その男は、トイレの出口で、まどかの出てくるのを待っていた。


そうして、「どんな?」とまどかに具合を聞いてきた。


まどかが、「もう、大丈夫です。ありがとうございました」と頭を下げると、その男は、トイレに来た時と同じように、まどかに自分の肩を貸してまどかの肩に腕を回し、席に戻ろうとした。


まどかが「もう大丈夫です」とその男の行為を遠慮しようとしたが、男は「いいから、いいから」と言って、さらに肩を抱く手に力を入れて、自分の方にまどかを引き寄せた。


少し危険を感じたまどかが「大丈夫ですから……」と言って、その男から離れようとした瞬間、その男は、まどかを通路の壁に押し付け、そして無理やりキスをした。


驚いたまどかは、「放してください!」と言って、その男の身体を押しのけ一人で席に戻った。


ショックで泣き出したかったが、みんなの手前、黙って、そのまま席に座り、それから以降は、何もしゃべらず、『オヒヤ』だけを飲んで、コンパの終わるのをひたすら待った。


トイレから戻った、その男はその後も何事もなかったように、みんなとふざけながら、酒を飲んでいた。


やがて、コンパもお開きになり、それぞれ、そこで仲良くなった男女がカップルになって店を出た。


まどかは、店を出たらすぐに帰りたかったが、先輩と一緒にいた男が、「もう一軒行こう~」と大声で言い、みんなもそれに賛成して、次の店に向けての移動が始まった。


まどかは「私、帰ります」と言ったものの、先輩に「そんなこと言ったら、みんなしらけるから……気分が悪かったら、ジュース飲んでたらいいから、行こうよ」と誘われ、仕方なく皆について行くことにした。


次の店への道中、一人で一番後ろを歩いていたまどかのところに、その男は駆け寄って来て「どう?楽になった?」と聞いた。


まだかが、「ええ……少しは……」と最小限の返事をすると、その男は、まどかの肩に腕を回してきた。


まどかが、それを嫌がると、細い路地にまどかを連れ込み、もう一度まどかにキスをした。

しかし、今度は、先ほどとは違い、まどかの口の中に無理やり舌を入れようとしてきた。

まどかが、唇をしっかりと閉じ、顔を左右に振って、その行為に抵抗すると、今度は、服の上から、まどかの胸を掴んだ。


まどかは、驚いて男を力いっぱい突き放すと、急いでタクシーを拾い僕のアパートに逃げて来た。

---------------



その話を聞いた僕は、まどかをなぐさめることも、その男の行為にいかることもせず、ただ単に「お前が、合コンなんかに行くのが悪い!」と、まどかの軽率さだけを責めた。



まどかへの最大の裏切り行為をしていた、しかも、まどかには『友達との飲み会』と偽って、合コンにもしばしば行っていた最大の軽率者の僕が言えた話ではなかった。



しかし、そんな僕の自分を顧みない叱責にも、まどかは素直に「ごめんなさい。もう、合コンには行きません」と泣きながら、僕に謝罪した。


その後、泣くまどかを慰めるふりをしながら、いつものようにまどかと繫がったのは言うまでもない。


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