表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅶ章 転
114/146

まどかの家の危機


家でみんなで朝食を食べていると、ウチの姉が朝刊を持って来た。


「ちょっと、マルアイ銀行の大川支店で横領があったんだって。『黒田素子』っていう行員が3億円横領したんだって。これって、まどかちゃんとこのお父さんが勤めてる銀行でしょ?」そう言って、僕たちにその記事を見せた。


その記事は、大きく一面に載っていた。


僕は、その時『まどかのお父さんの銀行』と聞いても、特になんとも感じなかった。

単なる、世間一般によくある事件の一つだと思っていた。


唯一、母だけが、その姉の持って来た記事に関心を示し「伊藤さんところも大変ね」と言っていた。



その日、まどかが、新しい僕の家に、『数学を教えて欲しい』と、教科書を持って現れた。


母は、朝の記事のことには触れず、まどかを家にあげた。


まどかを部屋に入れた僕は「お前のお父さんの銀行で横領事件があったんだって?」と、世間話程度で訊ねた。


するとまどかは、急に沈んだ顔になり「そうなの、そのことで、今、ウチは大変。昨日からパパがウチに帰って来てるんだけど、ずーっとママとパパの言い争いで……時折、パパが怒鳴り散らしたり、ママが叫んで涙流したり……私、そんな家にいると落ち着いて勉強できないから、それで逃げて来たの……決して、君とエッチするためじゃないのよ……」そう言って、暗い話を、冗談を交えて話した。



「ママとパパ、今回のことで、もしかすると離婚するかもしれない……」今度は、深刻な顔でそう僕に言った。


「離婚……? いったいどうして?」


僕が訊ねると、まどかは少し言いにくそうにこう説明した。


「あの、横領した黒田って人、どうも、パパの愛人だったみたいなの……パパがこっちの銀行にいた時には、しょっちゅういろんなとこ、二人で出張に行ってたみたいで……そのことが、今回のことで、銀行にもママにもバレて……その当時は、パパがそのひとの上司だったんで、今、警察と銀行で調べられてるみたい。そのことを、ママは『恥ずかしい』と言って怒って……パパは、『自分はまったく横領には関与していない』って言ってるみたいなんだけど……横領したひとが、元愛人じゃーねー ママが怒るのも無理ないのよ……」

「私だったら、絶対に許さない! 今回のことで、パパのこと大嫌いになった」

「男の人って、そんなに浮気したいものなの?」


その最後の、まどかの言葉で、僕は『ドキッ!』として、まどかの顔を、まともに見れなくなった。



そんな僕の様子に気付いたまどかは「どうしたの?ケンジ君」と言って、僕の顔を覗き込んだ。


「あっ……いや……まー……まどか、タイヘンだなーと思って……」


「そうなんだよ、分かってくれる?」とまどかが言ったところに、母がノックをしてお菓子とジュースを持って来てくれた。


「おばさん、どうもすみません」まどかが、恐縮していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ