手紙の中身
手紙を開けると、一通の可愛い柄の便せんが入っていた。
『ありがとう
-まどか-』
そう、一言だけ書かれていた。
それよりも、僕の興味を引いたのは、その手紙と一緒に入っていた物だった。
「なんだよ これ?」
それは、聞くまでもなく『コンドーム』だった。
「ある人から、譲ってもらったの……」
まどかは、いたずらっぽく笑った。
「あっ! 誤解しないでね、女の子だから……」まどかは、慌てて自分の言葉を補足した。
僕は、おそらく夏未にもらったのだろうと思った。
その時点でも、意地を張った振りをすべきか、素直になるべきか、僕は迷っていた。
「これ、使っていいのか?」迷いながら、少し強い口調でまどかに訊ねた。
「いいよ……ケンジ君、まどかの我がまま聞いて、よく我慢してくれたもん」
我慢などしていなかった僕は、そのまどかの言葉を聞いて、大そう気恥ずかしかった。
「ただし、他の女子に使っちゃダメだよ」まどかは、そう言って笑った。
もう、ここで、僕の意地張りは終了した。
横にいる、まどかの頭を抱き寄せ、何度もなでた。
「じゃあ、この『ありがとう』は?」手紙に書かれた言葉の意味を訊ねた。
「まどかの、我がままを聞いて、おとなしくしていてくれたことに対して……本当は、まどか、とっても、不安だったんだよ……ケンジ君が、誰か他の女子と付き合い始めちゃうんじゃないかと思って……だって、ケンジ君、女子に優しいし……エッチだし……」
その間、ちっともおとなしくしていなかったエッチな僕は、そのまどかの言葉に、大きな引け目を感じながら、かろうじて「それなら、なんで、あんなに俺のこと無視したんだよ?」と聞いた。
「だって、あれくらいしないと、ケンジ君、まどかとの約束、守れそうになかったじゃん……まどか、嘘つく人と、約束破る人って、一番嫌いだもん」そう言って、まどかは笑った。
嘘つくも何も……約束破るも何も…… 最大のまどかへの裏切り行為を続けている僕は、まどかと目を合わすことができず、思わず下を向いた。




