一人ぼっちの登校
次の日、僕は前日のことを、まどかにきちんと謝ろうと、いつもより早く家を出て、『待たなくてもいい』と言われた、坂の下のいつもの待ち合わせ場所で、まどかが来るのを待った。
しばらくすると、坂を下りてくるまどかの姿が見えた。
途中で、僕がいるのに気付いたまどかは、こちらには来ず、坂の下の細い道を曲がって、遠回りの道を選んだ。
僕は、慌てて、まどかの後を追った。
やっとのことで、まどかに追いつき「待てよ」と言って、まどかの肩を掴んだ。
まどかは、そんな僕の手を「触らないでよ!」と言って、肩を振って落とした。
「待って、まどか……きちんと謝るから……」僕は、走ったために息の上がった声で言った。
「何を謝るの? ケンジ君は自分のしたいようにしただけでしょ? まどかの気持なんかより、まどかとすることの方が大事なんでしょ……?」
「……」僕は、返す言葉が見つからなかった。
「謝ってなんか、欲しくありませ~ん!」まどかは、そう言うと、走って僕から遠ざかった。
僕は、その時初めてまどかの怒りが相当のものであることに気付いた。そして、まどかを追いかける気力も失くしていた。
その後、僕は一人で学校へ行った。後ろから、丸山君と美香が「あれ、今日はまどか休み?」と、僕に声をかけて来た。
僕は、頭を横に振り、「今日から、お互いで登下校することにしたんだ」と答えた。
それを聞いた美香が「どうしたの?ケンカでもしたの?」と、女の感の鋭さを披露した。
「君って、ヘンタイみたいなことばっかりするから、まどかを怒らすんだよ……大事にしてあげなさいよ。 まどか、可愛いんだから、怒らせてばっかりいると、そのうち、他の男子にまどか取られちゃうよ。 ケンジ君が振られるの、首をなが~くして待ってる男子は、いっぱいいるんだから……」これまた、勘の鋭い女の貴重な忠告であった。
「あはは……」僕は、適当に笑って、その場をごまかすしかなかった。




