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僕の性日記Ⅱ  作者: 水野 流
Ⅵ章 祭の後
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おばさんとの再開


僕は、しばらく後悔で、その場を動けなかった。


『まどかに対して申し訳ないことをしてしまった』初めは、そういう当然の思いだった。



しかし、時間がたつにつれ、『あいつは、俺の女なのに、それを今さらもったいぶって拒否するからいけないんだ!』という、実に身勝手な責任転嫁によって、自分を正当化しようとしていた。


そうして、その身勝手な責任転嫁は、最終的にまどかの母親にまでおよび『そもそも、まどかが俺との関係を拒否するきっかけを作った、その母親が悪い!』そんな、理不尽な思いが僕の頭の中を支配した。



僕は、横に落ちている弁当箱を拾い上げると、それを返しに行くのを理由に、まどかの家に向かった。


呼び鈴を押して、『もし、まどかが出てきたら、まどかに素直に謝ろう……』、まどかではなく『もし、おばさんが出てきたら、関係を再開するようお願いしよう……』そんな、二分の一の賭けのようなことを考えていた。



まどかの家の玄関で呼び鈴を鳴らすと、「はーい」と言って、おばさんの声がした。


密かに、まどかが出てくることを願っていた僕は、やはり、少し動揺した。



「あら? ケンジ君、どうしたの?」おばさんは、久しぶりの僕の訪問に、驚いた様子だった。


そして「この前は、ごめんなさいね」と言って、公園でのことを詫びた。


「……」


僕が、無言で立っていると、おばさんは「どうしたの? まどかちゃんに用事? まどかなら、さっき、友達のところに行くって、出かけたわよ。夕方まで帰らないって……もしかすると、あなたと、内緒でデートするのかと思ってたけど、違ったのね?」と安心したように言った



「これ、さっき、まどかが『お寿司つけたから』と言って、持って来てくれたお弁当箱、返しに来ました」僕は、先ほどまどかが残していったブルーの弁当箱を差し出した。


「あら? あの子、急に『お寿司つけるの教えて』って言うから、どうしたのかと思ったら、ケンジ君 に持って行ってたの?」おばさんは、そう言って、僕の手から、弁当箱を受け取った。


「ウチが明日から、新しい家の建て替えに入るから、『そのお祝いだ』と言って持って来てくれたんです」


「あら……そうだったの、それは、それは……」


僕は、おばさんとの会話は上の空で、その美しい顔とすらりと伸びた足に見とれていた。



その、弁当箱を返すという用事が済んだにもかかわらず、そのまま何も言わず、そこに突っ立っている僕に対し、おばさんは、「どうしたの?」と不思議そうに聞いた。



『まどかが夕方まで戻って来ないのなら、今からでもできる……』

そう思った僕は、まどかへの謝罪の気持ちなど完全に忘れ、小さな声で、「おばさんと、したい……」と言った。


おばさんは、唐突な僕のお願いに「えっ!?」と驚いて、聞き直してきた。


僕は、もう一度、今度は大きな声で、おばさんに言った。


「おばさんと、前のようにしたい!」



そんな僕のお願いに、おばさんは始め驚いた顔を見せたが、やがて「もう、片思いの彼女への義理立てはいいの?」と聞いた。


「もういい……あんな奴、どうだって」


そう僕が吐き捨てるように言うと、おばさんは、そんな僕の言葉に「あらあら、穏やかじゃないわね? いいわよ、この前のお詫びもあるし……悩みがあるんなら聞いてあげるから……中へお入りなさい」そう言って、笑いながら僕を家の中に招き入れた。

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